シンガポールの小学生の英語のテストが難しすぎて、悶え苦しんだ話

   

コミュニティセンターの英語コースにて最近、シンガポールの小学生のテストを課題でやりました。シンガポールの小学校はPrimary Schoolと呼ばれていて、各学年の略称はP1~P6。私たちが課題でもらったのはP6、つまり小学6年生が、実際に学校で受けているテストでした。

シンガポールの学校の試験問題は本屋さんで手に入ります

シンガポールの学校の試験問題は本屋さんで手に入ります

このテスト、表紙には親のサイン欄があって、採点後に子どもが親に見せてサインをもらう必要があるそうです。それにびっくりしてたら、シンガポールで子育てした隣の席の台湾のおばちゃんが「そうじゃなきゃ子どもが隠すじゃない」と聞くので、「Final result(←通知表のつもり)は報告するけどテストの結果は隠せるよ」なんて言っちゃいました。近年の事情はわかりませんが、私が子どもの頃の小学校のテストの結果なんて、本人はおろか親も気にしてなかったです。お国柄の違いを感じました。

シンガポールの小学生の英語レベルを垣間見る

さて、このP6の英語テストを宿題でやりました。セクションがAとBの二つに分かれていて、それぞれ制限時間は1時間50分。先生に「できれば時間内にやってみてね」と言われ、時間を計ってみました。

結果、Aは1時間程度で終わりましたが、Bは難しくて、難しくて、もがき苦しんで、気づいたら3時間くらい経っても空欄があちこちに(笑)。しかも、本来テストでは使えない辞書を使いまくってのこの惨状です。週末の午後がこれだけで潰れてしまい、途中で本当に嫌になって全部埋めるのは諦めてソファの上でひっくり返ってました。

正直に本当に難しかった旨、授業で訴えたところ、みんな同じだったみたいです。私をはじめ、落ち込んでいる人もいて、台湾の男の子が「僕の英語力は小学生以下……」なんて自虐的なセリフを吐いてました。ただ、考えてみたらシンガポールは「英語ネイティブ」の国なので、このレベルの英語ができるのはすごい、という言い方はむしろ失礼なのかもしれません。外国人は外国人で母語のネイティブなわけですし。

なお、問題は本屋さんで手に入ります。店頭にはサンプルもあるので、ご興味のある方は見てみてください。

難しさのポイント

何がどう難しかったのか、印象を書いてみたいと思います。

まず、単語が難しいです。もしかすると日本の大学受験生レベルなら知っている単語かもしれませんが、英語が日常会話レベルのおばちゃんには馴染みのない単語や言い回しが結構ありました。辞書なしだと完全にアウトな(答えが分からない)問題がいくつかりました。

文法も、かなりしっかりした設問ばかりです。大学受験の時ボロボロになるまで使った旺文社の参考書を買い直し、持ってきていたので、何度かそれを開くこともありました。ちなみに、do notをdon't、can notをcan'tと省略すると減点でした(日本もそうでしたっけ?)。

リーディングは、小学生向けとあってか、内容にそれほどクセはないものでした。(戦時中の日本による占領の話が出てきたのには参りましたが……。誰も何も言わなかったけど、授業で音読させられたのは辛かった。)ただ、やはり知らない単語は多いし、設問の答えが必ず文中にあるわけではなく、日本の国語の問題と同じように行間を読む必要があり、自分の言葉と表現で回答が必要な問題がありました。

難しかったのでP6→P4の問題に変更

みんな打ちひしがれてしまったので(笑)、P6からP4にレベルダウンしました。

P4はだいぶ楽でした。相変わらずそこそこ辞書は必要だし、満点ではなかったので偉そうなこと言えませんが、十分合格レベルの点数が取れそうでした。

そんなわけで、私たちの英語レベルはシンガポールの小学校4年生くらいということになりました。ただ、楽な勉強を続けても意味がないので、これならP6に戻りましょうということになりました。

ちなみに間をとってP5は? と聞いたところ、P5はすでに卒業試験(PSLE…小学校卒業時の試験)に備え始めるため、かなりP6に近い難易度になるそうです。そのため、P5やるくらいならP6でいいのではということです。

日本の大学入試問題との比較

シンガポールの英語教育のレベルが、他国に比べてすこぶる高いのは十分わかったのですが、その話の流れで他の国の英語教育についての雑談になりました。そして、中国人のおじさんが、中国の英語問題を持ってきてくれるとのことだったので、私も日本の事情を調べてみたところ、昨今は大学入試問題がネットで手に入ることを知りました。再配布すると著作権に触れそうだったので、興味津々の先生に一部だけ差し上げました。

選んだのは某有名私立大学の問題です。何校か見てみたのですが、著作権の都合で問題が省かれていたり、そもそも問題文が日本語であったりとか、問題が和訳の指示だったりとか、いろいろ制約があって選ぶのにも時間がかかりました。正直、設問が日本語の時点でレベルの差を感じます……。

そして翌週先生に感想を聞いてみたところ、「Secondary2のレベルくらい」とのこと。Secondaryは中学、つまり中学2年生レベルの問題だったということです。すごく難しいわけではないけれど、トリッキーな問題ばかりで慎重に解かないと間違えるとのことでした。

英語を専攻するとか、帰国子女だとか、一部のハイレベルな学生を除き、日本人のアカデミックな英語力のピークは大学受験時だと私は思ってます。なので、その入試問題が中学生レベルなのであれば、シンガポールの10代後半の学生が学ぶ英語の想像がつかないです……。

なお、私も実際やってみたのですが……吐き気がするくらい難しかったです。P6レベルで音を上げてるんだから、Secondary2レベルが難しいのは当然でしょう。単語も難しくて、ずっと辞書をひきながら問題を解いている状態でした。

中国の入試問題との比較

さて、前述のとおり中国人のおじさんが中国の問題を持ってきてくれました。中国某省の高校卒業レベルの問題とのことです。

この問題、2つ手ごわい点がありました。

まず、設問が中国語……。私も設問が英語の問題を探すのに苦労したので、この状況はよく理解できるのですが、ちょっと困ります。漢字から推測しましたが、やはりわからない問題は隣の台湾のおばちゃんに教えてもらいました。

また、スペルミスが非常に多くて、意味がわからない文章が多々ありました。このペーパーの入手方法を詳しくは聞きませんでしたが(笑)、紙をOCRで変換したものなんじゃないかと疑っています。こちらの方が結構大きな問題で、スペルが間違ってるとわからない単語を調べることすらできません。

そして難易度ですが、そこそこ難しかったという印象です。単語が平易なものばかりで、しかも一部の単語には(中国語で)意味まで添えてあったので、あまりボキャブラリーは突き詰めてない印象でした。

なので一見簡単に見えたのですが、問題を進めていくうちに難易度が上がっていき、何度か読んでもわからないパラグラフなんかもあって、難しかったです。

先ほどの日本の某有名私立大学の問題に比べれば簡単でしたが、日本の中堅大学くらいの入試と同じくらいではと思いました。中国は日本よりずっと人口が多いので、きっとレベルもいろいろあると思いつつ、似たような状況なのではと思います。

バイリンガル環境が羨ましい

シンガポールの教育についての情報は、ネット上にたくさんあるので、詳しくもない私がここでかき集めただけのことを書くつもりはありません。

ただ、実際に小学生の問題に触れてみて、英語については相当高いレベルだということを身をもって知りました。

彼らはさらに母語の勉強もします。中華系なら中国語、マレー系ならマレー語、インド系ならタミル(南インドの言葉)です。シンガポールの中国語は訛ってるとよく言われていますが、訛っていようと仕事で使えるレベルなら十分だし、バイリンガルと言えると思います。

先生いわく、シンガポールの環境はバイリンガル教育に適しているそうです。学校では英語をしっかり学び、家では母語で生活する。町中には英語と母語が両方あるので、両方の言語に触れる機会があるのがいいのだろうとのことでした。例えば、冒頭に書いた台湾のおばちゃんのお子様はすでに社会人なのですが、家ではホッケン(中国の福建省の言葉)とマンダリン(北京語)を話し、外では英語を話すようです。

今の子どものおじいちゃん・おばあちゃん世代は、英語が話せない人も多いので、孫と母語で話しているお年寄りをよく見かけます。生きた英語、母語、両方を学ぶ機会があるわけです。

ただ、最近は西洋化された家庭では家でも英語でコミュニケーションを取るため、そういった環境で育ったお子さんは母語が弱くなりがちだそうです。

私は母語の大切さは理解しているし、日本語が好きですが、やはり英語コンプレックスが強い身として、このシンガポールのバイリンガル環境はうらやましいと思ったのでした。

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