アンドロイド演劇「さようなら」

   


ロボット演劇、東京初上陸~!

というわけで、仕事は午後休をいただいて池袋あうるすぽっとで「アンドロイド演劇「さようなら」」を見てきました。10月のチケット予約開始日に鼻息荒く予約したのですが、全席自由席ながらも予約が優先で入れたので、予約しておいて良かったです。

そして、スペシャルだったのが平田さんと石黒先生のアフタートーク!…これ、私が行った初回上演限定の、急きょ決まったイベントなんです。上演後、脚本&演出の平田オリザさんとロボットを開発した大阪大学の石黒浩教授が登壇し、今回の舞台についてのトークを聞くことができました。舞台も興味深かったのですが、それ以上にこのお二人の話が面白くて、ものすごーいラッキーなオプションでした。(※ちなみに係員の方が、このトークは本当に急きょ特別に決まったものなので、どこかに書く際はその点強調してくれとの注意がありました(笑)。)

以下、まずは舞台の感想。その後トークの感想書きます。



舞台にはアンドロイド「ジェミノイドF」と、人間俳優が登場。ともに女性で、死んでいく人間にロボットが詩を読み続けるお話です。上演時間は20分と短いのですが、テーマがテーマだけに、濃厚な20分でした。お話自体は理解する、というより感じるものだったように思います。

残念だったのは、アンドロイドも人間の女優さんも、ちょっと舞台にしては声が通らない発声だったため、セリフが聞きづらかった点です。また、人間の女優さんが日本語ネイティブではないため、日本語のセリフのイントネーションに違和感がありました。テーマも脚本も好きそうな感じがしただけにその辺りは残念でした。

ただ、アンドロイドの数少ない動きの中でふと遠くを見つめる仕草は、女優さんより意味を持った空気を醸し出してました。また、女優さんがアンドロイドの手を取るシーンも印象的。生のないロボットと死を迎える人間との、複雑な気持ちの関係が静かに伝わって来るようでした。この辺は演出の素晴らしさでしょうか。

舞台はそんな感じ。

舞台の後は平田オリザさんと石黒先生が登場です。お二人が話し始めてまず驚いたのが、トークのテンポの良さ!お二人のコラボはすでに何度か西日本で上演されてきたと思うのですが、なんとも息の合ったトークでした。そしてそんなお二人の姿で印象的だったのが、お互いに強い刺激を受けあっているというのがすごーく伝わってきた点です。

アンドロイドを研究してきた大阪大学の石黒先生は、ロボットがいくら研究を重ねても人間らしくならないと感じていたところ、演劇によって人間らしさが宿せるといことがわかったそうです。間の取り方、距離、視線など、心理学からは学べなかった「人間らしさ」が、演劇からは学べたとのことでした。

一方平田さんは、演劇界に、人間の代わりではなく新しいものが入ってきた!と捉えているそうです。

今回登場したアンドロイドは遠隔操作型で、別室で人間の役者さんが動きと声を操作しているもの。来年は海外(オーストリア)で上演予定があるそうなのですが、日本からの遠隔操作も可能なので、いずれ多国間で同時上演も夢ではないとのこと。さらに、アンドロイドに役者の演技を記憶させて、さらにその役者本人がそのアンドロイドと演技するという自分同士の演技だったり、過去の名優の復活も可能。

ロボット演劇は3年後に商業化を目指しているそうで、たとえばピーターパンの飛行シーンだけをアンドロイドにして、人間ではできないようなアクロバティックな演技を、見た目も動きも声もその役者さんに似せたアンドロイドで見せることができる…なんてお話もありました。

トーク中、石黒先生がアンドロイドに直接マイクを向け、遠隔操作中の役者さんに質問している風景がとても面白かった(笑)。役者さんはカメラを通じてその映像を見つつ、自分でアンドロイドを操作して動きと声で答えられるのです。

演劇界にとっても、ロボットが非常に大きな可能性を与えているんだなぁと思いました。

先日未来館で未夢の開発に関わった三浦さんが、ファッションショーやダンスなどでロボット以外の専門家と一緒に仕事すると、新たな可能性が開けるという話をしていましたが、まさに今回のロボット演劇もそれだと思いました。

しかも平田さんと石黒先生の相性がすごくいい気がする(笑)。というのも、平田さんにも石黒先生にも、それぞれ自分の分野にクリアなビジョン(夢)を持たれているという印象があったからです。

…今日は一観客として舞台を楽しみに行ったのですが、トークを聞いたことで、異分野のプロフェッショナル達がお互いの能力を高めあって何かを生み出す姿に触れることができて、とてもわくわくいたしました。

ちなみにこの演劇は科学研究費で開催されてるそうです。何やら関係者の方がコメントされてましたが、ぜひ今後もこういったものにはお金を惜しまないでほしいです。

今後も注目!>ロボット演劇

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