本「「文系・大卒・30歳以上」がクビになる―大失業時代を生き抜く発想法」
「「文系・大卒・30歳以上」がクビになる」という本を読みました。…完全にタイトルにつられたという読後感。
全部で7章ですが、大体3部くらいになっていて、冒頭で企業のホワイトカラーがいかに不要に増えたかという話があり、続いて企業のリストラ・ストーリー、最後にこれからの時代を生きるにあたっての著者の意見が書かれてました。
何度も何度も「増殖しすぎたホワイトカラーは要らない」という主張が繰り返されるのですが、読み方がいい加減だったのか、途中からホワイトカラーの定義がわからなくなってしまいました。技術と営業は除くみたいなニュアンスもあったけど、管理部門の人たちのこと?そうなると物作ってない会社とか、全員ホワイトカラーのような気がするけど…。(私の今の職場なんて完全に全員ホワイトカラー。)
冒頭で繰り返されるのはホワイトカラーがいかに無駄な存在といこと。管理部門などで「仕事を作るための仕事」みたいなものが無駄に増殖した、というのはなんとなく想像つくし、思い当たることもあるのですが、いかんせんデータが無い。他の本の感想でデータ分析は嫌いとか言っておきながら、数字が無いと印象で書いているのかなぁと思ってしまいます。
後半の意見も、なんだかぼんやりした観念ばかりという印象で、もっと具体的な提案や話をして欲しいと感じました。日本の労働施策が失業予防に重点を置いていて、失業した人たちの保護に対しては不十分、という点に関しては「流動化の話をしてるのかな~」と思いましたが、その主張には同意しつつもやはり具体的な提案や話がなくてインパクトに欠けるのでした。
ただ、真ん中に差し込まれてるリストラ・ストーリーはちょっと面白かったです。これは企業がいかにリストラを進めるか物語仕立てで書いてるのですが、まるで今私の職場で起きていることだったので…。読んでて自分が今の職場を去る日が意外と近いんじゃないかという気がしてくるリアル感でした。
タイトルで「文系・大卒・30歳以上」と言ってますが、これは筆者が言うところのホワイトカラーの人たちのことだと思います。実際は男女でも違うし、文系・理系ではっきり仕事が分かれるわけでもないし、高卒・院卒が除外されてる説明も無いし、象徴としての言い方なんだと思います。
…物足りなかったなぁ。雇用を扱った新書にはデータと具体的な主張や提案が必要だと改めて思いました。