映画「誰も守ってくれない」

   

映画「誰も守ってくれない」を観てきました。「踊る大捜査線」の製作チームによる作品だそうです。この映画のプロモーションは私には全くリーチしてないのですが、ユナイテッドシネマ豊洲で観られる映画でテーマが興味深かったので選びました。

殺人容疑者の妹となった沙織をメディアから守るため、刑事の勝浦が一緒に逃走するお話。冒頭の解説によると、容疑者の家族が自殺を図るケースが多く、家族を警察が保護するということが非公式で行われているそうです。

以下、ネタばれ含む感想です。


うーん。イマイチ・・・。という感想です。TVドラマだったら秀逸だと思いますが、映画になると迫力も深さも物足りない感が残る作品でした。

テーマも冒頭の逃走に至るまでの経緯も、面白くてスピード感もあったのですが、途中からなんとなくだるくなりました。なんでかなぁ、と思ったのですが、恐らく登場人物の感情の変化の描写が足りないのではないかと。特に沙織の気持ちは最後までわかりそうでわからなかったです。

テーマ曲と、役者、冒頭のテンポはすごくよかったと思います。穏やかでどこか悲しい音楽が流れる中、兄が殺人容疑で逮捕されるという非日常を突如突きつけられる沙織。容疑者と苗字を変えるために、両親は離婚と婚姻の書類にサインし、兄以外の家族を母親の旧姓に戻す手続きを淡々とさせられるするシーンは迫力がありました。

ただ、その後からはよくわからないまま逃走に振り回される感じ。追っ手はやがてメディアからネットの住人(一般人)と変わっていき、悪質になっていきます。逃走の過程で、加害者と被害者のそれぞれの立場と感情の描写のバランスをよくとってるなぁと思いましたが、そこで沙織の気持ちがよくわからないままなので、どこか観ていて息苦しいのです。

オタクの描写もひどかったなぁ。ネットの書き込みの仕方とか、私もよく知ってるわけじゃないけど、少し取材不足な感じが・・・。そういえば、佐々木蔵之介の存在意義がよくわからないままでした。

最後は収集がつかなそうな展開をよくまとめたと思いましたが、ケムにまかれた感じもいたします(笑)。

犯罪加害者の家族を描いた作品では以前、是枝監督の「DISTANCE」を観ましたが、まったく違うタイプの作品で、比べてしまうとやっぱりこちらは心理描写が足りないです。好みの問題でしょうか。・・・興味のある方はDVDでよろしいのではないかと思います。

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