超低出生体重児ヨーちゃんのNICU/GCU入院生活振り返り
最近、娘ヨーちゃんが夕方から夜まで寝ずにぐずるようになりました。黄昏泣きってやつなのかと困惑していますが、夫が帰宅するとよく相手してくれるので助かります。
さて、NICU/GCUを退院してから時間が経ち、入院中のネタはそろそろ終わりかなという気がしています。ここらで一度、ヨーちゃんの入院生活をまとめたいと思います。(また思い出したように書くことがあるかもしれませんが……。)
出産から娘の入院までの経緯はこちら
→「切迫早産体験:私と娘の傷病名・症状・状態」
超低出生体重児ヨーちゃんの退院までの道のり
生れてから退院までの主な出来事です。
在胎週数や出生体重を公開していないため、分かりづらいかもしれませんが、入院中の経過および退院まで、概ね順調だったのではと思います。
生後
11日目:点滴が外れる
24日目:網膜症の眼底検査開始
25日目:抜管、鼻マスクへ
26日目:貧血防止注射ではじめて泣き声を聞く
32日目:1kg超え
46日目:保育器のサイズアップ
50日目:呼吸器のサポートがなくなる
51日目:カンガルーケア
53日目:呼吸器の離脱開始
57日目:1.5kg超え
60日目:完全離脱
64日目:ベースン浴
66日目:ボトル授乳
67日目:開放型保育器へ
68日目:沐浴
72日目:GCUに移動
73日目:眼底検査終了
74日目:2kg超え
75日目:直母開始
83日目:退院指導
85日目:2.3kg超え(退院目安体重)
86日目:モニター外れる
95日目:退院決定
96日目:退院
退院時の説明
退院前日に主治医の先生から、ヨーちゃんが受けた診断や治療などについての説明がありました。どのような診断がくだり、それに対してどのような治療を施し、結果的にどのような状態で退院するかのサマライズです。
約3か月の入院生活を総まとめしたような内容なので、先生の話を聞きながら目の前のコットで眠るヨーちゃんをふと見ると、彼女の頑張りに胸が熱くなりました。
以下はその内容ですが一部、自分に分かりやすいように省略・編集しています。
診断名や治療など
超低出生体重児・超早産児・不当軽量児
小さく、早く生まれた、という生まれた状態の診断名そのままです。不当軽量児というのは在胎週数に対して低体重だったという診断です。
呼吸窮迫症候群(RDS)
肺が未成熟で呼吸がうまくできませんでした。気管内挿管、DPAP(鼻マスク)、酸素投与の治療を受けています。
動脈管開存症
インダシンというお薬で治りました。1クール3回投与で終了しています。血管は閉じたり開いたりとふわふわしていたのですが、閉じた状態が2週間続いた時点でもう大丈夫、というお話だったと思います。最初のころは毎朝状況を聞いていましたが、だんだんと話自体が出なくなり、一か月後くらいに思い出したように先生に「もう大丈夫なんですよね?」と確認した記憶があります。
高ビリルビン血症(黄疸)
光線療法を受けて治りました。治療は確か出産翌日から始まり、そう長くなかったと思います。ただ、忘れた頃にもう一度ブルーライトを浴びていて驚いたことがあります。念のため、という感じでその時は一日だけでしたが。
未熟児貧血
早産児は造血機能も未熟だそうで、ヨーちゃんは生まれながらに貧血でした。インクレミン(鉄剤)、エポジン(造血ホルモン剤)の投与を受けていました。インクレミンは現在も飲んでいます。
未熟児骨減少症
早産児は早産児はカルシウムやリンが不足しており、骨が弱いそうです。退院間際に撮ったレントゲンで、骨の先がギザギザしているのがそれです、という説明を受けました。ヨーちゃんの場合リンが不足していたので、退院時から現在までリンが補われた未熟児用粉ミルクを飲んでいます。ただ、これはフォローアップでサプリメントに変わりました。それについてはまた後日書きます。
未熟児網膜症
これまた早産児の特徴で、未熟な目の血管が成長に伴い網膜剥離を起こす危険がありました。しかしヨーちゃんは最軽症で経過し、今後の眼科検診は不要とのことでした。
甲状腺機能低下症
「初めての「未熟児フォローアップ外来」+「小児内分泌」+「かかりつけ医での予防接種」(1)」の記事で書いたように、血液検査の結果で先天性甲状腺機能低下症の診断を受けています。レントゲンで大腿骨遠位端の骨化の遅延の説明を受けました。現在もチラーヂンというお薬でホルモン値を保ちつつ、経過を見ています。
慢性肺疾患
この診断、実はよくわかっていませんでした。上述のように、呼吸が未熟で長く治療を行っていましたが、退院時に懸念になるような症状が残っていたわけではありません。フォローアップで聞いたところ、やはり呼吸のサポートを受けていた子どもは大きくなっても肺機能が弱い傾向があるそうです。そういった意味で、慢性肺疾患という診断名がついているという理解です。
検査
- 血液:貧血以外は異常なし
- 頭部超音波、MRI:ともに異常なし
- 心臓超音波:正常
- 聴力検査:異常なし
なお、上記の内容を簡単にまとめた文書もいただきました。ヨーちゃんの出生時から退院時までの治療や状態がまとまったものなので、急にかかりつけ以外の病院に行くことになった際、ヨーちゃんの説明に使うのに良いそうです。
お出かけの時は持ち歩くといいですよ、と先生からアドバイスをいただいたので、コピーを母子手帳に入れています。
主治医の先生は毎日本当に丁寧にヨーちゃんの状態を説明してくださいました。特にアップデートがない日は、「今日も元気ですよ」と言ってくださって、母親の私も励ましていただきました。
入院費用
未熟児養育医療制度により、ありがたいことに治療にかかわる費用の大半を補助していただいています。個人で払えるような金額ではないので、本当に助かりました。社会に感謝の気持ちしかありません。
補助の対象外だったのはおむつ代などで、わが家は以下の費用がかかりました。(補助になる費目はお住いの自治体や所得などによって多少変わるようです。)
- おむつ代:20円×851=17,020円
- スピッツ:60円×60=3,600円
- K2シロップ:500円
- 先天性代謝異常検査:3,500円
- 沐浴指導料:3,000円
- 新生児指導料:3,000円
合計:30,620円
また、病院への支払い以外では、面会時の交通費や食費、母乳関連(搾乳機、母乳バッグ、母乳マッサージ)などにお金がかかりました。
NICU/GCU入院生活を振り返って
娘を3か月も入院させたことは今でも辛く感じます。入院中だけでなく、退院後の現在も、他の赤ちゃんより採血や注射の機会が多く、かわいそうだと感じています。
ただ、入院したことでよかったこともありました。
入院中は病院で成長の記録をノートにつけていました。生れてからの3か月、じっくりとヨーちゃんの様子や親の気持ちを残せたのはいい思い出になりました。このノートは、ヨーちゃんが内容を理解できるようになる小学校高学年か、中学生になったころに読ませたいと思っています。
また、通常は受けないようないろいろな検査を受けられたのは、考え方によってはよかったのではと思います。現在通っている退院後のフォローアップも、通常より丁寧に健康状態を見守ってもらっていると思うと、安心できます。
ヨーちゃんの成長は、修正ベースで成長曲線のギリギリ下を追っています。ほかの赤ちゃんに比べれば当然小さいのですが、それでも日々確実に成長をしています。
重くなったな、と思ってふと入院時代の写真を見返すと、その大きさが信じられず、そして両手のひらに軽々と乗ったあの重さを思い出すのはすでに難しいです。
同時に、日常になりそうなくらい通って馴染んだNICU/GCUの風景も、すでに遠い過去の世界に思えてきました。
少し寂しい気持ちにもなるのですが、一方で、ぐんぐん大きくなるヨーちゃんが私たち両親の気持ちを強く未来に引っ張ってくれているような気にもなります。
私にとって、切迫早産だった出産は、事件・事故のような出来事でした。しかし、ヨーちゃんの力強い成長が、過去を悲しい思い出にさせずにしてくれています。
免疫が弱く、当面は箱入り娘状態ですが、夫婦で精いっぱい育てていきたいと思っています。