映画「風立ちぬ」

   


ジブリの映画「風立ちぬ」を見てきました。ネットの評判は賛否両論でしたが、よく読むと否定的な意見は子供向けじゃないとか、退屈だといった内容が多いみたいでした。実際、私も自分のジブリのイメージに固執すると、最初から最後まで違和感がありました。しかしそれは期待とか想像の方向性の話なので、そこを見る側が間違えなければいい作品ということでしょう。庵野監督の演技も、全然嫌じゃありませんし、むしろまっすぐな主人公の性格に合っていたと思います。

そして実際私が見た感想も、想像していた以上に大人向けの大人の映画で、恋愛映画でした。これはファミリー向けではなく個人的には完全にカップル向けだったと思います。

ストーリーは、戦時中ゼロ戦を設計した実在の天才航空技術者・堀越二郎を主人公にしながら、堀辰雄の「風立ちぬ」の恋愛物語を合わせた宮崎監督のフィクションです。モチーフはどちらも実話なので、見たことのない話の組み立て方だと思いました。どちらも知っている人には違和感のあるものかもしれませんが、どちらもよく知らなければ自然なドキュメンタリーであり、恋愛ストーリーです。前半は二郎のの幼いころの飛行機への憧れから始まり、やがて技術者として仕事につくまでが描かれています。そして後半は菜穂子との愛の物語。


いわゆる話の展開やオチが大事なのではなく、全体で描かれている堀越二郎という人物の30年間の、強い心を携え、たくましくも切なく生きた姿を感じるのがこの映画の見所だと思いました。なので、何がどうなった、という筋を追うのではなく、一シーン、一シーン大事に見ると最後の感動が深まります。

後半の菜穂子との愛の物語にたどり着くまで、かなり飛行機、飛行機しており、宮崎駿の趣味全開ぶりがすごくて若干戸惑いました。それは一部のマニアにはたまらないかもしれません。(恐らくマニアに十分応えている出来なのでしょうし。知らないけど…)しかし私も大正~昭和にかけての日本の情景には静かに感動しました。町並み、山、人々。二郎と菜穂子が過ごすホテルはすこしハイカラで、でもレトロな雰囲気が素敵だし、上司の黒川の家は昔ながらの日本家屋で、その畳に私も寝ころびたいくらいでした。

戦争のこと、軍機のこと、古き良き日本の風景、空、風、柔らかく美しく心の強い女性。宮崎駿にしか描けない組み合わせを十分堪能した気がします。技術がなくて、貧しくて。そんな昔の日本。懐かしむ立場ではありませんが、そんな時代をきれいなストーリーと絵にのせて残してもらえてよかったです。

もう一回みたいなぁ。いや、ほんと。ラストはなんとなく涙を我慢してしまいました。次見たらもっと泣きそう。

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