映画「海を飛ぶ夢」
事故による四肢麻痺のために28年間、家族の介護で生活してきた主人公ラモンが、「尊厳死」を求めるというストーリー。
人から勧められて観た映画です。とてもよかったです・・・。最初から最後までぐぐっと来るような展開だったのですが、すべてが終わりを迎えてエンディングロールが流れた途端、どぁーーーーっと涙が止まりませんでした。
涙は色んな種類がありますが、この映画で流した涙はすごく「痛い」涙でした。悲しいからなのか、なんなのか、よくわかりません。ただ、「尊厳死」というとても難しいテーマを一緒に考えていくうちに、矛盾するような周囲の人々の「思い」すべて共感できて、つらい気持ちになったのかもしれません。
言葉一つ、一つがとても重くて、それぞれの人たちの思いをとても丁寧に描いてます。ラモンは、家族にも、友人にもとても愛されているのです。ラモンが望むことは「死」。でも彼を愛する人たちは、彼を支えつつも、やはり「死」を望んでいない。愛しているけれど、その思いに応えられない。
画面もとてもきれいです。窓から海へと飛び立つシーン。車の中から見えたたくさんの風車。しずんだ空の色。ラモンの視点から見るその風景から、彼の気持ちがじんわり伝わってきました。
この映画は実話に基づいているそうです。生きることは「権利」ではなく、「義務」だった・・・というラモンの言葉。彼の思いは周囲の人たちだけでなく、この映画を見た人たちみんなに伝わったのではないでしょうか。
オススメ度:★★★★★