美しい朝焼けと自然を独占! スンゲイブロウ湿地保護区で早朝ウォーキング

   

ハッピー・ハリ・ラヤ! ラマダン(断食)明けのお祝い「ハリ・ラヤ・プアサ」のこの週末、シンガポールは3連休です。道行くムスリムの女性たちがいつもより華やかな装いでこちらまで楽しい気分になります。

さて、なんら休みの計画を立てていなかったわが家ですが、突如スンゲイブロウ湿地保護地区に行ってきました。思いつきと言いつつも、実は以前から行きたかったのがたまたまこのタイミングになっただけですが。

スンゲイブロウ湿地保護区(Sungei Buloh Wetland Reserve

場所はシンガポールの北西部…と言いたいところですが、地図を見るとかぎりなく北部に見えます。海峡を挟んだ海の向こうはマレーシアのジョホール州で、にょきにょきと生えた高層ビル群がそう遠くない場所に見えます。

スンゲイブロウ湿地保護区の場所(地図データ(c)Google)

スンゲイブロウ湿地保護区の場所(地図データ(c)Google)

スンゲイブロウ湿地保護区はその名の通り、ぬかるんだ湿地帯。そしてマングローブをはじめとする熱帯雨林の植物がうじゃうじゃ生えているジャングルのような場所です。

Wetland Centre側の入り口

Wetland Centre側の入り口

Wiki(Sungei Buloh Wetland Reserve)によれば、スンゲイブロウ湿地保護区は2002年にシンガポールで初めて湿地保護区として設定された場所だそうです。また、翌2003年にはASEAN遺産公園の一つに指定されています。シンガポールのASEAN遺産公園はブキティマ自然保護区とここの2つだけのようです。

シベリアからオーストラリアに向かう渡り鳥の中継地点として重要な場所になっているとのこと。そして鳥だけでなく、その他にもここに生息する動植物は種類が豊富で、保護された地域でのびのびと生活しているような場所でした。

ジャングルなんて歩くのが大変なんじゃないか……と思われるかもしれませんが、そこはシンガポール。遊歩道がしっかり整備されており、快適に中をまわることができました。それでいて自然をありのままに保護する姿勢も感じられ、ボタニックガーデンやガーデンズ・バイ・ザ・ベイのような作り物感が薄いのがとても良かったです。

それほど自然好きというわけでもない私が興味を持ったきっかけは、この近辺で働いている知り合いの方から「途中の橋から見る夕暮れの空がすごくきれい」という話を聞いたことでした。正直、かなり辺鄙な場所だと思うんですが、検索をかけてみると日本人旅行者の口コミも多く、そこそこ人気の観光スポットのようです。


スンゲイブロウ湿地保護区へのアクセス

タクシーで行ってもいいような場所ですが、私たちは公共交通機関を使って行きました。MRT南北線(North South Line、赤い線)の「Kranji(クランジ)」駅で降りて、No.925かKranji Express(大人3ドル)というシャトルバスでアクセスできます。

Kranji Expressの時刻表

Kranji Expressの時刻表

私たちは朝早くに行ったので、Kranji Express(8:30始発)がまだ走っておらず、No.925に乗車しました。この925のバスは925と925#という2種類がありまして、日曜・祝日限定の925#は敷地全体の真ん中辺りの「Wetland Centre」までバスが行ってくれます。

敷地全体がざっくり東西に分かれていて、925が止まる場所は東エリアの入口で、「Visitor Centre」があります。そこから海沿いのCoastal Trail(1.3km)という道を北上していくと、「Wetland Centre」という真ん中辺りに着き、そこから先はMigratory Bird Trail(1.95km)というぐるっと湿地を囲むように丸い小道を散策することができます。(※詳細は公式サイトをご覧ください。)

実は私たちは(調査不足で)それがよくわかっておらず、「Visitor Centre」近くのバス停で降りようとしたのですが、親切なバスの運転手さんが私たちが奥のエリアに行くと思ったらしく、「日曜日と祝日はもっと奥まで行くからまだ降りちゃだめ!」と教えてくれました。

そして、運転手さんの指示で「Wetland Centre」の入り口すぐの場所でバスを降りることができました。なんだか他の乗客の人もニコニコしながら「ここだよ!」と教えてくれて、ちょっと心温まるバス乗車体験でした。

最初からCoastal Trailの方だけ歩くつもりなら「Visitor Centre」近くで降りればいいと思いますが、西のエリアだけしか行くつもりがないならKranji Expressか日曜・祝日に925#に乗るのがお勧めのようです。

早朝に来てよかった! 朝焼けと誰もいない敷地内を二人きりで満喫

もともと興味を持ったきっかけは夕暮れ時の空の美しさを聞いたことだったのですが、夕方はなんだか暑そうだ、、という懸念がありました。そして夫リサに朝と夕方どちらがいいか相談した結果、朝型夫婦の私たちはやはり「朝に行こう」となり、早朝に出発しました。

シンガポールの日の出は7時くらい、そして公園の開門時間も7時です。そうなると目指すは現地7時着です。

場所が場所だけに、朝は5時起きです。でも、平日5時起きの私たちには辛くありません。地元駅を出た頃、外はまだ真っ暗でした。クランジ駅に着いたのが6時半前くらいでそこから925#のバスに乗って向かったわけですが、車中で遠くの空が赤く色づき、ようやく日が昇り始めているのが分かりました。

そして橋を渡る時、真っ赤な朝焼けの空をバスの中から見ることができました。夜の色と朝の色が混じり合い、薄く広がる雲がさらに幻想的な優しさを演出しています。ときどき雲の切れ目からは力強い陽の光が漏れ、大変きれいでした……。

これは話どおりというか、夕焼けの美しさも想像に難くなかったです。帰りにバスから見えて気づいたのですが、このKranji Wayには海側に整備された歩行者用道路があり、歩いて渡れるようです。朝焼けや夕焼けを見ながら歩いて渡ってみたい気もします。暑くなければ……。

そしてバスを降りて公園入口に立った時、時刻はちょうど7時でした。門はすでに開いており、中に入ると、鬱蒼とした木々に囲まれた道はまだ薄暗く感じました。しかし涼しいかと言えば、そうでもなく、湿度が非常に高いので蒸し暑く感じます。歩き始める前から軽く汗ばむくらいでした。

奥に見えるのがWetland Centreの建物

奥に見えるのがWetland Centreの建物

ここは自然保護地域なので、他の人が住む地域とは異なり、蚊の駆除が行われていません。歩き始めてからリサに指摘されて慌てて蚊よけをスプレーしました。リサはそのスプレーの臭いが嫌いでつけず、かつ虫よけで持って来た長袖も暑くて着なかったところ、あちこち刺される羽目に。シンガポールはデング熱発生地域なので蚊にはご注意ください……。

トイレや自販機などがある建物を抜けると、メインブリッジという大きい橋があらわれます。ここからBuloh Tidal Pondsという池(というか沼地っぽい感じの水たまり)をぐるりとまわるMigratory Bird Trailが始まります。

この橋を渡り始めると、ぱっと急に周囲の視界が開けます。ぬかるんだ広い湿地を横切る橋からは、突如自然の真ん中にぽつんと取り残されたような、そんな臨場感がありました。この後道を一周してまたこの橋を通って戻ってくるのですが、このメインブリッジからの眺めが一番良かったと思います。

メインブリッジからの眺め(南向き)

メインブリッジからの眺め(南向き)

ここからは自然の環境にいる、天然の様々な鳥の他、魚、オオトカゲやワニを観察することができます。私たちは白くて大きな鳥、オオトカゲ、ワニを見ることができました。天然のワニが怖くないと言えば嘘になりますが、水に半分浸かってあまり動きもなかったのでただ背中を上から眺めるだけでした。

ワニが2匹いました

ワニが2匹いました

北の方を見れば、ジョホールのビルが見えます。興ざめと言えば興ざめなんですが、まだ空には朝焼けの名残があり、橋の上から見た綺麗な空がここからも楽しめました。

北側にはマレーシアのジョホール州

北側にはマレーシアのジョホール州

橋を渡ってからは舗装された道を道なりに歩いて回りました。時々木々の隙間から湿地を覗いたり、木の上を見上げて生き物探しをするのが楽しいです。また、ところどころに東屋ような建物があるのですが、眺めの良いポイントに設置されており、ベンチに座ってゆっくり外を観察することができます。ちなみにこのような建物は急な雨が降った時のシェルターでもあります。

あいにく、私たちは思っていたほどの鳥を見つけることはできなかったのですが、こういうベンチにただ座ってぼーっと外を眺めているだけでも気持ちが良かったです。私たち以外誰もおらず、静かでしたし……。

よく整備された遊歩道

よく整備された遊歩道

そう、実は入り口から入ったときから「もしや」とは思ったのですが、私たち以外に人がいませんでした。これらの風景、なんと二人で独占できたのです。

海に突き出た観覧デッキのようなところで一人だけ写真を撮りに来ていたおじさんには会いましたが、ほぼ全行程人に会うことはありませんでした。最後に再びメインブリッジに戻ってきた時、入れ違いで賑やかな家族連れや観光客がたくさんやってきたので、鳥や動物の声しか聞こえない、静かな環境で、どっぷり自然を満喫できたのはラッキーでした。

朝焼けを楽しみ、そして誰もいない自然の中を二人だけで散歩する。なんという贅沢でしょう。早起きして来て本当に良かったです。


スンゲイブロウ湿地保護区(Migratory Bird Trail)を歩いてみての感想

リスが写ってます。リスはあちこちにいて遭遇率が高かったです。

リスが写ってます。リスはあちこちにいて遭遇率が高かったです。

2km弱の道を、ゆっくり自然を楽しみながら1時間ほどでまわりました。ざっくりとした感想を箇条書きで書いてみました。

良かった点

  • 道や設備がよく整備されていて、歩くのにまったくストレスがない
  • 一周1時間ほどでちょうどよい疲労感

イマイチな点

  • 蚊と蜘蛛が多い
  • 歩道は意外と周囲が見渡せない

まずは良かった点。道路をはじめ、ところどころにある東屋や展望台、展望デッキなど、設備が整っていて快適でした。トイレは使っていないのでわかりませんが、その他はきれいによく整備されていたと思います。また、時々足を止めながら一周して約一時間、というコースはほどよい疲労感でした。これ以上だと少し疲れたし、これ以下でも物足りなかった気がしています。

一方イマイチだったのが蚊と蜘蛛の多さ、そして道の作りです。蚊と蜘蛛は仕方ないです。蚊が多いのは知っていたのですが、蜘蛛の糸に始終絡まれたのは想定外で煩わしかった……。朝一だったせいでしょうか。道のつくりについては、展望スポット以外では両脇に木が生い茂り、周囲があまり見えないのが気になりました。自然の中に作った道だからなのか、柵の代わりなのかはわかりませんでしたが、木の向こうに湿地帯が広がっている場所でも手前の木々に阻まれて見えない道が多かったのが残念でした。

展望台からの眺め

展望台からの眺め

その他、それほど鳥を見つけられなかったのが残念でした。さえずりはうるさいくらいよく聞こえてきたので、単に肉眼で見つけられなかっただけかもしれません。野鳥観察をしたい人は双眼鏡を持って行ってもいいかもしれません。


残り半分が気になる。また来たい!

クランジ駅のフードコートで一休み

クランジ駅のフードコートで一休み

アクセスのところで書きましたが、今回私たちは敷地の西エリアしか歩いていません。真ん中あたりの「Wetland Centre」に戻った時点で東の「Visitor Centre」に向かう道を歩くこともできたのですが、すでに疲れていたし、日が昇って暑くなってきていたので、今回は断念しました。

しかしこの道、海沿いの道なので、池の周りとはまた違った風景が楽しめるのではと思われます。歩いてみたい……。そしてこの近辺でもう一か所、実は今回は時間の問題で諦めた行きたい場所がありまして、そこのリベンジもしたいと思っています。

スンゲイブロウ湿地保護区、そう遠くないうちにまた是非来たいと思っています!

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