多民族国家シンガポールの「ハレの日」

   

シンガポールのベサックデー(お釈迦さまのお誕生日、花まつり)

シンガポールのベサックデー(お釈迦さまのお誕生日、花まつり)

多民族国家のシンガポール。おおよそ中華系75%、マレー系15%、インド系7%、残りがその他外国人で構成されています※。実際に生活していても、圧倒的に中華系(華人)が多い国だとは感じますが、地域によってはマレー系やインド系も多く見かけるし、欧米系や日本人が多く住む地域もあります。

私が住む地域は他の地域に比べ、マレー系やインド系が多い印象です。なので、中華、マレー、インドの「ハレの日」を迎える度に、素敵に着飾った地元の人たちを見かけることができます。

今回は最近見かけたシンガポールの「ハレの日」について書きたいと思います。

結婚式

週末の朝、突然けたたましいクラクションの音で目が覚めました。数回鳴った後、一度収まったようなのですが、再びプァープァー! と激しく鳴らされ、夫リサと目を見合わせました。「なんだと思う?」「迷惑駐車かな」なんて言っていたのですが、またしばらくして、今度は声を揃えた数人の若者の雄叫びが聞こえてきました。結局音や声の正体を確認することはなかったのですが、恐らく結婚式だったのでは、とリサと結論づけました。

こちらの中華系の結婚式では、結婚式の当日に友達を引き連れた花婿が、これまた友達と一緒にいる花嫁を家にまで迎えに行きます。そして花婿は花嫁にお金を渡したり、花嫁の友達が花婿に難題を与え、それを解かせるのだそうです。

わが家はシンガポールに来てすぐ、夫リサの同僚の結婚式に招待いただき、式および披露宴に参加する機会をいただきました。(→「結婚式に参列しました」)その朝の儀式の模様は披露宴でスライドショーで垣間見た程度ですが、思い出してみるとあの朝の楽しげなクラクションと若者の雄叫びは、きっと花嫁を迎えに来た花婿の一団だったのだと思われます。

(なお、この花嫁を迎えに行くスタイルがマレー系、インド系が同様かはわかりません。また、この習慣もすべての中華系家族で同じかは未確認です。)

また、週末の夜、リサと夜の散歩を楽しんでいた時、マレー系の結婚式(披露宴)を見かけたことがあります。シンガポールのHDB(公団)には、建物の一階もしくは隣接した土地などに催事スペースが設けられています。地域のイベントはもちろん、冠婚葬祭もここで行われます。黄色い幌がかかっているとお葬式だなと思いますし、椅子に白い布がかかっていると結婚式だろうと思っています。

中華系の披露宴らしきものは何度か見かけたことがあるのですが、この日は初めてマレー系の結婚式を見かけたのでした。これが幻想的で、とても素敵だったので目に焼き付いています。

HDBの一階の広めのスペースが会場。参加者は全員床に座って食事をしています。女性たちは、金色などを使ったいつもよりきらびやかなヒジャブとドレスを身に着けていました。照明ぼんぼりのような薄暗い明かりだけ。子どもたちは叫んで辺りを走り回っていましたが、会場の大人たちは静かに語り合っていました。

遠目に見るだけでしたが、あのHDBの無機質なコンクリの建物が一転、どこか違う国に迷い込んだかのようなとてもエキゾチックな雰囲気に変わっていました。それぞれの文化や習慣を重んじた儀式というのは美しいものだと思いました。

ベサックデー(お釈迦さまのお誕生日)

5月10日はベサックデー(お釈迦さまのお誕生日)で祝日でした。(べサックデーはカレンダーにより毎年変わります。)この日前後、シンガポールのあちこちでこのお祝いの儀式が執り行われていました。

広場に張られたテントの中にお釈迦さまが飾られ、信者の方たちがお祈りに訪れたり、お坊さんを呼んでお経を読んでもらったりしてお祝いしていました。参拝客に特に決まった服装はありませんが、こちらの仏教の祭壇は派手なので、やぐらが立った周辺は華やかかつ賑やかな雰囲気になります。

地元の中華系&インド系の知り合いの方に「日本にもベサックデーあるの?」と聞かれましたが、「あるけどあまり知られてないかも」と答えました。

私が生まれ育った地域ではこのべサックデーにあたる「花まつり」を祝う習慣があり、子供のころは近所のお寺に集まって映画を見たり、お菓子をもらったりするイベントがありました。その後子どもの数が減ったためにこのイベントは辞めてしまったそうですが、まだ托鉢(寄付をいただく)は行われているそうです。

一方、夫リサはお釈迦さまの誕生日がいつかも知らないし、「花まつり」という名前も当然知りませんでした。

タミル・ニューイヤー

4月半ばにタミル・ニューイヤーというものがあります。「Puthandu」とも呼ばれているそうです。シンガポールのインド系は南インドのタミル人の移民が多いのですが、そのタミルの人たちが新年を迎える日だそうです。祝日ではありませんが、シンガポールのカレンダーには「タミル・ニューイヤー」と掲載されています。

ヒンドゥー教のお正月は10~11月ごろのディーパバリ(祝日)だと思っていたのですが、どうやら「新年」はこのタミル・ニューイヤーだったようです。(→参照:NLB「DEEPAVALI AND TAMIL NEW YEAR」)

そんなタミル・ニューイヤーですが、ご馳走を用意し、親戚を訪ね、お寺にお参りに行ったりするそうです。(→ST紙「Holiday adds to joy of Tamil New Year」)恐らくシンガポール全体ではそれほど目立った行事ではなく、私も当日の模様は知らなかったのですが、地域によってはお祭りを開催しており、私たちもそのイベントは目にするチャンスがありました。

お祭りと言っても儀式的なものではなく、タミル系の人たちが集まって、食事や歌やショーを楽しむ集まりです。大人も子どもも、いつもよりきらびやかな民族衣装を身に着けていました。男性はぴっしっと襟が立ったちょっと長めのコートををはおり、女性は鮮やかな原色と金色を組み合わせたサリーを着ています。そして女性は自慢の艶のある長い髪を三つ編みにして、ジャスミンの花のつぼみを飾り付けています。

舞台では大人のカラオケのような歌や、子どもたちのグループ・ダンス、若い女性の踊りなどを披露していました。テレビでインドチャンネルをつければいつでもボリウッド音楽&ダンスは見られるのですが、ボリウッドとは違うリズムの音楽、ダンスだったように思います。それが南インドのものなのかはわかりませんでしたが。

舞台で踊る子どもたちの誇らしげな顔も、舞台の前で立って踊りだす子どもたちもどちらも大変かわいい。そして当たり前といえば当たり前なんですが、民族衣装ってやっぱりその民族の人たちが一番似合います。女性の色とりどりの衣装は見ているだけで楽しくなりました。

まとめ

ごく最近、自分が見たものだけを書きましたが、もちろん「ハレの日」は一年中あります。来月末にはムスリムの断食明け、ハリラヤが控えています。

日本と異なるのは、多民族国家だからこそ、こうして一年中どこかで違う民族のお祝いがあることです。そしてこれらの文化が小さな国で共存していて、お互いの文化を尊重していると感じられるのが、シンガポールのいいところかなと思います。

※Wikipedia: Demographics of Singaporeより(2014年時点)
https://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Singapore

Singapore is a multiracial and multicultural country with ethnic Chinese (76.2% of the citizen population), indigenous Malays (15.0%), and ethnic Indians (7.4%) making up the majority of the population.

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