続・ロボット・フォーラム in 恵比寿
(注意:この記事は前の記事の続きです。なお、以下の内容は素人の私が要約しているので、頑張って書いてますが、内容に誤りや誤解があるかもしれません…。ご了承の上お読みいただければと思います。>もし訂正のご指摘あればぜひお願いします。)
というわけで、「ロボット・フォーラム」の最後はあのロボットスーツ「HAL」を開発した山海教授の登場です!
4.基調講演:ロボットスーツ「HAL」実用化へ
散々テレビでも紹介されてますし、グッド・デザイン賞まで受賞したそうなので、知らない人のほうが珍しいかも?と思われる「HAL」。身に着けるとパワーアシストしてくれるロボット・スーツです。重たい荷物も軽々持てるという、一昔前は本当に漫画の世界にしかなかったような夢のスーツ。これを開発したのが筑波大学の山海教授です。
冒頭は自己紹介。アニメ大好き、でもアキバ系ではなくツクバ系…だそうです(笑)。もちろん経歴や実績の話もありました。
お話の大半は、タイトルのとおり、「HAL」の紹介がメインでした。脳からの信号を読み取り、体が動き出すより早くその信号を背中のコンピューターが分析し、スーツを動かしてパワーアシストするという仕組み。筋肉より早く機械が動く、という点が理解を超えていて、本当にすごい!と感動しました。
しかも、先生がもしガチガチの工学系の人間だったら、人間の動きをセンサーで読んでスーツを動かす、という仕組みを考えたかもしれないだろうとのこと。しかし人間の後追いはむしろ動きを阻害するだろうとの発想は、先生に医療の分野の知識があったからこそ、より人間の意思にそったものが作られたのだろうと思います。
そこで重要なのがサイバニクスというキーワード。それは、工学だけでなく、医学、行動科学、生理学、心理学、ITなどが融合したものをさす学術分野だそうです。ロボット工学だけでは解決し得ない、もしくは発想が及ばないものを実現していくために必要になるということだと理解しました。さらに、そういった成果が、「実用」の段階になれば、さらに法律や倫理の分野も関わってくるそうです。
講演の中では実際に「HAL」の素晴らしさを証明するようなエピソードもありました。ポリオで生まれてから数ヶ月でまったく足が動かなくなった男性が、「HAL」をつけることで足を動かす動画を見ました。
また、登山をしたいという夢をもった脊髄損傷の方を、HALを装着した理学療法士の方が背負って登山を成功させたというエピソードも。それはものすごく大変なことだったらしいですが、その模様を映した動画では、理学療法士の男性が一言「最高です!」とコメント。山海教授は「その一言ですべての疲れが吹っ飛んだ」とのことでした。私は「最高です」というコメントより、それで疲れがとれたという山海教授自身の優しさに心打たれました。
Cyberdyneという会社が設立され、HALは量産化に向けて動いているそうです。さらに研究も進められており、単関節に対応した小型化や、正座もできる形などが開発中だそうです。
…全体を通して、非常に興味深いだけでなく楽しい、魅力的なプレゼンテーションでした。パワーポイントはデザインがばらばらなんですが(笑)、そんなことはどうでもよくて、バランスよく画像や動画が配置されており、かつ教授の話が面白く冗談のセンスもあるので、すっかり夢中になりました。
今後のCyberdyneの動向に大注目です。
そして、また機会があればぜひ山海教授の話を聞きたいです。