「バカロボ2008」を観てきました
「バカロボ2008」を観てきました。昨年初めて開催されたこの「バカ」を競う史上初の(?)ロボットコンテスト、とりあえず今年も開催されたこと自体がすばらしい。(※去年の模様はこちら。)
しかし、去年の反響がイマイチだったのか、全体的な規模が一回り小さくなってました。会場が狭くなり、出場ロボットが減り、そして審査員が減っておりました(笑)。去年よりアットホームな雰囲気に。面白いのにねぇ。でも、まぁ、ちょっと笑いがシュールですかね。
司会は去年と同じ南海キャンディーズの山ちゃん。山ちゃん!名司会者!今年も山ちゃんで嬉しい!審査員にはしりあがり寿先生とぜんじろう氏に替わり、辛酸なめ子さん登場。ものすごい切れ味鋭いコメントで会場を沸かせておりました。
出場ロボットは全部で6体。出場順に紹介&感想を書きたいと思います。最後には優勝ロボットも書いてます。
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1)節々クネクネ武士道ロボ「まがる剣&殿めっと」
殿様が登場。手に刀を持ち、頭にはマゲがついたメットを被っています。どちらもくねっと曲がっているのですが、刀は体が震えると伸び、マゲは心理的に動揺すると伸びるとのこと。「楽天でスクール水着を買ったことがある」、などと怪しい尋問を受け、伸び縮みをする刀とマゲ。つまり、これはウソ発見器なんですね~。デモは普通だったのですが、デモ後に審査員の樋口監督がつけて試したら会場が一気に盛り上がりました。ぴくっ、ぴくっと、絶妙な・・・いやらしい動きをするのです。刀は体の振動を感知し、マゲは手首につけたセンサーを感知しているそうです。エンターテインメントコンピューティングなんて分野があるんですね。普通に商品になったら面白そうなロボでした。
2)飛び出せ!アイドルロボ「YKRN」
ゆうこりんを立体スキャンしたお面をつけたアーム型ロボが登場。人の顔を認識し、追跡したり、飛びかかったり、首を引いたりします。土佐社長の表現を借りれば、まんま「ろくろ首」ロボといったところでしょうか。見た目がかなりシュール。そして、これを作った東大の先生がかなり不思議系で面白い。この先生はソニーの有名な研究者だそうで、審査員の稲見先生は憧れの人だと、抱擁しておりました。私はこういう優秀な研究者や先生で、変てこりんな空気を持った方が大好きです。ちなみに「YKRN」は「ゆうこりん」の省略だそうで。先生、ゆうこりんが好きなのかな。
3)人工知能エロエロボ「用無し」
「まだ独身」と書かれたTシャツを来て登場したスウェーデン研究者の登場。日本語を分析しまくって作ってきたというのが、下ネタ変換ロボ。・・・。ロボット自体は既製品だったのですが、彼らの下ネタ会話が作品だったようです。デモの後、実際にそのプログラムを直接説明してました。適当な言葉を入れると、適当なギャグが返ってきます。なんだこりゃ。でもすごいなぁと思ったのが、その返ってくるギャグはネットを検索して分析して拾ってきてるそうなのです。山ちゃん曰く「未来のパクリ」。物としてのロボットは無かったけど、こういうプログラムが未来のロボのコミュニケーション能力になるのかな。でも下ネタは嫌だな(笑)。
4)顔面認識ロダンロボ「考えるロボ」
「考える人」を模したロボ、「考えるロボ」が登場。顔がモニタで体は考える人です。「そうそう」と「うるさい!」が口癖で、出演者の男の子と漫才のような会話を繰り広げてます。会場の人に顔に認識用の枠を当ててもらうと、このロボはその顔を認識して、自分の顔であるモニタにその顔を映します。その顔に勝手に唇を合成し、勝手に暴露話をさせたりしてました。その後怒って貧乏ゆすりしたり、逃げるようにモニタがWindowsの省電力モードに変ったり、やりたい放題。漫才みたいで面白かったです。デモ後にもロボが絶妙なタイミングで「そうそう」とか「うるさい!」とか言ってたのですが、あれは会話を認識してるのかな?顔認識の話だけで、会話の技術的な説明がなかったのが少し残念。
5)帰ってきたナニワの四足歩行ロボ「プッシュくん&YOMEプッシュ」
昨年会場をわかせたゴミ箱型ロボット「プッシュくん」が、お嫁さんの「YOMEプッシュ」ちゃんを連れて帰ってきました。二人で前後に並んで手を振りながらの登場シーンはかわいかったです。残念ながら音が悪くてあまり会話が聞き取れなかったのですが、非常にナニワ風なショーだと思ったのは私だけでしょうか。かわいいけれど、ここは東京。なんというか、微妙な空気。大阪のおばちゃんとかにはウケそうなのだけど。デモ後はやたら出演者の岩気社長がいじられておりました。主役はロボットですよ!
6)発砲スチロール脱力ロボ「TSUNEOと仲間たち」
去年女子高生のチームが出場したのですが、今年も同じ高校から参加。なんか、またとっても微妙なロボを持ってきてくれました。登場ロボは3つ。スパンコールが好きな豚のスパンキー。口からスパンコールを吸い込むと、下腹部から勢いよくスパンコールを撒き散らしております。続いて、象のパオ。頭にぴょーと伸びる笛をつけてます。そして最後がTSUNEO。寝転んでる爺さん。腹がどんどん膨らんで、最後に風船(?)が割れて、それでおしまい。面白さはなんとなくわかるけど、、シュールすぎるでしょ。特にスパンキー・・・。脱力の名にふさわしい。
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以上で6体のバカロボのデモ終了。協賛企業の宣伝のあと、優勝ロボが発表され、今年のバカロボは「YKRN」になりました。東大の面白い先生おめでとう~!ちなみに優勝賞金50万円は、研究所にインドネシアの学生がいるとのことで、みんなでインドネシアに研究旅行に行く資金に使うかもだそうです。いやー、楽しそう!
そんなわけで、今年のバカロボも楽しかったです。来年もやってほしい。というか、ロボットイベントの一つのジャンルとして続いてほしいです。というのも、このイベントって結構意義深いのではないかと素人ながらに思うのです。これまで色んなロボットイベントを観てきましたが、去年初めてバカロボを観たとき、「これがまさにエンターテインメントだ」と思いました。ヨシモトがやっているのだからそれなりのレベルになるのは当然ですが、3,000円払っても惜しくないと思わせるロボットイベントはこのバカロボくらい。つまり、産業ではなく、エンターテインメントの分野でロボットが活躍できる場を、このバカロボは確立できるのではないかと思うのです。
そういえば「ROBO-ONE GP」の紹介ページが「ROBO-ONEエンターテイメント」という名前に変ってましたが、エンターテインメントってバカロボみたいなイベントだよ!・・・と、個人的には強く思ってしまいます。(ROBO-ONEにはROBO-ONEの面白さがありますが。エンターテインメントって・・・違うと思う・・・。)
最後に審査員の稲見教授が、「出場者に研究者が増えてきて、背徳的な喜びを感じる」と言っていたのが非常に言い得て妙でした。真面目そうな研究者がバカをやる。素敵じゃないですか。すごく魅力的。・・・バカロボ三原則の2つめは、役に立たないことなのですが、できた物は役に立たなくても、その技術が結局は何かの役に立っていく気がするんですけどね~。それは妄想かな(笑)。