本「つれづれノート」第14巻
年一冊、毎年恒例となっていた銀色夏生のエッセイ、「つれづれノート」第14巻が発売になりました。こちら、なんと最終巻とのこと。エッセイだから本人が生きている限り続くと勝手に思ってましたが、突然日記の終盤に終了宣言があり、かなりびっくりしました。
以前、ファンレターの内容に不快なものがあったらしく、飄々と「今後一切ファンレターは読みません」宣言をしたのにも驚きましたが、毎度伏線がないので唐突な印象を受けます。まぁ、小説じゃないので伏線をいつもひいていられないとは思いますが・・・。
さて、今回もいつもと同じようにだらだら楽しませてもらいました。全体として起伏は無く、なんとなくこの人の興味の向く方向や、子育てのあり方について読者が観察できるのが面白いという印象です。
反りが合わない長女を「殺したい」と書いたり、旅行や食事など、自分の気まぐれや我侭に子供達をつき合わせている印象が強く、一部の子持ちの親からは強い反感ももたれているようですが、結局彼女達も「読んでるから批判する」という「憎くても読んでしまう」変な魅力のエッセイなのです。
読書量と文筆力がここまで比例しない人も珍しい、というくらい本を読んでいるわりには文章が稚拙なのですが、詩人らしく、ときどき漏らす言葉にいい言葉があったりするのも魅力。初期のつれづれノートを読んだときは私も高校生?とかだったので、心動かされる言葉には線を引いたりしたものでした。もしかするといつかはこんな、シンプルだけど時々訴えるところがあるようなエッセイが書きたいとか思ってるのかも>自分(笑)。
なんだかけなしているんだか誉めているんだか統一感がない感想ですが、終わってしまうと聞いてとても残念です。また気まぐれに再開することをひっそり祈っています。
(※ちなみに自慢なんですが、私は銀色夏生の直筆のはがきを持っています。「波間のこぶた」のブタ君と、短いメッセージ入り。どうやって入手したかは内緒。)
つれづれノート13巻の感想はこちら。