プチサイズ月餅! 私にはポークジャーキーの美珍香(BEE CHENG HIANG)の月餅がベスト
祭事に旧暦を使うシンガポールでは、9~10月ごろに中秋節のお祝いをします。日本で言ういわゆるお月見。日本では満月とお団子くらいのイメージしかありませんでしたが、中華系の国ではランタンを飾ったり、家族で集まったりしてお祝いをするそうです。
そしてこの時期、街に突如あふれ出すのが月餅(moon cake)。日本でもおなじみの餡子が入った丸い焼き菓子です。中秋節はこの月餅を贈りあう習慣があり、主に贈答用の多種多様な月餅があちこちで売られるのです。
今年の中秋節は10月4日と少し遅めなのですが、8月の独立記念日が終わったあたりからすでに予約を受け付ける広告が出始めました。お店によっては、8~9月初旬に早期予約割引などのプロモーションの展開もしています。そして9月半ばから本格的な販売攻勢が強まっていきます。
こうなると、ショッピングモールの祭事スペースは月餅だらけになります。日本のバレンタインのように、さまざまなお店が月餅を、味やら見た目やら包装やらにオリジナリティを出して売り出します。ちなみに、8月終わりに行ったジョホールバルのイオンでは、既に月餅特設コーナーが始まってました。
シンガポールで売られている月餅について
月餅と言えば、あの今川焼ぐらいの大きさで、中身がずっしり詰まった茶色いやつを思い浮かべていただいて間違いないのですが、シンガポールではスノースキンという焼いてない月餅が、かなり普及しています。
求肥のような皮の中に、フルーツやチョコレートなどのフィリングと、丸いトリュフチョコが入っていたりする、洋菓子のような月餅です。焼いていないため、色が白をベースにカラフル。見た目もお洒落です。高級ホテルの月餅だと、むしろこのスノースキンの方が目玉なんじゃないでしょうか。
このスノースキンは、Wikiによれば1989年に香港で生まれたそうです。甘い蓮根ペーストやら塩漬け卵黄やらを使う伝統的な月餅は、不健康だから、、という発想で生まれたとか。(引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Snow_skin_mooncake)
Snow skin mooncakes are a non-baked mooncake originating from Hong Kong. The snow skin mooncake was developed by a bakery in Hong Kong, because the traditional mooncakes were made with salted duck egg yolks and lotus seed paste, resulting in very high sugar and oil content. Since many customers thought traditional mooncakes were an oily food, the bakery used fruit for filling and less oil to make a mooncake with less fat.
伝統的な月餅ばかりだと飽きるでしょうし、スノースキンタイプならお店ごとにオリジナリティを出しやすそうですから、普及するのもうなずけます。
そして、月餅の形をしたチョコレートやアイスもあるらしいです。もはや月餅が何者なのかわからなくなります……。でも、まぁ、それだけ月餅を贈りあう習慣が、中華系の人々の間で根付いている証拠だと思います。
スタバのスノースキンタイプ月餅を食べてみた
月餅のお値段ですが、結構値が張ります。有名店の物だと1つ10ドル前後でしょうか。有名ホテルの物だとバラ売りしてないケースもあるし、そもそも郊外在住だと買いに行くのも大変なので、ケーキ感覚で買ってくるのは難しいです。
そんな中、なかなか美味しそうで、手軽に楽しめそうだったのがスタバの月餅でした。私は先日、スタバでようやくスノースキンの月餅デビューを果たしました。味は4種類。黒ごまと柚子トリュフ、パッションフルーツとミルクチョコレートトリュフ、チョコレートとクリームチーズトリュフ、スターバックスコーヒーとダークチョコレートトリュフ……目移りするフレーバーです。そしてお値段は1つ5.9ドル。
スノースキンタイプはスタバに限らず、基本的に要冷蔵です。なので冷蔵ケースに入っていたものを、そのままいただきます。ちゃんとお皿とフォークを出してくれたので、フォークでケーキのようにいただきました。
フォークの横で切ろうとすると、ぶにゅっっって。
ぶにゅっ。。。求肥だから……。
切りにくいんですが、なんとか一口サイズにして食べました。それが、なんか、、美味しくなかったです。甘いだけで風味がないというか……。そもそもスノースキンタイプの特徴である、求肥があまり美味しくありません。ぶ厚くて、中のフィリングやチョコレート以上の存在感を誇示しています。
期待外れ……。他のスノースキン月餅に比べてリーズナブルだと思った5.9ドルというお値段も、高く感じるクオリティでした。
スタバのが私の口に合わなかっただけで、他のスノースキンは美味しいのだろうと思います。でも、なんだかスノースキンのイメージが悪くなってしまう初体験になりました。
気に入りは美珍香(BEE CHENG HIANG)のプチサイズ月餅
スノースキンはもういいかなと思ってます。少なくとも自分で買って食べることはないでしょう。
かといって普通の焼いた月餅も、わざわざ買って食べたいとは思っていません。日本の月餅とちょっと味が違うことがあるし、中身が重いんですよね。2年前にリサが会社からでっかい月餅を1つ持ち帰ってきたのですが、独特のスパイスが効いたタイプで味が苦手でした。1日1口食べて、3日くらいでギブアップしました。そもそも切り分けてみんなで食べるお菓子なので、夫婦二人の家では消化しきれないのです。
ここまでディスるんだったら、もう月餅の話はいいじゃん(笑)と言われそうですが、一つだけ、好きな月餅があるんです。
そう、ここが本題。私が唯一気に行っている月餅、それはポークジャーキー(バクワ)で有名な美珍香(BEE CHENG HIANG)の小さい月餅です。「Chess Mooncake (棋子月饼)」という名前で、中国の将棋の駒をデザインした月餅です。
去年、英語の先生がくださったのですが、一口で食べられるサイズで全然重くないし、中は餡子だけなので味もシンプルで、口に合うものでした。ずっともう一度食べたいと思っていて、今年ようやくシーズンが近づいたので、どこの月餅だったのかを教えてもらったのです。毎年同じ物を作るとは限らないらしいのですが、ネットで調べたら幸い今年も売りだしていたので、買ってきました。
1箱9つ入りで9ドル。味はPlain Lotus、White Lotus、Pumpkinの3種類で、残念ながらミックスはありません。ただ、どれも餡子みたいなものなので、ハズレはありません。
直径はちょうど中国将棋のコマと同じくらい。餡が入っているので高さはあります。表面には将棋のコマらしく車とか、馬とかの文字が浮き出ています。大きさは本当に一口サイズ。むしろ一口で食べないと崩壊するので、食べるときはそのまま口に放り込みます。皮は薄くて主張せず、餡がぎっちり詰まっていますが、小さいので全然重くありません。
開封すると乾燥してしまうので、一つずつラップにくるみ、さらにジップロックに入れて保存しています。そして、ただ味を楽しむだけでなく、小腹が空いた時にこれをポイっと口に放り込めば、適度な満腹感も得られるので重宝しています。
美珍香ならあちこちのモールに入っているので、郊外でも手に入りやすいし、何よりも値段と量が自分用に買う月餅としてちょうどいいです。これならもらって嬉しいくらいなので、プチギフトにもなるし、帰国予定があったらお土産に買って帰りたいくらいです。
私はいろんな月餅を見て回ったり、買って食べたりしたわけではないので、もしかすると似たような商品が他にもあるかもしれません。でも、月餅は嫌いじゃないけれど食べきれない、という方は、一度このChess Mooncakeを試してみてはと思います。