映画「NO」

   

ラテンビート映画祭で「NO」を見てきました。当日券で十分だと思い、上映の30分くらい前に行ったら残席7!!!びっくり。ギャー。落ち着いて自動発券機を操作する自信すらなくなり、カウンターでなんとか座席確保しました。ただ、前から2列目の端っこというひどい席です。あんなひどい席で映画を見るのは物心つく前か初めてくらいです。右下から見上げるように薄いスクリーンを見る羽目になりました…。ラテンビート映画祭、基本的にはそんなに混まないイベントかと思います。昨晩も半分以下だったし。それがこのありさま。隣に座った人も私と同じくたかをくくっって来た人で、ガエル・ガルシア・ベルナル主演だから?と笑いあいました。

さて、この映画「NO」はチリで1988年に実際行われたピノチェト政権(当時の独裁政権)の是非を問う国民投票を描いた作品です。歴史に疎いので観賞後に調べたのですが、ほぼ史実通りの内容だったようです。国外の圧力で国民投票を行うことになったチリで、政権の賛成派と反対派がそれぞれ同じ条件でTVCMをうつことに。主人公の新進気鋭の広告マン、レネは新しい感覚で「NO」の映像プロモーションを展開し、劣勢と思われた反対派の機運を盛り上げていくというお話。作品中に使われた映像や、ガエル・ガルシア演じる主人公も実在の人物のようです。

作品の大半がTVCMの映像だったような印象を受けるくらい、ひたすら反対派のプロモーション戦略が展開されます。面白いのですが、(私の席が)見づらいのと丁寧に展開を追わなかったのもあって中盤は少し眠くなりました。ですが後半に賛成派が焦り始めるあたりから物語がクライマックスに向い、面白くなりました。

そして胸のすくエンディング。ちょっとほろっときます。実際の戦いはTVCMだけで行われたものではないでしょうが、それでもとある一つの視点から大きな戦いに戦略的に挑む男の姿を見守るという面白い作品でした。ガエル・ガルシアの演技もよかったです。子供が危険にさらされそうになったとき、半泣き顔で歩くあの表情は、席を埋めた女性ファンを満足させたに違いありません(笑)。

普通に上映してお客さんを集められるかは微妙な印象でしたが、一回の上映であれだけ席を埋めたので、どこかの映画館で少し上映されるのではと思います。人間ドラマというより近現代のドキュメンタリーに近い作品として興味を持てる方にはお勧めかなと思いました。

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