ラテンビート映画祭でアルゼンチン映画2本「Estudiante」「Elefante Blanco」
ラテンビート映画祭でアルゼンチン映画を2本見てきました。「Estudiante」はアルゼンチン監督による低予算映画で、「Elefante Blanco」はアルゼンチン・スペイン・フランスによるブエノスアイレスのスラム街(ビジャ)を舞台にした作品です。
「Estudiante」(学生)
無気力な大学生活を送っていたロケが、美しい活動家のパウラに出会って学内政治活動に参加していくといお話。300万円くらいの低予算で7カ月くらいで撮影されたものだそうですが、そんな粗末さも手作り感も感じない良い作品だったと思います。
ただ、アルゼンチンの国立大学の運営がよくわからなくて、このお話の中心にある学内政治みたいなのがわからないと主人公の変化も展開も、そして全体の理解も難しいです。まさにクライマックス直前で私は眠ってしまいました…。
監督(アルゼンチン期待の新鋭監督。イケメン!)のティーチインがあったのですが、アルゼンチンで学内紛争みたいなものはわりと一般的みたいです。卒業すれば政治活動からは離れるそうですが、実際の政治家はやはり学生時代に積極的に活動をしていた人たちが多いそうです。
なお、作品は実際にブエノスアイレス大学の社会学部で撮影されたとか。…汚かった。。
「Elefante Blanco」(白い象)
ブエノスアイレスのビジャで、そこに暮らす人々の生活を変えようと奮闘する神父さんやソーシャルワーカーの活動を描いた作品です。
私自身、半月前にブエノスアイレスを訪問したわけですが、警察も近寄らないというビジャに足を運ぶことは当然ありませんでした。しかし、アウトピスタ(高速道路)からその姿を垣間見ました。中心部の華やかさとは本当に空気が違うのが、車の窓越しでも伝わってきました。作品中で町の遠くにアウトピスタが映るシーンがあり、やはりあの窓から見た風景がこの作品にあるのだと思いました。
ドキュメンタリータッチだったEstudinteに比べ、こちらは重い社会派ドラマです。しかし想像するに、決して現実離れしたものではなく、アルゼンチン社会の一面を見るのに非常に興味深い作品だったと思います。ビジャに生きる人たちの貧しさや薬や暴力に溺れる姿だけでなく、力強く明るく生きる姿に少し希望を見る一方、警察の強行な態度に驚いたりしました。
しかし作品はとてもよかったのですが、最後が辛くて、これが現実であってももう少し救いが欲しくて、苦しい思いを抱えたまま見終えてしまったのは残念です。そういう意味で、作品の制作者が何を伝えたかったのかが知りたかったです。
ちなみにこの作品もティーチインがあるはずが、登壇予定の人が行方不明になって中止に(笑)。こんな展開もラテン風味?