シンガポールから本帰国:帰国便はKL経由、LCC+ANAビジネスクラスで
いよいよ日本への出発です。部屋の引き渡し日が決まった出発約3週間前に、帰国便の予約をしました。実はこの帰国便を決めるにあたり、夫婦でおおモメにモメました。
本記事では、帰国便を決めるまでと、実際のフライトについて書きたいと思います。
倹約夫 vs 贅沢鬼嫁の帰国便論争
言わずもがな、片道の航空券は高額です。自腹帰国組には難題の一つです。
まず、直行便(東京行き)のJAL、ANA、SQあたりは論外の値段。早朝便のためちょっと安いデルタも、素直に払えない金額でした。どうしても直行便となった場合はデルタになったと思いますが、この時点で一度直行便は諦めました。(※以下、カッコ内は予約時点で調べた二人分片道の金額です。)
→除外:JL(S$2,105)、NH(S$2,100)、SQ(?)、DL(S$1,608)の直行便
次に、夫婦で一致していたのは、LCCのみで日本まで帰るのはキツイということ。また、中途半端に遠回りになる経由便も避けたいとなりました。
→除外:LCC、フィリピン・ベトナムなどの経由便
ここまでで残った候補は、日本もしくはシンガポールに近い場所を経由する飛行機です。具体的には以下の経由地なら許容範囲と思いました。
- クアラルンプール(マレーシア航空 or LCC+他便)
- 台湾(中華航空)
- 香港(キャセイパシフィック)
この中で、キャセイは全然安くありませんでした(S$1,888)。デルタの直行便より高かったので除外です。そして、中華航空はそこそこだった(S$1,128)のですが……それよりも何よりも、
マレーシア航空が圧倒的に安い(S$684)。見間違いじゃないかと何度か検索しなおすくらい安い。
もう、圧倒的に安くて、これまでの比較が意味をなさないほどでした。
これで「じゃあ、マレーシア航空で」となるのが当然の流れでしょう。しかし……ここで私の抑えきれないワガママがどーんと発動したのです。
ビジネスクラスに乗ってみたい。
この時調べたマレーシア航空・ビジネスクラスのお値段はS$1,880。シンガポールからのエコノミー直行便とほぼ同額です。そしてビジネスクラスの値段としては破格中の破格だと思いました。実際、ネット上でも安いと評判でした(※もちろん、購入時期によって推移します)。
しかし夫リサは「はぁー!?」な状態です。S$684で済むものをS$1,880払うかと。
そもそも、リサはビジネスクラスにそれほどの価値を感じていない人です。自腹で乗るなんてありえない選択なのでしょう。そして、お話にならないと思って取り合うつもりもなかったのでしょうが、今回は私がかなりしつこくしました。赴任と帰任がビジネスクラス利用の駐在ご家庭には笑われてしまいそうですが、庶民中の庶民の私は「一度はビジネスに乗ってみたい!」と真剣でした。
リサが全く取り合わないというか、むしろ(珍しく)怒り始めたので、今度は「差額は私が払う」と言ってみました。実はこのセリフ、リサには響かないというのは認識済み。たとえ私の小遣いであろうが、わが家からの無駄な支出である、という状況は変わらないのです。
そして案の定無視されたので、今度は別の作戦に出ました。国際線によく乗る人ならご存知かと思いますが、KL発券の安さを利用しました。
シンガポール→東京の直行便はANAでS$2,100なのですが、クアラルンプール→東京は同じANAでもS$1,015と、約半額ですみます。そして、シンガポール→クアラルンプールはLCCを利用すれば、それほど高くありません。さらに狙うはリサのANAマイルです。2人分アップグレード可能なマイルを持っており、今後使うあてもなかったのでした。
ただ、乗り継ぎの都合でKL泊が避けられない事態になり、結局の試算は下記のようになりました。
SIN→KUL(S$180)※+KUL→NRT(S$1,015)+KLホテル(S$170.09)=S$1,365.09
※30kg/1人の超過荷物料金含む
ここでまた、S$684で済むものをS$1,365.09払うか……という議論になるのですが、私があまりにもしつこいので、リサがとうとう折れました。贅沢を言う鬼嫁の粘り勝ちです。
たぶん、最後くらいいいかと思ってくれたのでしょう。私もわがままを聞いてもらったな、という自覚は強くありますし、とても感謝しています。実際にビジネスの乗ってみて満足し、「こういうものか」と納得できたのも結果的に良かったと思っています。
LCCでクアラルンプール(KL)に移動し、KL泊まで
さて、ここからは実際の移動についての話です。
シンガポールからKLまではジェットスターに乗りました。1時間くらいのフライトなので、キャリアにこだわりはなく、時間で選びました。
仕事でKLに通っていたリサが、「飛行機が雲の上まで行ったと思った途端、下降が始まる。」と描写するような短いフライトです。シンガポールを離陸した時、シンガポール生活が終わるというセンチメンタルな気分に浸っていたのですが、本当にその気分が冷めないうちに着陸いたしました(笑)。まぁ、着いた先はマレーシアですが。
KLの空港(クアラルンプール国際空港)はKLIAとKLIA2の2つに分かれています。私たちはLCCで来たので、KLIA2に着きました。ターミナルビルは新しく、お店も充実していました。
夕食を取った後、ホテルがあって翌朝の便が出るKLIAに移動しなくてはなりません。ちょっと参ったのが、私たちは乗り継ぎで一度荷物を受け取らないといけなかったので、本帰国の大荷物を抱えながらの移動になったことです。機動力が著しく低いので、食事はKLIA2にて手軽にフードコートですませました。
また、KLIA2にて少しだけお土産購入。リサと荷物をフードコートに置いたまま、一人でマレーシアのプチプラ靴VINCCIを見に行きました。人の多さと動きの激しさ、そして陳列の乱雑さに圧倒されましたが、やすーいサンダルとフラットシューズを自分用に買いました。
また、マレーシアのチョコレート「Beryl's」(ベリーズ)でお土産を買いました。値段の割に安っぽい包装でしたが、帰国後食べたらなかなか美味しかったです。(特に人気のティラミス味。)
食事と買い物が終わった後はKLIAに移動です。電車とシャトルバスがありますが、なぜかリサが電車を嫌がったので、シャトルバスで移動しました。とにかく大荷物だったので、乗り降りだけで大騒ぎでした。本当に大変でした……。
ターミナルビルの移動でかなり体力を消耗したものの、無事KLIAに到着。この日はこのKLIAにあるサマサマホテルに宿泊でした。空港内にバギーがあり、それに乗ればホテルに着くというのでバギー乗り場を捜索。ちょっと迷ったのですが、建物2階(確か)の端っこで見つけました。
私、空港のバギーって初めて乗ったのですが、快適で、しかも面白くて、このバギーに乗れただけでサマサマホテルに泊まってよかったと思ったくらいでした(笑。庶民)。建物内を乗り物に乗って走るという感覚が不思議だったし、走行中の音がキューンという電子音みたいな音で、夫リサと「近未来感……」と興奮いたしました。
サマサマホテルですが、恐らくKLIAにある唯一のホテルです。乗り継ぎのために泊まるには高いので迷ったのですが、空港からKL中心部までは遠い上に観光したい場所もなかったので、実利をとってここにしました。
ホテルのレビューに「トランジットのために泊まるにはもったいない」というコメントがちらほらありましたが、まったく同じ感想です。キレイだし、ファシリティも整っているものの、ここでゆっくりするわけじゃないし、もったいない感がすごかったです。もう若干ランクを落としたホテルが空港にあればいいのにと思いました。
庶民妻、とうとうANAビジネスクラス初体験
朝食はラウンジでいただくつもりだったので、早く起きてホテルを出発です。再びバギーでキューンと空港ビルに戻りました。
まず、チェックインは初めてのビジネスクラスのレーン。そしてイミグレーションにまでビジネス優先があるんですが、朝早かったのでどちらも空いており、プレミア感は薄かったです。混んでたら助かるなぁ、という程度でした。
そして、いよいよ初ラウンジ!
入った瞬間の感想は……混んでてごちゃごちゃしてる……。
空港のラウンジがどのようなシステムか詳しく知りませんが、とにかく雑多な人がいることはすぐにわかりました。何かの特典でラウンジだけ使っている人もいるし、航空会社もいくつかの会社と兼用なので、同じようなお金を払った利用客ばかりではないということです。
かくいう私も夫のマイルでこの場にありついた身なので、これまたプレミア感とか、妄想していたブルジョア感みたいなのは薄かったです。(というか、どんだけ妄想してたのか(笑))。まぁ、空港によって違うのかもしれませんが。
とはいえ、朝食はこちらでいただきました。思っていたほど食べ物の種類が少なかったのですが、朝食だからいいかなというレベルでした。これまた空港やラウンジによっては充実度が違うんでしょうね。夫リサが時々出張先のラウンジで食べたものを自慢していましたが、KLは恐らく平均点くらいです。
それに、混んでいて席を探すのは大変だったし、食べ残しの食器が片付けられておらず、あちこちに放置されていた風景もイマイチでした。
思ったほどゆっくりできないままラウンジを後にし、いよいよ搭乗です。
これまた、ビジネスだから優先搭乗だと思っていたのですが、なぜかビジネスとエコノミーが一緒に呼ばれていつもの混雑でした。えー、ANAってビジネスの優先搭乗無いんだ。いや、間違いなら嫌味なんですが。。まぁ、頭上の荷物置き場を取られる心配がないので急ぎませんが……。
そして席にたどり着きました。座席の写真を撮ってしまうあふれる庶民感。
機体が古いためか、最近広告なんかで時々見るような個室風のイケてる座席ではありません。しかし、ゆったり感はエコノミーの比ではない! これが飛行機の座席なのか、と思うくらい、足が伸びる、寝たときに体が動かせる、ということに感動しました。
この座席の大きさには始終感心しきり。まぁ、これがビジネスの最大の醍醐味と言われればそりゃそーなんですが、本当に楽ちんでした。飛行機のストレスってやはり座席の狭さなんだと改めて思いました。
食事はこんな感じ。
見た目はきれいですが、味はそれほどでもなかったです。
ただ、いつでも頼める軽食(おつまみ)はどれを食べても美味しかったです。チーズやナッツ、つくねなど。お酒飲む方はアルコールと一緒にちびちび楽しむんでしょうね。リサはカレーを頼んでいましたが、先ほどの通常の食事より美味しかったようです。
食べて、映画見て、時々寝て……と、飛行時間を楽しんでいるうちに、あっという間に日本に着きました。たかだか7時間足らずのフライトでも、今までは「いつ着くのか」とイラついていましたが、ビジネスだったらあと5時間くらいは乗っていられたと思います。
座席が違う快適さは想像以上でした。10時間を超えるフライトこそ、ビジネスに乗りたいものです。とんでもなく高いけどね……。
ビジネスクラス初搭乗の感想
誠にありがたい体験をさせてもらった、最後の最後にワガママを聞いてくれた夫に心から感謝したい、というのが最初に出てくる言葉です。ありがとう、リサ。
そしてその体験で得た感想として、ビジネスは座席が広い以外のメリットはあまり魅力的ではない、ということでした。私の妄想が行き過ぎていた可能性がありますが、以下のサービスは無くてもよかったです。
- 緩めの荷物重量制限
- チェックインの優先レーン
- イミグレの優先レーン
- ラウンジ利用
- 優先搭乗(ってか無かった)
- エコノミーよりよさげな食事とおつまみ
- CAの過剰なコミュニケーション(むしろ感じが悪かった)
コストの大半が広い座席にあることは理解していますが、運賃がいくばくか安くなるなら、私は上記のサービスは全部要らないです。
本当のビジネス利用の場合は、上記にかなりのメリットがあることは想像できます。しかし、レジャー目的だったら過剰というか、なくても我慢できるサービスばかりです。私は夢から覚めたわけで(笑)、その体験ができたことは貴重だったと思います。
別の記事にも書きましたが、日本帰国後に生活の変化があり、今後5年、10年くらいは海外に行くことはなさそうです。
もっと言えば、できれば飛行機自体乗りたくないくらいです。そんな飛行機生活休止前の最後のフライトで、ビジネスの妄想から解き放たれたのはとてもいいことでした。たぶん、乗れなかったらまたどこかで「乗せろ」と騒ぐようなワガママな女ですから。
シンガポールには20年後に生命保険の小切手を取りに行く必要があるので、なんならその時にまたせがんでみようかなぁ、なんて思っています(笑)。