「駐在」と「現地採用」の違い
外国人が海外で働く形の大きな違いが「駐在」と「現地採用」。この2つの違いをネタにするには常識すぎると思う人がいるかもしれませんが、私はよく知りませんでした…。なので自分用のメモ程度に実感とか雑感とか書き残しておきたいと思います。
今年の初夏、シンガポール行きの話がほぼ決まりかけたころ、夫リサから「僕は駐在扱いにならないって言われた。ごめんね…。」と言われました。私は「駐在扱いにならない」ということと、リサが謝っている状況がよくわかりませんでした。で、この「駐在ではない」というのが「現地採用」であるというのも当時は知らなかったのです。…いい年してそんなことも知らないのかい!と言う人もいるかもしれませんが、自分自身海外就職はまったく興味がなかったし、結婚後に夫の仕事で海外に住むことも想像したことがなかったのです。その後ネットでシンガポールでの生活について情報収集をするうちに、「駐在」と「現地採用」の違いについて強く意識するようになったのでした。
駐在は日本の会社(もしくは日本の拠点)から、他の国に派遣される人たちです。日本の会社に籍を置き、一定の期間海外で本社からの支援(手当)を受けながら現地で生活をします。一方現地採用は、海外の会社に現地で直接雇用されている人達です。その国で普通に就職しているので当然日本の会社に籍はなく、日本からの支援もありません。
そして、この駐在の「手当」といいますか、待遇というのが一般的には相当金額になると聞いています。日本より好条件で働いている現地採用の人も少なくないと思いますが、駐在手当を含めると、両者には相当な差があるようなのです。当然手当は会社によって異なりますが、多ければ駐在の年収は現地採用の3-4倍になるそうです。シンガポールで月50~100万円の家賃を出してもらうだけで年間1,000万円前後になるわけですから、その他の車の所持(1,000万)、子供の学校費用、家族手当、日本人会の会費などを加えればそれくらいの差になるのかもしれません。
そういう実態を知って、私もリサの「駐在じゃない」という言葉の意味をようやく理解しました。
私がシンガポールに行くという話をしたとき、うらやましいとか、いい生活ができるのでは、といった反応がいくつかありましたが、そんなわけで暮らしが贅沢になったわけではありません。家賃は東京の2倍になり、ヨーグルトの値段も2倍になりました。私の収入が激減したことを考えれば、世帯年収は減っています。シンガポールは税金が安いので、(来年の確定申告まで)どの程度減税効果があるかはまだわかりませんが、いずれにしても贅沢な海外生活を送っているわけではありません。
シンガポール在住の奥様はやたらブロガーが多い印象なのですが、夫が駐在であること、現地採用であることの違いは内容からも感じられます。家賃が高い地域に住んでいたり、レストランでの食事が高額にも関わらずランチやお茶をマダム同士で楽しんでいる人たちは「駐妻」らしいな、と感じます。ですがそれはそれだな、と思うだけですし、現地採用の奥さんでやたら駐妻生活を批判したりと卑屈になっている人のブログを読んでいたら、ご主人が気の毒に感じました。
こちらに来て3か月弱。少しずつ生活に慣れてきて、自分たちなりの生活スタイルを確立しつつあります。「駐在」だったらもっといいところに住めたのかな、と最初は思いましたが、そんな思いも消えつつあります。日本人をまったく見かけないローカルな地域での生活は海外暮らししている気分に浸れるし、車は乗らないし、お酒もたばこも要らないので、ヨーグルトぐらい高くても食べちゃおう!と思ったり。なによりも今はリサのキャリアの大事な投資期間だと思っているので、私は家事をこなして二人の生活を楽しむことが大事だと思っています。
なお、私が「駐在」と「現地採用」の違いをよくわかってなかったのは、そもそも現地採用で働く日本人自体に馴染みがなかったからです。海外育ちだったり、海外の学校を卒業して現地で就職する人はともかく、自ら海外に出向いて現地の会社に就職する人たちの存在が身近ではありませんでした。そもそもそういった「現地採用」で働く日本人自体がかつては少数派だったのではと想像しています。(なんのソースも根拠もありません。すみません。)