バスの割り込みを注意して罵倒された。そしてバス会社に苦情を出した話。

   

先日、バスの割り込みについてのブログを書きましたが、実はその翌日にブログに書いた二人による割り込みに出くわしました。さらに、ちょっとしたトラブルにも巻き込まれました。今回はその一部始終について書きたいと思います。

前回の記事をお読みでない方は、下記を先に読んでいただけると幸いです。
→「シンガポールのバス、避けがたい割り込みと騒音(そして騒音を我慢してる今)

事件が起きたこの日、騒音おばさんを乗せたバスがいつもより早く発車してしまい、インターチェンジでの乗り継ぎに失敗しました。そのため、おばさんと小学生の二人の割り込みがいる便に乗らざるを得なかったのです。二人に出会わないことを祈ったのですが、やはり奴らは常習犯。その日も当然のごとく割り込みをしてきました。


割り込みを注意して罵倒された

私は列の先頭にいたのですが、まず、おばさんがやってきてしれっと列を無視して隣の使わないレーンに並びました。相変わらず同じ手で割り込みを続けているのです。

頭きて睨んだところ、私が以前一度割り込みを阻止した人間であるを思い出したらしく、目をそらしてレーンの少し奥に立ってました。

私を含め、そのおばさんより先に本来の列に並んでいる人たちもいました。しかしバスが到着した時、やはりそのおばさんは列を無視して先頭に割り込んできたのです。

いつもは気弱な私も「これは言ってやらねば!」と妙な勇気がわいてきて

「このレーンはXX番バスの列じゃないんですよ」

とおばさんに言い放っておばさんの割り込みを阻止しました。

そしたらおばさん、ブチ切れて「◎△$♪×¥○&%#?!!!」と、中国語で怒鳴るように叫び、私を罵倒し始めたのです。

逆切れしてるのが分かったので私も頭にきたのですが、幸い、中国語がサッパリわからないので、何を言っているのかわかりません。無視して背中にその罵声を浴びながらそのままバスに乗り、いつものように笑顔で運転手さんに「グッド・モーニング!」と言いました。しかしすぐ背後でおばさんが私を怒鳴り続けてるので、運転手さんは驚いて目を丸くしてました。

そのまま私は無視して座席に座り、私の一列前の反対側におばさんが座ったのですが、一度振り返って睨まれただけでそのままお互い無視しして終わりました。

しかし私の心中は穏やかではなく、かなり頭にきてました。


弾丸割り込み小学生は別の人が注意をした

私がおばさんとバトってるとき、他の乗客は「我、関せず」でした。

正直、おばさんが何言ってるわかんないし、私の英語が通じてるかも疑問だったので、誰か中国語で応援が欲しかったです。まぁ、こういう乗客同士のトラブルってよほどの状況じゃなければ関わりたくないですよね。

ただ、一ついいことがあったのです。
もう一人の割り込み、弾丸割り込み小学生を注意したおじさんがいたのです!

バスが到着して私がおばさんに注意してるとき、遠くからいつものように割り込み小学生が走ってくるのを視界の端で捉えました。

おばさんとバトってるので小学生まで注意する余力はありません。悔しいけれど、奴が一番先に乗り込むだろう、というその時、私のすぐ後ろのおじさんが

「コラッ!」

みたいな感じで怒鳴ったのです。
そしたらその小学生、無言で大人しく列の一番後ろに並びました。おじさん、グッ・ジョブ!

この場で、割り込みを快く思ってない人は私だけではないと確信し、そして安心した瞬間でした。


SNSには載せません

シンガポールでは、公共の場のトラブルを写真や動画でSNSに載せられ、ネットでさらし者になることがよくあります。席を譲らない若者とか、フードコートで掃除のおじさんを罵倒し続けるおばさんの動画とかを私も見ました。

この国のプライバシー保護に関するルールがどうなっているのか知らないのですが、TVドラマでもそのようなシーンが描かれていたので、こういう制裁は特別なことではないようです。
→過去記事「街中で撮った動画をSNSにアップするシンガポールの人たち…

日本のものも時々見かけますが、今どきの恐ろしいネット私刑です。

おばさんのあの罵倒ぶり、さらされたらネタになるだろうし、私がおばさんの写真撮ってSNSに載せることも可能でしたが、私の常識ではもちろんそれはやりません。(まさか他の誰か撮ってないよね(笑))

ちなみに、台湾でも同様だと聞きました。台湾女子曰く、電車やバスでお年寄りに席を譲らなかったら、翌日SNSで顔をさらされるそうです。

実はみんな割り込みに怒っていた

私が割り込みに悩んでいたのは、ただ割り込みされて嫌な気持ちになっていただけでなく、周囲の人が気にしていないと思っていたこともあります。私の了見が狭すぎるのだと、おおらかさがもっと必要なのだと、悩んでいました。

しかし、今日の怒りを周囲に相談したり、ネットでシンガポール人の意見を漁ってみたところ、実は割り込みにみんな怒っていたことが分かりました。

会社の人は、割り込みには日常的に腹を立ててると言っていました。バス乗車時の割り込み、タクシー待ちの行列での横入り、当たり前だそうです。そしてその話を振られれば怒りが沸き上がるわけですが、日常的過ぎて今まで話題にのぼらなかっただけのようです。

英語のクラスのメンバーも、私の怒りに同調してくれました。むしろ、よく注意した!と褒めてくれました。台湾のおばちゃんはスーパーの列の割り込みをよく注意するそうです。

また、シンガポーリアンの先生曰く、バスのインターチェンジにはセキュリティスタッフがいて、彼らは割り込みにはもっと気を配るべきだそうです。

どうして割り込みを注意する人がいないのかと言えば、あまりにも日常的なので毎日注意してられないとのことでした。そして割り込みは特にお年寄りが多いので、目をつむるそうです。(これは私も一部同意します。ただ、ちゃんと並んでるお年寄りの気持ちはどうなのさ、と思います。)

実は、先生は一度割り込みを注意したことがあるそうです。そうしたら私みたいに猛烈な反撃を受けたらしく、以来嫌な気持ちになるだけなので諦めることにしたとのことでした。

さらに、ネットでも英語で検索をかけてみたところ、シンガポール人やシンガポールで暮らす外国人が、割り込みについて文句を言いまくってるスレッドを2つほど見つけました。お決まりの、写真をさらしてる人もいました……。事件の舞台はやはりバスのインターチェンジ。

なにはともあれ……
みんな割り込みされるのは全然平気じゃなくて、怒っていることがよーくわかりました。


バス会社に苦情を送信

理想は、誰かが一人で戦って喧嘩になることじゃないと思います。みんなでこういう割り込みを阻止して、マナーを知らない人にマナーを知ってもらうことです。

私は多少出勤時間がずれてももうこのバスに乗らないことにしました。地元で変な因縁つけられたくないので、もう同じ人に同じ注意はしないし、顔も合わせたくありません。

その代わり、バス会社のホームページから意見を送っておきました。苦情です、苦情。

バス会社HPのフィードバック送信完了画面

バス会社HPのフィードバック送信完了画面

問題が起きている場所はインターチェンジなので、英語の先生が言うように、職員が常駐しているはずです。以前はラッシュ時、職員が割り込みを阻止する整備をしてたくらいなので、会社側も割り込みを当然とは思っていないはずです。

この日のバトルは監視カメラにも写ってるでしょうし、必要であればチェックできるよう日時とバスのレーンもすべて明記しました。一度、職員から注意してもらえれば、今後列に並ぶ他の人も不快な思いをしなくてすむと思います。

正直、やりすぎかと思ったのですが、周囲の意見はそれぐらいすべき、とのことで背中を押されました。文句言ってたおばさん、バス乗車時にも私の背後で怒鳴ってたので、本来はバスの運転手がそれを聞いて止めるべきだそうです。

そしてバス会社からの返信

3営業日ほどののち、バス会社から返信がありました。

とても丁寧な文面で、内容を理解したということ、内部的に適切な処理をし、ドライバーにも割り込みを注意するように促すとの回答でした。正直、マニュアル通りのテンプレートのような文面とい印象を受け、あの事件に何か具体的な対処がされることは無いだろうと感じました。

上記で同じバスにもう二度と乗らない、と書きましたが、実は苦情を送信した後に二度、罵倒おばさんの乗車する後ろ姿を見る機会がありました。遠くからだったのではっきりとは見えませんでしたが、一番最初に乗っているのは確認できたので、同じことを繰り返しているようでした。

しかし、これが限界なんでしょう。あの罵倒おばさんや弾丸小学生を注意したところで、他に巨万(ごまん)といる割り込み軍団のメンタルは変えられない。ただ、バス会社に対し、このような事態に不満を持つ乗客がいるということを知らせるという目的は達成したわけで、それで十分とした方がよさそうです。

外国人4割のシンガポール

割り込みをするのはシンガポール人ではなくて外国人だ、という論調をネットで何度か見かけました。私はこのロジックがあまり好きではありません。

まず、それが事実なのか疑問です。私の認識だと、ビザの制約でシンガポールにはそれほど多くの中高年外国人はいないはずです。そうなると、割り込みおじさん・おばさんたちがみんな外国人だとは思えません。

また、国籍を名指ししているのは差別ですし、こういうことを言っている人がいるうちは社会は変わらないだろうと思うからです。

もし、割り込みする人たちの多数が外国人なのであれば、シンガポール在住者の約4割は外国人ですが、彼ら(私たち)はこの国に必要な労働力だから国はビザを発行しているという理解です。そのような現実を前に、不都合な部分だけ取り除くのは難しいでしょう。

これは日本も同じ。人口減少に伴い移民の受け入れが議論されていますが、受け入れるのは労働力だけでなく、その人たちの文化や常識も受け入れることになります。

日本も今よりさらに移民が増えたら、同じように「割り込みをするのは日本人ではない」と言い出す人が増える気がしています。たとえそれが事実でも、それを言ったところで社会は変わらないわけで、ルールを厳しくしたり、マナーの啓発をするという努力が必要になるわけです。(もしくは、割り込み文化を受け入れるか。←個人的には勘弁してほしいけど……)


最後に

割り込みの常習犯にうんざりして、注意して、喧嘩になって、最後はバス会社に苦情を出したという今回の出来事ですが、気持ちが落ち着いてきた今、振り返ると「異文化体験だった」という感想を持っています。

日本でも割り込みはいますが、常習犯に会ったことはないし、いたとしても注意して喧嘩することはないと思います。日本は陰湿な仕返しがありそうで怖いからです。一方、ハッキリ物を言い合う文化があるシンガポールは、気持ち的に戦いやすかったんだと思います。それは見方を変えるとシンガポールのいいところなのかもしれません。

それに、バス会社に乗客のマナーの苦情を訴えるなんて私は日本では考えられなくて、それを受け入れてくれる公共組織に対する信頼度というのも日本とシンガポールで違う気がしています。(今回の件で何かアクションしてくれたかどうかは疑問ですが……。)

何事もいい面と悪い面があるとは思いますが、一つの海外ならではの経験だったのではとは思いました。

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