今更ですが……NICU卒業生の母としてのTVドラマ「コウノドリ」(2015年)の感想

   

TVドラマ「コウノドリ」をオンデマンドで見ました。隙間時間の10分、15分、とスマホで細切れで見続け、えらい時間がかかりましたが先日ようやく全10話見終わりました。

普段TVドラマは見ないのですが、NICUや低出生体重児のことを調べていると、時々このドラマや原作の漫画についてに触れているブログや記事に出会うことがあり、気になっていたのです。

医療ドラマって年中どこかのチャンネルでやっている気がしますが、周産期母子医療センターを舞台にしたドラマはこれまでもあったのでしょうか。

自分が妊娠し、そして切迫早産で出産、子どもがNICUに入院……という経験をしたので、単なるエンタテインメントのドラマとしてだけでなく、ドキュメンタリーのように内容に深く関心を持ってみることができました。

毎話見終わるたびに感傷的になりました。

毎話見終わるたびに感傷的になりました。

たとえば、新生児科と院内ソーシャルワーカーの活躍、そして病院と連携する助産院や乳児院の存在などが興味深かったです。

NICU、新生児科では、保育器やモニターなどの機器類、採血、エコーなどの診察のシーン、そしてわが子と面会する親たちの様子がリアルでした。自分の通院時代を思い出しました。

実在のNICU入院中の子どもたちの姿がチラチラとカットで挟まれるのも臨場感がありました。うつぶせで小さな背中にモニターつけてる姿なんかを見て……入院中の娘を思い出しました。

ただ、NICUに大きな窓があり、さんさんと陽の光が入っているのは、ヨーちゃんが入院していた病院とは雰囲気が違うので若干違和感がありました。(窓はありましたが、NICUは陽が入らないようにされていました)

また、あるお母さんが他の赤ちゃんのベッドをのぞき込むシーンがありましたが、あれは常識的にはやらないんじゃないかと思います。(親同士が仲良しで、同意のもとならわかりますが、NICUで他の赤ちゃんをのぞき込むのはタブーでした。)

ソーシャルワーカーさんは、娘がいたNICUにも出入りしていたのですが、わが家は関わることが一度もなかったので最初に挨拶をしただけでした。このドラマではわりとスポットが当たっており、その活躍ぶりを見ていて、サポートが必要な人たちにとっては重要な存在だというのが伝わってきました。



出産ができる助産院、保護者が養育できない赤ちゃんが生活する乳児院については、その存在は知っていても、どんな場所なのかのイメージができていませんでした。なので作中にその様子が描かれていたのを興味深く感じました。所詮TVドラマかもしれませんが、ある程度は再現されているでしょうし。

ドラマには毎回テーマがありましたが、先天性風疹症候群、特別養子縁組、高齢出産、出生前診断はここ数年話題のテーマなので、ストーリーだけでなく、何げないセリフからも得る知識がありました。

例えば、特別養子縁組が出産直後、すぐに赤ちゃんを産みの親から引き離す展開は衝撃でした。また、親が高齢な子どもは言葉の発達が早いという研究結果があるということも、このドラマで知りました。

切迫早産、超低出生体重児の回は、実体験を思い出しながら胸に迫るものがありつつも、家族のその後についてまったく描かれていなかったのは少し物足りなかったです。産科が中心のドラマだから仕方ないのかもしれませんが。

それでもNICUは頻繁に出てきたし、帝王切開後、手術室で新生児科医が赤ちゃんの蘇生、気管挿管をするシーンは、自分の出産時もこんなことが起きていたんだと想像しながら見ることができました。

早産児の出産シーンで部屋を暑くするシーンは、そういえば手術室が暑くてたまらなかったのを思い出しました。(暑くて、水分取れなくて、本当に苦しかった。)

そして、出産時「おめでとうございます、おめでとうございます」と誰もが言っていたのも覚えています。それに関しては……申し訳ないのですが、状況的にあまり素直に喜べなかったのですが……。

また、新生児科の先生が赤ちゃん蘇生時に「がんばれ、がんばれ」と言っているのが印象的でした。うちの娘の時も言われていたのでしょうか。超低出生体重児でしたし、恐らくあのような応援するような気持ちで助けてもらったのは間違いないと思います。それを想像すると、改めて治療に関わった先生たちへの感謝の気持ちがわいてきます。



そんなわけで、見てよかったと思えたドラマでした。

ドラマは所詮フィクションなので、本当はドキュメンタリーの方が好きです。しかしこの「コウノドリ」は、出産の現場で関心の高いテーマを丁寧にわかりやすく描いている印象を受けて好感が持てました。

私は高齢出産だったので、もともとリスクがある出産ではあったものの、出産にまつわるトラブルには本当に無頓着な妊婦でした。今振り返れば、このドラマで描かれていたことのいくつかは、決して他人事ではないことなのに、実際経験した切迫早産含め勉強不足だったとつくづく反省しています。

妊娠・出産を予定している女性、そのパートナーや家族に、そのようなリスクに関心を持ってもらったり、ある程度必要な情報を提供するのにもいいドラマだったと思います。

ちなみに続編の2017年版も見たいのですが、オンデマンドで1話ごとに料金が発生するようなので見送っています。ドラマの続きも、そして原作も、いつか見る(読む)機会がもてたらと思っています。

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