本帰国前に行っておこう:ブキティマ自然保護区とマレー鉄道廃線跡レール・コリドー(鉄道回廊)
だいぶご無沙汰いたしました。年明けすぎから調子を崩してました。日本の冬は2回スキップしただけなのに、ここまで自分の耐寒性が落ちるとは思いませんでした。乾燥もきつい。。。そして1月中にシンガポールネタを終わらす、という年始の唯一の目標がいきなり達成の危機です(笑)。
年始は訪日旅行中の知り合いの知り合いのシンガポール人の方と話す機会があり、久しぶりにシンガポールの話ができて楽しかったです。客家系シンガポーリアンにも拘わらず、サンダーティーライスをご存知ないという衝撃のエピソードがありました。
さて、シンガポール在住中に行っておいてよかったと思ったり、本帰国前に駆け込みで行った場所について紹介シリーズです。第五弾は、「ブキティマ自然保護区とマレー鉄道廃線跡レール・コリドー」です。
Contents
シンガポール最高峰「ブキティマ・ヒル(Bukit Timah Hill)」があるブキティマ自然保護区
シンガポールに来たばかりで部屋探しをしてた時、何かの会話の流れで夫リサが「シンガポールのマウンテン」と言ったら、不動産屋さんに「シンガポールにマウンテン(山)は無い! ヒル(丘)だよ、ヒル!」と笑われたのが印象的でした。
マレー半島の先の小さな国、シンガポール。そう、山が無いんです。一番標高が高いのが丘で、それが今回紹介するブキティマ自然保護区の中にあるブキティマ・ヒルです。標高は163.63m。数字だけ聞いてもピンときませんが、東京の高尾山が599mですから、その3分の1未満と思うと、やはり丘なのかなぁ、という高さです。
そして、ここはその名の通り自然保護エリアです。豊かな熱帯雨林、そしてそこに生きる動植物が保護されています。シンガポールが独立するずっと前、19世紀の初めにはこのエリアが森林保護地区の一つとして選ばれ、政府系植物園により管理されてきたようです。そのおかげで20世紀に入っても他の地域のような森林伐採から逃れてきたそうです。
National Park Board: Bukit Timah Nature Reserve
https://www.nparks.gov.sg/gardens-parks-and-nature/parks-and-nature-reserves/bukit-timah-nature-reserve
シンガポールの国立公園はどこも緑が豊富なので、ここだけ特別な印象は持っていなかったのですが、以前ご紹介したスンゲイブロウと同様、ASEAN遺産公園にも指定されており、他にはない保護施策がされているのかもしれません。
→スンゲイブロウについて「美しい朝焼けと自然を独占! スンゲイブロウ湿地保護区で早朝ウォーキング」
シンガポールの頂上(Bukit Timah Summit)に行ってみた
正直、それほど興味はなかったのですが、地元の知人たち(シンガポーリアン)がお別れの食事会を開いてくれたとき、公園の話になったのです。知人の一人から「僕が一番好きな公園はマウントフェーバー公園。次がブキティマ自然保護区なんだ。行った?」と聞かれました。
マウントフェーバー公園はちょうど、少し前に行った後でした。
→「高所恐怖症がマウントフェーバー公園に行った話」
しかしブキティマ自然保護区には行ったことがない……と、急に気になり、週末に夫リサと二人で行ってみることにしたのです。
アクセスはバスを乗り継いで行きました。下記の地図のBukit Timah Road沿いのバス停で下車し、Hindhede Roadの中を入っていくと園内に入ります。最寄駅はダウンタウン線のビューティーワールドで、駅から歩いても行けそうに見えますが、試していないのでわかりません。
ちなみに地図を見ていただくと分かるのですが、入り口付近にはコンドミニアムが何棟か建っていて、人も住んでいます。車がないと不便な場所ですが、緑に囲まれて暮らしたい人たちには、自然にどっぷりつかれる場所なのかもしれませんね。連日サルの訪問を受けたりするようですが……。
道は全部で6つ、4つのウォーキングルートと、マウンテンバイク・トレイル、カンポン・トレイルがあります。4つのウォーキングルートはレベル(難易度)で選べます。後者の2つは見ていないので……どんな道かわかりません。私が体力に自信がないので、迷わず一番楽なルート1を進むことにしました。
園内は2016年に階段、遊歩道、柵などを整備したそうで、とても快適なウォーキングを楽しめます。まず、コンドの建物を横目に道なりに進むと、ビジターセンターがあります。ここはいろいろな展示や虎のレプリカなんかが見られるそうですが、私たちは覗かずそのまま突き進みました。
すると、ここからが一番楽なルートとはいえ、一番大変な道が続きます。勾配がきつめの坂が延々と続くのです。お散歩気分で来ると、痛い目を見ます。道が広いので休んでいても他の人を邪魔することがなかったのが救いでした。
そしてようやく坂が終わったと思ったら今度は階段です。見上げてうっ。。となるような階段ですが、これを上らないルートは遠回りの上り坂を上り続けることになるので、これが最短ルートのようでした。これまたきつくて、休み休み、そしてゲフゲフ言いながら上りました……。
階段を上り終えると突如視界が開け、広場のような場所に出てきます。
着きました! シンガポール最高峰 Bukit Timah Summit。
うーん。思っていたほどの感動は無い(笑)。
マウントフェーバー公園のように見晴らしがよくないので、「丘の上」感が拭えない感じでした。いや、丘の上なんですが……。
そして、想像以上にハードでした。スポーツウェアに身を包んだ人ばかりだったのも納得です。道が整備されているとはいえ、歩きやすい靴や服装で来た方がいいです。飲み物やタオルも忘れずに……。
上った感想ですが、知人が「マウントフェーバー公園が一番」と言った気持ちがわかりました。このブキティマ自然保護区、延々と森の木々の中を歩くことになり、眺望を楽しむ感じではありませんでした。それは頂上も同じで、高台にも関わらず木々に囲まれているため、マウントフェーバー公園のように遠くを見渡すことはできません。
森林浴や動植物を楽しむ目的ならうってつけなものの、高い場所から眺望を楽しむ場所ではないようでした。(すみません、他のルートを見ていないので言い切る不安がありますが。)
そして私たちはハードなウォーキングを成し遂げた達成感はありましたが、楽しめたかどうかは微妙な気持ちを抱えたまま、同じ道を戻ることになりました。
マレー鉄道廃線跡に侵入する
気分的になんとなく消化不良に終わったブキティマ自然保護区。疲れてはいたものの、夫リサも私もまっすぐ帰る気にはなれません。
そんな私たちが帰り道に目にしたのが、マレー鉄道廃線跡でした。
マレー鉄道は、マレーシアの鉄道です。ただ、シンガポールはもともとマレーシアから独立したという経緯があり、そのマレー鉄道の線路と駅がシンガポール国内にもあったのです。それがもろもろの権利問題などがあったらしく、大半の線路と駅が廃止になったのが2011年でした。
2011年……それほど昔じゃないんですよね……。でも私たちがシンガポールに来た2015年には国内ですでに、「懐かしの旧マレー鉄道」という存在になっていたのです。
現在線路は外され、当然電車も走っていないのですが、線路、駅舎、鉄橋などがところどころ残されており、さらに、廃線跡の一部がレール・コリドーという遊歩道として整備されています。
正式にどこからどこまでが出入りできる場所なのか、オフィシャルな情報は見つけられなかったのですが、近くまで行けば入れるか、歩けるかがわかると思います。私たちも、たまたまなんですが、ブキティマ自然保護区の入り口付近にこの鉄道跡に入れる場所を見つけ、半ばよじ登るような急な場所を上って入りました。
上ってすぐは鉄橋と線路跡がこんな風に残されていました。
線路跡を歩くなんて……スタンド・バイ・ミーですね。雰囲気はありますが、実際は歩きづらいので、一部楽しむ程度に残してもらうので十分でした(笑)。
私たちはこのまま北上していったのですが、道はこんな感じ。
道の左側は大通りで、車がガンガン走り、コンドミニアムがにょきにょきと建っているような場所なんですが、しっかり緑で覆われているため、まるで騒がしい場所にいることを感じさせません。ピースフル、という形容がぴったりくるような静かな道でした。
土曜日の午前にも関わらず人も少なく、道中はほぼ二人きりだったので、鼻歌歌ったり小躍りしながら歩きました。この日は曇り空でそれほど暑くもなく、平坦で楽だし、大変気持ちの良い緑の中の散歩になりました。
The Rail Mallでプラタを食べ、Hill View付近で道が途絶える
ブキティマ自然保護地区から北上すると、途中で鉄橋にさしかかり、そしてその右手にThe Rail Mallというモールが見えてきます。歩いてきた道からそのRail Mallまでは緩やかな坂が整備されていて、モールに立ち寄ることができるようになっていました。ちょうどお腹がすき始めたときだったので、吸い込まれるようにモールに向かっていきました。
このRail Mallは高層ビルが多いシンガポールでは珍しい平屋建てのようなこじんまりとしたモールで、店舗数も少ないです。食べたいものあるか不安だったのですが、リサがすぐにあるお店の前でフリーズしてました。なんと、プラタ専門店が……。
プラタ大好きな夫が他を選択するわけもなく、このお店に入りました。Springleaf Prata Placeというチェーン店で、入るのは初めて。プラタはもちもちで、期待を超える美味しさでした。思わずドーサも追加で注文したのですが、これまたパリパリで美味。「本帰国直前にこんな美味しいプラタ屋を見つけるとは……」とリサ、大変悔しがっておりました。それくらい美味しかったです。もっと早くに見つけられたらよかったのにね……。
プラタに後ろ髪をひかれながらRail Mallを後にし、元の道に戻ってもう少し歩きました。ちなみに、このRail Mallの前にある鉄橋がちょっとした観光スポットなのですが、実際に鉄橋を歩いて渡るのは非常に怖かったです。。高所恐怖症の方はご注意ください。
この先の道は、実はそれほど長くなかったです。というのも、この先にある鉄橋が完全に撤去されていて、そこで道が途絶えているのです。予備知識なしで歩いてきた私たちは、そんなことは知らないので、ただ前進のみ。
相変わらず人気がなく、すれ違う人もまばらでした。それた突然、本当に突然、左の草の茂みから、大量の白人のおばちゃん集団がゾロゾロと出てきたのです。かなり面をくらって二人で思わず噴き出しそうになった光景でした。このおばちゃんたち、一体どこから入ってきたの? と。
とりあえず「ハロー、ハロー」なんて親しげに挨拶を交わし、私たちと逆に南下していくおばちゃんたちの後姿を見送りました。
そして二人でおばちゃんたちが出てきた茂みを覗きに行ったところ、そこには細い下り坂が。そしてその先は道路に続いており、Hill View付近であることに気づきました。二人ともなんとなく、もういいか、という気分になっていたので、この坂を下りて私たちの散歩は終了。そして道に降りてから気づいたのですが、道の先は撤去された鉄橋があり、いずれにしてもそこから先には行けなかったようなのです。
推定2km超の緑の散歩を楽しみました。
雨が降らない涼しい日にお勧め
ブキティマ自然保護区とマレー鉄道廃線跡地。アッパー(北部)ブキティマ付近らしさを味わえる散歩になったかなと思います。どちらも、観光で行くにはエンターテイメント性に欠けるので、在住者のおでかけにお勧めかと思いました。シンガポールの最高峰に上った! というのもささやかな記念になるかと思います(笑)。
なお、マレー鉄道廃線跡の道は、舗装されていないし屋根もありません。雨の日は雨を避けるものがないうえに道がぬかるむらしく、大変悲惨だそうです。後日同じ道を走ったという知り合いとその話になり、その知人は途中で雨が降り出し、全身どろどろになったとか……。そして日差しも避けられないので、暑い時間や雨が心配な時は避けた方がよさそうです。
本帰国前に行っておこうシリーズ、次回は最終回です。