シンガポールで貯蓄目的の生命保険(養老保険)に入りました
昨年末、生命保険に入りました。保険と言っても貯蓄が目的の養老保険です。加入動機は以前書いたので(→「シンガポールでの貯金、わが家は保険を検討中です。」)、今回はプロセスと申し込み完了までを簡単に書きたいと思います。
なお、前回の記事にも書いていますが、本記事は単なる備忘録でして、特定の金融商品を勧める意図はまったくありません。また、細かい部分は記憶があいまいですし、サービスやプロセスなど今後変わる可能性は当然あります。
もしご興味をお持ちになった方がいましたら、ご自身で情報収集と慎重な判断をしてください。(質問にはお答えできません。間違いのご指摘いただきましたら確認いたします。)
さて、最終的に3社から話を聞きました。ファイナンシャルプランナーや保険専門の代理店(シンガポールに存在するか知りませんが)を通していないため、1社1社から話を聞いて自分たちで比較したような形になりました。
Contents
私たちのプラン
まず最初に、私たちの希望のプランは以下の通りです。
- 貯蓄目的(保険部分は最低限でOK)
- 保険料は一括払い(Lump-Sum Payment)
- 20年間引き出し不要
以上の条件を満たすのは養老保険(Endowment Plan)です。
20年間定期預金に預けるような感覚でしょうか。ただ、シンガポールの銀行では20年の定期は無かったと思います。余剰資金を、より大きいリターンのために長く預ける手段として、生命保険を選びました。
保険会社3社へ問い合わせ
A社
一番最初にコンタクトをとった会社です。広告を見てメールで問い合わせしました。すぐに日程調整の返信が来るものの、「仕事があるので平日の昼間は難しい」旨伝えたところ、連絡が途絶えました。シンガポールでは高額な保険を売るのにもオフィスアワー以外は対応しないの? と思わされた、驚きの対応でした。
B社
リサが口座をもつ銀行が代理店になっている保険です。なので対応してくれたのは保険会社の人ではなく、銀行の方でした。リサがメールと電話で連絡を取ったところ、週末にわざわざ私たちの家の近くの支店まで足を運び、専用ブースで丁寧に説明をしてくれました。シンガポールの大手銀行の銀行員ってエリートだと思うのですが、すごくスマートで丁寧、感じのいい対応でした。
C社
A社とB社を比較していた時、たまたま私が買い物先のモールで相談ブースを見かけた会社です。さらなる比較のためにプランを提示してもらいました。私の英語がおぼつかなかったのですが、すでに2社から話を聞いており、こちらの希望条件がクリアだったので、プランをもらうのはスムーズでした。対面では希望だけ伝え、詳細はメールでもらいました。
A社の別の担当者と話す
A社の対応が頭にきたので、詳細を聞く以前にA社は無いと思いました。しかし、A社にとってラッキーなことに、たまたま近所のモールで相談ブースを開いていたのです。感情的になっても仕方ないので、夫リサと二人で話を聞きにいきました。
話をしたのはもちろん、メールを無視した人ではなく、別の担当者です。私たちの加入目的が「貯蓄」というシンプルかつ明確なものであったこともあり、その担当者は込み入った話をすることもなく、手際よくプランの提示をしてくれました。
対面で一度話を聞いた後、メールで資料をもらったのですが、その資料が解読できなかったので再度時間をもらうことにしました。週末でもいいし、場所もどこでもいいと言っていただき、土曜日にその会社のオフィスに話をしに行きました。
日本も同じだと思いますが、保険販売は法律でどのような数字を顧客に提示するかが決まっているそうです。もらった資料にはあらゆる表があり、どれが何を意味するのか、素人がすぐに理解できるものではなかったのです。
保険料の内訳で会社の取り分まで明示した表があり、これは日本では馴染みがないので聞かなきゃ分からなかったと思います。
また、リターンは利率3.25%と4.75%の数字が書かれているのですが、これもルールで記載されているのであって、保証されたリターンではないとのこと。よく見れば「Guaranteed」と「Non-Guaranteed」と明記されていますが、勘違いする人は少なくないでしょう。
加えて、その他の疑問にも答えていただきました。
養老保険の種類
毎年引き出すプランと満期まで待つプランがある。もちろん、満期まで待つ方が高い利子が付くが、シンガポール人は前者を好む(毎年リターンがないと不安)
ボーナス
定期的な配当(reversionary bonus)と満期ボーナス(maturity bonus)があり、満期時に追加されるが、保証はされていない
他社との比較ポイント
リターンが良い商品はリスクがあることを理解して選んでほしい
倒産した場合
他社に買収される(→引き継がれる)、消滅する(→元本のみシンガポール政府が保証)
満期時の受取
シンガポールの小切手。日本の銀行で換金できるが、当然レートが悪いので、自分でシンガポールで換金するのがベター
3社の比較とA社に決めた理由
最終的にはA社に決めて、すべての手続きを終えました。
A社に決めた理由はシンプルで、一番リターンがよかったからです。貯蓄目的なので、要はいくらになって戻ってくるのかが私たちの最大の関心事。一応、保険なので死亡保障もついていますが、ここは貯蓄目的の場合各社あまり変わりのない微々たるリターンです。
まず、B社は話を聞いた時点で希望の20年のプランがありませんでした。15年プランしか扱いがなく、20年プランは1月に販売予定とのことでした。20年に対して強いこだわりがあったわけではありませんが、今回は余剰資金の貯蓄であり、20年待てないことはなかったので、見送りました。
ちなみに、B社と話している時、A社と比べていることを正直に伝えたところ、A社のプランの良さを認めていました。ですので20年プランがあったとしてもA社を選んでいた可能性があります。
C社は、一見リターンが良さそうだったので、A社とギリギリまで比べていました。しかしA社との二度目の面談で詳細な表の読み方を理解した後、C社のリターンがそれほど良くないことがわかりました。C社は保証されてないリターンを強調した営業だったためです。
A社から最終的にもらったプランと比べ、A社にはっきりと軍配が上がったので、A社に決まりました。
申し込み手続きと完了後
申し込みに必要な書類
A社に決定し、再びアポをとってA社オフィスに申し込みに行きました。申し込みに必要だったものは以下の通りです。
- 保険料の小切手
- IDカード(EP)
- パスポート
- 住所証明(公共料金の請求書)
- 日本非居住者であることの宣誓(日本人の場合)
保険料を支払うための小切手ですが、チェックブック(小切手帳)を持っていなかったので、銀行窓口で宛名と金額を告げて作ってもらいました(数ドルの手数料がかかります)。
また、最後の「日本非居住者であることの宣誓」については、A社が用意した書類に署名するだけでしたが、保険会社によっては住民票の写しの原本が必要になるそうです。日本から海外に税金逃れする人たちへの取り締まりが厳しくなった昨今、このような手続きは厳格になっていくようです。
申込書類は、担当者が対面で確認しながら埋めていってくれました。医療保険ではないので、健康状態に関する告知は最低限でした。その他も、養老保険だったためか、特別な項目は無かったという印象です。
すべての書類は後日「 Policy document(保険証書)」としてまとめて届くとのことでしたが、その場で重要な書類は控えをコピーでくれました。
ちなみに、私たちは小切手の支払金額を間違えていました。本来、5年分割で払うのですが、それを一括にしたことで保険料が割引になったのです。その割引前の金額の小切手を用意してしまったため、後日差額を返金してもらうことになりました。
申し込み後に届いた書類
申し込み後に下記の書類が届きました。
- 保険料を領収した旨のお知らせ(金額訂正前と後で2通)
- Policy document(保険証書)
- Policy documentの受け取り確認
Policy document(保険証書)が普通郵便で届いたのには仰天しました。書留で送るって聞いてたのに……。個人情報満載の書類なので、これは手渡しでもらった方がいいです。
一方多く支払ってしまった保険料の差額の小切手は、郵送する旨聞いていたものの担当者がわざわざ手渡ししてくれました。
満期までと満期時の手続き
満期までと満期時は下記のような手続きが必要とのことでした。
- 日本に本帰国する際は、新しい電話番号、住所、メールアドレスを必ず連絡
- 今後パスポートを更新した際は新しいパスポート番号も連絡が必要
- 毎年運用報告書が届く。よって連絡先は随時更新が必要
- 満期時は数か月前に連絡がある
- シンガポールの窓口に出向く
- パスポートを持参
- 原則小切手での受取だが、シンガポールの銀行への振り込みも可能
毎年運用報告書が届くとのことで、連絡先やパスポート番号の変更の連絡は忘れずにすみそうです。
保険料の受け取りは原則小切手と聞いていましたが、シンガポールの銀行口座が維持できていれば振り込みが可能とのことでした。本帰国後の口座の維持方法についてはA社、B社担当者から聞いていますが、今後も可能なのか不明瞭なのでここには書きません。
なお、保険金受け取り時は日本にいると思われますが、その際は日本で課税されるでしょう。いかんせん20年後のことなので、税金については受け取り時に調べたいと思います。
最後に
本記事をまとめるにあたり、ファイルに入れていただけの各種書類を整理しました。すべて書面に書いてあるとはいえ、20年後に読み直すのもしんどいので、日本語のメモもいれつつ、疑問が残らないようにしました。
また、再度シンガポールの生命保険について少し調べなおしたのですが、養老保険については下記のStraitstimesの記事が参考になりました。
Make (full) sense of insurance policies
http://www.straitstimes.com/business/invest/make-full-sense-of-insurance-policies
3.25%&4.75%のリターンの表も出てきます。サンプルの数字がすごい金額で、さすがシンガポール人はお金持ちだなぁとちょっと引きましたが…。
どこの国でも同じですが、自分が入る保険について、十分な理解と納得をしたうえで判断が必要だと思いました。
手当皆無の現地採用家庭が一年でためた金額なんて、本当にささやかな貯蓄ですが、それでも20年後、この保険料の受け取りのために二人でシンガポール旅行に来る日が楽しみです。シンガポールにタイムカプセルを埋めたような気分です。