NICU/GCUでの母子の愛着形成

   

私はNICU通院時代、あえてネットの情報を避けていました。「切迫早産体験:私と娘の傷病名・症状・状態」にも書きましたが、精神的に不安定な時期に、不必要にネガティブな情報を目にしないためでした。

しかし、退院の目途がついてきた時期から徐々にネット検索をするようになり、退院後の現在は、NICU/GCU通いをした他のお母さんの体験談や意見のやり取りなどを時々読んでいます。

そんな中で、赤ちゃんの面会に来てほしいというNICU/GCU看護師さんからのプレッシャーが辛い、というお母さんの意見をいくつか見ました。

また、「今更ですが……NICU卒業生の母としてのTVドラマ「コウノドリ」(2015年)の感想」で書いたTVドラマ「コウノドリ」でも、障害を持った赤ちゃんの両親が面会に来ないエピソードがありました。母乳は届けるため病院までは行くものの、赤ちゃんに会おうとしないため、医師が毎回面会を促していました。



他の病院がどのような方針なのかわかりませんが、私たちがお世話になったNICU/GCUでは、面会をそれほど強く求められることがなかったように思います。

産後すぐ、どれくらいの頻度で面会すべきかを聞いてみたところ、それぞれの事情次第なので人によって違う、という話でした。つまり、事情があれば強く言われないのだと思いました。

ただ、やはり事情によっては病院側も強く言うことがあるらしく、面会に来ない親に対して怒っている看護師さんの声を聞いたり、親の都合で面会に来なくなる人の話を耳にしたりすることもありました。(もちろんプライバシーに配慮された範囲で漏れ聞いた話です。)

振り返ると、NICU/GCUの面会は、他の入院の面会とは意味が違いました。子どものためと通いつつも、実は親子関係のためでもありました。

切迫早産、かつ帝王切開で子どもを産み、しかもその赤ちゃんが保育器に入っていて母子分離状態になり、私はとても戸惑いました。出産した実感が乏しく、突然目の前に現れたわが子に、すぐに素直な愛情がわかないのです。

これは私個人が感じたことでしたが、多くのお母さんが同じ気持ちになると後から看護師さんから聞きました。そのため病院では、愛着形成を図るため、さまざまなケアを通じて親子関係の構築を手伝ってくれるのです。

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私は退院直後、自分の体のために何度か面会を休んだのですが、たった一日でも元の夫婦二人の生活を送っていると、「妊娠・出産なんてまるで無かった」ことのように思え、ゾッとしたのを覚えています。

もし、何かの事情で行けない日が続き、この「ゾッとした」感情を忘れたら、私も病院から足が遠のいていた可能性があります。そう考えると、面会の動機は愛情だけではなく、子どもへの愛着がわかない危機感みたいなものがあったと思います。

結果的に、私は病院の支援もあり、愛着形成がうまくいったケースになりました。



自分の子どもがかわいいのは本能だと思っていましたが、接触を通じて生まれた愛着もあります。文字にすると当たり前のことですが、実体験を経てそのように強く思います。

冒頭の看護師さんのプレッシャーが辛いという話ですが、来られない事情の内容や看護師さんとの相性などいろいろな要因があるかと思います。

開放型保育器

開放型保育器

しかし、自分の愛着形成の経験をふまえても、面会は病院や看護師さんたちのために行くわけではないと思います。ですので、子どもへの愛着が芽生えるのであれば、周囲は気にせず自分のペースで面会すればよいかと思いました。面会に行けなくても、退院後に挽回できる人もいるでしょうし。

子どもへの愛着だなんて数値にならないものは、検証のしようがないかもしれません。それを意識して通院しているお母さんもそういないでしょう。(私も退院後に気づいたことであり、通院中にはっきり意識したことはありませんでした。)

しかし、出産直後からの母子分離は、振り返れば想像以上に怖いものに思えました。病院の支援はありがたかったと改めて思います。

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