シンガポールから本帰国:いよいよ退去。わが家の不動産引き渡し(ハンドオーバー)

   

シンガポール在住歴が長い方だと、島内引っ越しで何度か退去手続きを経験されている方も多いと思います。しかしわが家は2年ちょいの滞在だったので、一度も引っ越しすることはありませんでした。

なので、本帰国にあたっての退去が、シンガポール生活最初で最後の引き渡し(ハンドオーバー)となりました。

退去にあたりシンガポールの賃貸契約について知ったこと2つ

賃貸契約を2か月延長した

わが家のコンド(コンドミニアム)の賃貸契約は2年でした。なので、本帰国を検討し始めた時、帰国のターゲットはコンドの契約期限が切れる日でした。それが、もろもろの事情により、どうしてもその日までに帰国するのは難しいという状況になったのです。

多くの方がご存知のように、シンガポールの賃貸契約は基本、中途解約ができません。もし契約更新をしたら、契約期間途中で帰国となっても、残りの期間の家賃を払うことになると聞きました。例えば1年更新をして、2か月後に帰国が決まったとしても、残りの10か月の家賃を払わないとならないという。……ただでさえ高い家賃をそんな形で払うなんてありえない選択肢です。

唯一の例外事項がディプロマテック・クローズ(Diplomatic clause)。会社都合の転勤であれば、諸条件と所定の手続きの下、途中解約は可能です。(契約内容次第ですが、大抵のTAにはこれが含まれているそうですし、わが家もありました。)

しかし、わが家は該当しません。こんなところでも現地採用は不利だな、と痛切に思わされました……。

シンガポールの民泊は違法と聞きますし、どこかで部屋借りをするにも、合法的な最低契約期間は3か月です。詰んだか? と思えた状況でしたが、私が先に帰国し、夫リサがどこか安いホテルで残りを耐えるという選択肢を残しつつ、ダメもとで「契約期間を2か月だけ延長できないか?」というのを不動産エージェントに聞いてみました。

するとあっさり、「OK」との連絡が。不動産契約の任意期間の延長ができるなんて知らなかったので、これは助かりました。

延長の手続きに結構なお金を取られた(たしか600~700ドルくらい)し、結果的に1か月しか延長は必要なかったので、残り1か月分の家賃を無駄にすることにはなったのですが、帰国まで住む場所がある……という安心感は買えました。

退去前に内見がやって来た

シンガポールの「あるある」です。退去前に内見がありました。まだ住んでるのに他の人が部屋を見に来るやつです。契約を2か月延長した直後、その2か月前にやってきました。

わが家の場合、見に来た人が白人のおじさんで、なんだかすごい恐縮してたのが気分的に救いでした。それでも妙に大人数でぞろぞろ見て回られたので、あまり気持ちがいいものではありませんでした。(まだ使ってる冷蔵庫開けるなー!)

お金払って住んでる期間に、部屋を他人にあちこち見て回られるのは気分が良くないし、逆の立場でもなんだか申し訳ない気持ちになります。大家さんができるだけ空室期間を避けたい気持ちはよーくわかりますし、私自身日本の感覚が抜けないだけですが、相容れない空気を感じました。

ちなみに、私たちは前述の通り契約期限の1か月前に退去したのですが、2か月分の家賃を払っています。もしすぐに借り手が見つかった場合、大家さんは家賃を1か月分2重取りできるそうです。これはエージェントをやってる地元の知人から聞きました。私が憤っていたところ、「世の中ギブ・アンド・テイクよ!」といさめられました。

シンガポールの大家さん、権利強すぎです……。外国人のお金を国民にまわす、シンガポールの政府はやり手だ……。


引き渡し日の調整と事前チェック

さて、ようやく引き渡しの話です。

シンガポールから本帰国:わが家の本帰国&帰国後ToDoリスト 」の記事中で少し触れましたが、できれば退去日にシンガポールを離れたいと思っていました。退去日から出国まで日が空けばどこかに泊まる必要があり、その費用がばかにならなかったからです。

不動産エージェント経由で大家さんに問い合わせたところ、退去日前に一時事前チェックをするならいいということになり、1週間前に事前チェックが決定しました。

事前チェック当日は、大家さんと大家さんサイドのエージェントが来ました。本来ですと借り手(私たち側)のエージェントも来るべきなんですが、この日は来ませんでした。もともと入居時もあまり頼りにならない人だったので、来てくれなくてもがっかり感は薄かったですが……。

進行は大家さんエージェントが丁寧に進めてくれました。契約時にお互い確認した備品リストを手元に、一部屋ずつ、その備品の有無や状態、そして部屋や設備の状態を確認していきました。

また、3か月に1回義務付けられていたエアコンクリーニングの領収書、カーテンクリーニングの領収書もこの日に見せました。(この日は確認しただけで、退去日まで部屋に保存しておいて欲しいとのこと。)

この事前チェック、恐らく退去日当日のチェックとほぼ同等の内容だったと思います。退去日は事前チェックした内容を最終合意するだけで済ませたので、当然と言えば当然なのですが。

シンガポールから本帰国:自力で安く済ませようとしたコンドのプチ修繕とカーテンクリーニング」の記事で書いたように、可能な限り修繕はこの日までに終わらせています。なので、この日に指摘された要修繕個所は費用負担を求められる可能性がありました。

そして最終的に指摘されたのが……

マスターベッドルームの床材の浮き
バスルームのドア下から漏れた蒸気で、部屋の床材が浮いていた。借り手側の不注意によるものなので、張替費用を全額負担して欲しい

マスターベッドルームのバスルームのシンク化粧板剥がれ
バスルームの洗面所に貼られた化粧板が蒸気で剥がれかかっている

シャワーヘッドの水漏れ
シャワーヘッドの根元のゴムが劣化して水が少し漏れている

キッチンのシンク下
キッチンのシンク下にカビが生え、化粧板が剥がれている

……正直なところ、ほぼ全部、納得のいかない指摘でした。日本人のロジックを持ち出す意味がないことは百も承知でこちらの言い分を書き出してみます。

マスターベッドルームの床材の浮き
部屋の構造上の問題。ドアを閉めていても隙間があり、バスルームから部屋に蒸気が流れ込むようになっていた。その部屋が蒸気に弱いフローリングであったのが問題。もう一つのシャワールームはドアの外が石であり、そちらは問題が起きていない。

マスターベッドルームのバスルームのシンク化粧板剥がれ
上記と同様に構造上の問題。蒸気が発生するバスルームに木の化粧板を貼ったら当然劣化する。もう一つのシャワールームは入居時にすでに剥がれており、ガムテープが貼られてるだけだった。(入居時に指摘済み。)

シャワーヘッドの水漏れ
20年近く交換していなかったゴムの経年劣化。というか、入居時から漏れていたが、使用に支障がなかったのでそのままにしていた。入居時の指摘漏れが悔やまれる。

キッチンのシンク下
使用していなかったが、湿気がこもりやすいので時々覗いて状態を確認していたが、特に問題はないと思っていた場所。しかし実はオーナーが置いていった人工石の板が化粧板の上に置いてあり、その人工石の板と化粧板の間にカビが発生していたことがチェック時に判明した。(私はその人工石の板が張り付いているものだと思っていた。)

理不尽と思う指摘に激しい苛立ちを覚えつつ、一体いくら請求されるんだという不安を抱え、退去日を待つことになりました。

ただ、キッチンのシンク下のカビだけは見苦しかったので、約1週間、ほぼ毎日夫と交代で可能な限りのカビ取りを試みました。後は防水ペンキ塗ればきれいじゃん、というくらいにキレイになりましたが、大家さんには響かなかったようです。無駄な労力だったのでしょうか。


引き渡し日当日

いよいよ退去日、引渡し当日です。この日は午前中に引き渡しをして、午後に空港に移動、夕方シンガポールを離れることになっていました。

前日までも可能な限りの掃除をしていましたが、朝も限られた時間で徹底掃除。2日前に船便は搬出済みでしたが、処分してもいい掃除道具はよけてあったのです。夜に使ったバスルームの掃除とか、洗濯機の漂白とか、その他目につくところをきれいにしました。

そして掃除の後には、使いかけの洗剤や掃除用具はもちろん汗だくで汚れた服も捨ててしまい、さっぱり気持ちよく引き渡しを迎えました。

なお、業者によるクリーニングは私たちの退去後にしてもらうことになっていました。私たちの入居時もそうだったのですが、次の借り手が見つかった時、その入居前に掃除してもらった方が気持ちいいだろうというお互いの判断です。

ただ、内見時に汚いと申し訳ないので、退去前に可能な限り丁寧な掃除をしたのは、私たちなりの誠意でした。

さて、退去ですが、借り手側(私たち側)のエージェントも登場しました。退去なので、彼にはなんら金銭的メリットはありません。来なくてもいいものだと思っていたので、来てくれたことは素直に感謝しました。

前述の事前チェックで指摘された内容については、大家サイドから私たちサイドのエージェントにも話がいっていました。

なのでこの日は改めて、問題の箇所だけを話し合うことになりました。改めて書き出すと、問題の箇所は以下の通りです。

  • マスターベッドルームの床材の浮き
  • マスターベッドルームのバスルームのシンク化粧板剥がれ
  • シャワーヘッドの水漏れ
  • キッチンのシンク下

構造上の問題だとか、経年劣化(自然損耗)だとか、こちらも言いたいことがありました。しかし、私は英語ができないし(!)、夫リサはなんだか面倒になったようで、もにゃもにゃとあまりハッキリ主張をしません。

シンガポール最終日というのに、いやーな気持ちを抱えてその様子を見守っていたところ、突如私たちサイドのエージェントが猛烈に話し始めました。どうやら、すべての状況を把握した途端、一気に修繕費用値下げについての交渉を始めてくれたようなのです。

私たち以外は全員中華系でして、しかも大家さんが英語が不得意なことから、私たちをおいてエージェントの中国語での爆裂トークが始まりました。

細かい内容は分かりませんが、後で英語で受けた説明によると、やはりマスターベッドルームの床材の浮きは構造上の問題であり、借り手側に落ち度はなかったと主張してくれたようです。

大家さんと大家さんサイドのエージェントはそれほど我が強い人ではなかったようで、こちらのエージェントの猛烈トークに圧倒されるがまま、結局この件に関する私たちの修繕費用の負担はゼロになりました。

おお、わが家のエージェント、最後の最後で突如大活躍

ただ、その他については折半で負担することになり、最終的な請求額は以下のようになりました。

最終的な修繕費用のメモ

最終的な修繕費用のメモ

  • マスターベッドルームのバスルームのシンク化粧板剥がれ(380ドル中190ドル負担)
  • シャワーヘッドの水漏れ(60ドル)
  • キッチンのシンク下(260ドル中130負担)
  • 部屋のクリーニング代(380ドル)

なお、書きそびれていましたが、部屋のクリーニング代は契約で「退去時に380ドル負担」という約束になっていました。なので納得済みで380ドル支払いました。

以上、合計760ドルがデポジット(入居時に払った預け金)から引かれ、後日返金されることになりました。予想外の私たちサイドのエージェントの活躍に、感謝・感謝です。

事前チェックから退去まで、修繕費用の請求を考えると気分が晴れませんでしたが、最後の最後でそれほど大きな負担を強いられることなく交渉が落ち着き、安心してシンガポールを発つことができました。


シンガポールの賃貸にはこりごりだ

日本は借り手の権利が強すぎると聞きますが、シンガポールは貸し手の権利が強すぎると思います。

それは国が外国人のお金を国民にまわすための政策であると理解していますが、会社に守ってもらえない現地採用の立場からすると、家賃に限らないあらゆるコスト(と気苦労)が本当に高すぎます。

借り手側もいろいろ戦う術と知識を身につけることは大事ですが、正直なところ、もうシンガポールでは二度と部屋を借りたくないです。

愚痴でした(笑)。
皆様の無事で平和な引き渡し(ハンドオーバー)をお祈りしております。

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