母乳が出ない……母子分離、NICU通い母の母乳苦労話(2)
「母子分離、NICU通い母の母乳苦労話(1)」の続きです。
母乳の運搬
NICUへは母乳を冷凍して届けます。届けた母乳は病院の冷凍庫で保管してもらっているのですが、一日一回、一日分を解凍して用意する(調乳する)とのことでした。
さて、この冷凍母乳は以下のようにして用意しています。
まず、自宅の冷蔵庫に100均で買った保冷剤とステンレスのトレーを平置きし、搾乳したらすぐにそのトレーに載せてできるだけ早く凍るようにしています。
そして凍った母乳バッグは、冷凍庫内で小さな保冷剤が複数入ったビニール袋に、保冷剤の間に挟むように移していきます。
病院に行く際はこのビニール袋ごと保冷バッグに入れて、運搬します。
……運搬を始めた当初は、凍った母乳バッグのみをビニール袋に入れ、大きい保冷剤と一緒に保冷バッグに入れて運んでいました。しかし、早々に溶けかかってしまったのです。
溶けかけを指摘してくれた看護師さんから、保冷材は小さなものを複数用意し、その間に母乳バッグを挟むようにして持っていてくださいというアドバイスをもらい、上記のようなスタイルに変更しました。
以降、溶けかけたことはありません。量が少ない方は特に注意です。
ちなみに、母乳が溶けかかっていることを指摘されたときは泣きそうでした。非常に苦労して搾乳したおっぱいが、ダメ出しされたわけですから……。その母乳が使ってもらえたかはわかりませんでした。(一度溶けた母乳を再冷凍して使うことはできません。)
搾乳の記録(母乳量の推移)
私の母乳の分泌量ですが、退院後から「搾乳ダイアリー」に赤ちゃんの成長の様子と共に記録していました。
分泌量の記録は病院で指示されたり、アドバイスされたりして始めたものではないのですが、増減を客観的に把握するのに役立つので、お勧めです。
入院中の搾乳量は記録していないのですが、1回あたり数ccだったと思います。そして、退院後は大体以下のように推移しました。
産後
- 14日:1~10cc
- 28日:10~30cc
- 42日:30~40cc
- 現在:30~60cc
早産のお母さんの母乳には、早産の赤ちゃんに合った成分の母乳が出ると聞きますが、私の場合、不思議と分泌量もヨーちゃんの成長に合わせた増え方をしました。
いつ追い抜かれて、また「もらい母」にならないかひやひやしながら搾乳の日々を送っていましたが、このまま直母が始まれば、また分泌が増えて相応の量が出てくれるのではないかと期待しています。
そして、すでに体重は1,000gを超えており、粉ミルクでも問題ないため、出なかったら出なかったで気負わずに混合でいきたいと思っています。
母乳の分泌量を増やすには
母乳の分泌が少なくて困っているお母さんは、多いのではと思います。私も悩んで調べたり、NICUの看護師さんに相談したりしました。
いろんな情報やアドバイスがあり、恐らくどれも正解だとは思うのですが、正解とその人に合った解決方法なのかは別のように感じました。
例えば水分補給。たくさん水分を取るのが大事としきりに言われ、積極的に水を飲んでいましたが、あまり因果関係は感じなかったです。術後のトイレがまだ辛い時期に、頻繁にトイレに行くのが辛くなり、強く意識して取るのはやめました。
それが特に悪影響ということはなかったです。もともと水分は多めにとる体質だったので、恐らく普通に生活していて十分な水分を取っているのだと思います。
また、もち米や生クリームが詰まる、というのも実感はありません。とはいってもどちらも避けられる食べ物なので、あえて食べてはいません。
そんな私にとって一番効果的だったのは、母乳マッサージでした。
おっぱいの出が悪いことをいろんな人に相談していた時、母乳外来を勧められたので、病院の母乳外来も視野に入れつつ、地元の助産院も調べてみたのです。
すると、すぐ近所に一軒あり、さらに自治体で一部費用の補助があることがわかったので、一度行ってみることにしました。
先生は、産科とNICUに勤務経験があるベテランの看護師・助産師さんです。
さっそくおっぱいを見ていただくと、乳房がとても固いとの指摘を受けました。また、乳首の掃除が今一つとのことでした(恥ずかしい)。施術はまず固い乳房をほぐしていただき、乳首を掃除。そしておっぱいが出るようにマッサージしていました。
初診時は酷い状態だったらしく、「今日一回では無理」と言われたくらいでした。しかし、施術後に触ってみたら、おっぱいがびっくりするくらい柔らかくなっていました。まさに「ふわふわ」になっていたのです。
このマッサージ後、明らかに分泌量がじりじりと増えてきました。
状態が悪かったので、最初の3回は週一回お願いしていたのですが、行くたびにおっぱいのレベルが上がっていくのを感じました。また、いただいたアドバイスにより、搾乳の方法自体もうまくいくようになってきました。
その後も、搾乳方法が悪くてしこりができてしまった時や、夜中起きられずに乳房が固くなってしまった時など、トラブルの際もとても頼りにしています。
先生の人柄も素敵で、ただおしゃべりしているだけでも元気になります。毎回最初に「おちびちゃん、元気?」と聞かれ、ヨーちゃんの成長を報告すると、一緒に喜んでくださるのが嬉しいです。
直母のトラブルや、おっぱいをやめる際の相談もできるので、ここにはヨーちゃん退院後もヨーちゃんと一緒に通う予定です。
また、よく言われることで、ストレスをためないというのは大事だと思います。私は産後3週間、実母の食事のサポートを受けたのがとても助かりました。周囲の人には、このような状況のお母さんを助けてあげてほしいです。
母と子をつなぐ母乳という存在
私はもともと母乳に強いこだわりはありませんでした。出なければ粉ミルクでいいと思っていました。もし、通常のお産でヨーちゃんを産み、母乳が出なかったら、早々に諦めて粉ミルクに変えていたと思います。
しかし、子どもを早産で産んだことで、母乳という存在の重みを感じています。お腹の中で育てられなかった分、母乳で赤ちゃんとつながっていられる感じがするからです。
搾乳するくらいしか母親らしいことができない、という思いもあるかもしれません。でも、娘ヨーちゃんが私の母乳で順調に成長してくれたのが、一番目に見える結果だったと思います。
おっぱいが出ないとき、作業に慣れないのもあって、苦労してようやく数cc絞った母乳を、こぼしたことがありました。涙が出そうなくらい辛かったです。
今でも時々、ヨーちゃんの主治医の先生が
「お母さん、おっぱい苦労されていましたよね。ヨーちゃんはお母さんのおっぱいだけで立派に大きくなりましたよ」
と声をかけてくださるのが、本当に嬉しいです。
頑張ってきてよかったと思うし、引き続き頑張りたいと思っています。もし、早産でこれから似たような状況を迎えるお母さんが読んでいたら、無理のない範囲で、でも諦めずに頑張ってほしいと思っています。
ヨーちゃんとのおっぱいつながりは退院後も続きます。また機会があれば記事にしたいと思います。