アップルストア銀座で「ASIMO」の話
久々にロボットネタ。
今日は仕事帰りにアップルストア銀座にダッシュして、アシモのデザイナー輿石健さんの話を聞いてきました。技術だけでなくデザインやプロモーションも秀逸なアシモですが、不思議とデザインについての話をじっくり聞く機会はなかったので、とても貴重な機会でした。
アシモの歴史で始めて知ったのが、P3とASIMOの間に非公開の「P4」というモデルがあったということ。輿石さんはこのP4の試作機から関わったそうです。
アシモのデザインのコンセプトはかなりクリアで、「先進」性と「親和」性の「調和」がとれた状態をベストとしてデザインしているとのこと。
先進性とはとんがった新しい/かっこいいイメージで、アシモはそのコンセプトの下、宇宙飛行士のイメージが取り入れられたそうです。一方で親和性とは、親しみやすさ/かわいいというイメージ。P3以前にはなかった目や口がついたのも、この親和性を出すため。体は子供に近い6頭身で、身長は人間の生活空間で120cmがミニマムと算出されたそうです。(新型アシモはオフィスユースを考えて130cmに。)
現在のアシモが生まれる前の他のモックアップも見せてもらいましたが、上記のコンセプトを見事に達成している、つまり一番調和が取れたデザインはやはり現在のアシモでした。
ロボットという、ヒトではないヒトのパートナーとなるべく生まれてくるものに対して、メカメカしくもなく、かわいすぎない(人形ではない)デザインの調和は、改めてすごいものなのだと感じ入りました。
さらに、ワゴンやトレー、名札などなど周辺機器も既製品ではなく、すべてデザインしているそうです。うーむ!そのこだわりにもアシモ自体だけでなく、「アシモの世界」が確立してる成功の背景をみてとれます。しかもそのグッズもアシモだけに使いやすいよう設計されたわけでなく、きちんと人間も使えるのが大前提で作られたそうです。
いやー、デザインって大切。見た目だけでなく、その裏にきちんと練り上げられたコンセプトがないと、中身がないも同然。そのコンセプトも、想像力が足りなければ薄っぺらいものにしかならない。そんな良い実例をアップルストアで聞くというのも、ずいぶん合点がいくシチュエーションでした。
最後の質疑応答では、昨今の経済危機で開発は大丈夫か、という質問が出ましたが、今のところF1はやめてもアシモをやめるという話は出てないそうです。
そうそう、アシモグッズのデザインも輿石さんが手がけてるそうです。正直、個人的にアシモグッズはどれもイマイチだと思ってるので、なんだか残念。(ぬいぐるみとか不気味なんですけど・・・。)ただ、かわいくしすぎないように目を出さず、かわいさはプロポーションで表現するなど、グッズなりのデザインの工夫があるようです。ホンダの年賀状とか、技術論文の表紙とか、そのほかの2Dデザインも見せていただきましたが、あまり好きではなかった(笑)。好みですかね。
ちなみに輿石健さんは大のMacファンだそうです。今日もリンゴノートでプレゼンされてました。まー、デザイナーという人種はそうなのかな。
良いイベントでした!帰り際、iTunesの1曲プレゼントカードももらってしまった。アップルストアさんありがとう~。