わが家のシンガポールの税金が高い! 外国税控除についての結末
去年の蔵出しのネタです。シンガポールは日本に比べて税金が安いのが移住のメリットの一つなのですが、昨年の春にわが家に来た税金の請求は、正直「高くない?!」というものでした。
わが家は2年(2回)だけ、夫リサの会社の補助でシンガポールの確定申告を税理士に代理でやってもらえるのですが、最終的な税額を見て驚き、そしてやたらページ数が多いシンガポールと日本の確定申告書類に慌てさせられました。
その高い税金の謎について、昨年11月に私が単身一時帰国した際、税務署で相談してきて解明してきました。謎と言うには素人過ぎて恥ずかしい話なのですが、知らない人も、まぁいるだろうと期待してのネタです。
結論から書くと、やはりシンガポールに来た年の税金の一部が、日本とシンガポールの二重課税になっていて、本帰国後に日本での最初の確定申告の際に控除が受けられる可能性があるとのことでした。
可能性がある、という含みがある言い方になったのは、相談した税務署の方があまり詳しくなく、資料をくりながらの結論だったので、本当に控除が繰り越せるのかは日本での確定申告まで確実ではない印象を受けたからです。
また、本帰国後最初の確定申告で、そもそもどの程度の源泉徴収があるか(どの程度の収入があるか)が不明なので、活用しきれない可能性があります。
そのような結論を前提に、まず、なんで我が家のシンガポールの税金がバカ高かったかという点についてからお話します。
これは前回の記事にも書いていますが、下記が収入として計算に含まれていたためでした。
- シンガポール移住前の日本からシンガポールへの出張に関わる費用
- 交通費(飛行機、現地での移動費)
- 宿泊費
- 日本の給与をシンガポール滞在日数で日割りしたもの
- シンガポール移住の際の諸経費
- 下見の渡航費用(飛行機、宿泊費など二人分)
- アロケーションサービス(移住のサポートをしてくれるサービス)
- 引っ越し費用(日本→シンガポール)
- 渡航費用
- 一ヶ月の仮住まい家賃
- 引っ越し補助
この中で、2点目のシンガポール移住に際しての会社の補助が、シンガポールでは課税対象になるということは事前に知っていました。この国で仕事を始めるにあたって必要な費用なのに、、という思いはありましたが、会社や人によって異なる点ですし、利益を享受しているという点で理解できなくもありません。
想定外だったのは出張の方です。普通に考えて、といいますか、無知をさらけ出して言えば、なんで日本でもらった給与の一部をシンガポール政府に収入として申告せなあかんねん、という感覚だったのです。シンガポール移住が決まる前の出張も含まれています。
これが相当な金額になります。リサは会社から費用が出る出張といえどホテルなどは質素な選択をする人なのですが、会社の都合で偉いとと合わせて高いホテルに泊まらされることもあったらしいです。
飛行機だって日本の会社で経費として払ってもらったものが、本人の収入になるという感覚がよくわかりせん。(シンガポールは通勤交通費が課税対象なので、それと同じ考え方なのかとは想像していますが。)
総額は、移住にかかった費用に負けないくらいの金額でして、結果的にリサは移住の年に数ヶ月しか働いていないにもかかわらず、高い収入での申告になり、それに応じた税額になりました。
もちろん、上記とは別に日本を出国するまでの確定申告は別途行っており、日本に納税しています。なので単純な私の脳ミソでも思いつくのが、「二重課税?」という話です。出張時の飛行機とホテルは(もやもやしますが)理解したとしても、給与の日割り部分は明らかに日本とシンガポール両方から課税されています。
この疑問をぶつける言葉で検索して出てきたの、が「外国税控除」という日本の税金の控除でした。
しかし、計算方法も申告方法もよくわかりません。控除って確定申告の時に課税対象額から引くものですけど、日本非居住者の私たちは日本の収入も納税も、そして当然確定申告もないからです。
それについて11月の帰国時、私が税務署に赴いて聞いてきました。
持っていった資料は、シンガポールの確定申告にあたる書類と、日本のそれです。前者には問題のシンガポール出張に関わる詳しい内訳も記載されていたので、英語に日本語のメモをつけて持参しました。
税務署は、日本出国前の住所地管轄の場所に行きました。住民票を抜いた場合、最後に納税を行った税務署に赴くのがルールだそうです。二重課税が含まれる申告はこの税務署にしているので、実際そうすべきでしょう。
出てきた職員のおじさんは、ふんふん、ととても丁寧に私のつたない説明を聞いてくれました。しかし、最後に鼻息荒く「というわけで、日本の税金返ってきますか?!」と訴えたら、眉尻下げて「よくわからないね~」と言われてしまいました。うへっ。
わからないじゃ済まないので、次の言葉を待ったところ、「詳しい人に聞いてくる」と奥に消えていきました。
私、以前も似た経験を二度もしてます。税務相談って最初に対応してくれる人はあまり詳しい人ではない気がします。話が複雑になって別のフロアに回されたことがありました。また、確定申告の時もリサの海外のストックオプションの申告手続きが分からず、若い人に聞いたらわからなくて、上の人が出てきたことがありました。
というわけで、今回もボスキャラ降臨させてしまったか、と相談ブースで固まっていたところ、同じおじさんが回答をもって再び登場しました。
そこで分かったのが、「外国税控除」の金額がきちんと算出されていたということ。日本の確定申告の書類での記載箇所を教えてもらいました。この金額を次年度の確定申告の際に控除額として使えるとのことでした。
なんだ、書いてあったのに気づかなかったよ、というツッコミは当然なのですが、考えたことがなかった控除なので、書類を見ていてもどれがそれなのかわからなかったのです。
金額は、所定の計算式を元に算出されたものだと思うのですが、恐らく実費(交通費や宿泊費)は含まれていないと思われ、決して高いとは言えない金額でした。とほほ、、です。でもないよりましな控除です。
そして、冒頭にも書きましたが、あくまでも「控除」なので、日本で収入を得ない限り、活用できないものになります。昨年は日本の収入がないので、この控除は使えません。それじゃ意味がないと思うのですが、税務署のおじさん曰く、恐らく3年くらい繰り越しできるだろうのことでした。
そんなわけで、わが家の「シンガポールの税金が高い」騒動は一応の納得と決着をいたしました。
ちなみに、わが家と同様にシンガポール移住前にシンガポール出張をした人って珍しくないと思うんですが、本当にみんな出張経費と日本での日割り給与を全部シンガポールに申告してるんでしょうか。日本とシンガポールで別の会社で働いており、かつシンガポールの税金に詳しくない個人の人は申告漏れしそうな気がしました。(でもってそれがバレるのかどうかも不明)