ホーカー(屋台)飯、食べてますか?
シンガポールの食を支えるホーカー・センター(屋台街)。在住者の皆さん、特に長くお住いの方は行ってますでしょうか?
わが家は主に週末のランチ、料理嫌いの私が任務放棄してフードコートやホーカーで済ませることがままあります。
ホーカー飯の定義
私の理解では、シンガポールの安くて、席が自由で、基本セルフサービスの大衆食堂は3種類。ホーカーセンター、フードコート、コーヒーショップです。
(※知らない方のために書いておくと、コーヒーショップはコーヒーだけを売るお店ではなく、コーヒー以外のドリンクや食べ物を売るお店が数軒集まっている場所の名称です。後述しますが、外国人にはホーカーと区別がつかないことがあります。)
この中で分かりやすいのはフードコート。日本と同じようにショッピングモールやレジャー施設の中にあり、好きなお店の食べ物を買って好きな席でいただくスタイルです。
あと2つのホーカーセンターとコーヒーショップですが、システムはフードコートと同じで、お店(食事)選びと席は自由です。ただ、フードコートと異なるのは、お店によっては注文したものを席までサーブしてくれること。また、どちらもオープンエアな場所にあり、エアコンが無いのが特徴です。(雨をしのぐ屋根や幌はあります。また、扇風機やシーリングファンがあるお店もあります。)
私は、このホーカーとコーヒーショップの区別がいまだついていません。ホーカーは政府が管理している場所に個別のストール(お店)が入居している一方、コーヒーショップは主にHDB(公団)の一階で運営しており、場所は政府管理ではなくオーナーがいると聞きました。(しかも大抵ドリンクを売るお店がオーナー運営だと聞いたことがあります。)
HDBの1階に数軒しかストールが無い場所はコーヒーショップだと分かるのですが、場所によってはコーヒーショップがいくつも連なっている地域があり、規模はホーカー並みのところもあります。違いが分からないところで何の不利益もなく、シンガポール人に「あそこのホーカーで…」と言ったら「あれはホーカーじゃなくてコーヒーショップだよ」と正されるくらいですが。
そんな3つの食堂ですが、設備の違いはあれど、食べ物のクオリティは同じではと言うのが私の印象です。ですので、本記事でのホーカー飯はフードコートやコーヒーショップでの食事も含んでいます。
ホーカー飯は1~3か月が限界
物価が高いシンガポールで、安く外食を済ませる選択肢はこのホーカー飯しかありません。私の周囲の日本人のホーカー飯に対する評価は、匂いだけでダメというくらい苦手な人たちがいる一方、ほぼ毎日食べてもOKという人もいます。
わが家は恐らく中間で、私は週2-3食なら大丈夫ですが、それ以上食べたら嫌いになりそうです。夫リサは平日のランチをホーカー飯レベルの社食でとることが多く、週4-5回食べていますが、本人曰くもう少し回数増えても嫌いにはならないと言っています。しかし、上記はすべてランチであり、夕食を基本自炊にすることでバランスをとっていると思います。私は夕食がホーカー飯というのはキツくて、自炊できないならサブウェイのようなファストフードを選びます。
最初からまったく受け付けないという人は除いて、たいていの日本人は最初は美味しいと思い頻繁に食べていたと言います。しかし、苦手になる人は1~3か月くらいで食べられなくなったと言います。
明確な数字や根拠はありませんが、シンガポール人でほぼ毎日ホーカーで食事を済ませる人たちがいるはずです。うちの近所のハラル・レストランは朝から晩まで地元のムスリム家族連れで賑わってます。また、中華系のお店も、毎日家庭の食卓の風景がそのまま店先で展開されています。インド人は毎日カレーかカレー味のものを食べてると聞きますし、そうなるとシンガポール人にとって、「ホーカー飯は1~3か月が限界」ということはまずないように見えます。
美味しい、と思っていたけれど嫌になる。日本人の家庭の食事は和食・洋食・中華が多いと思うのですが、ホーカーの和食・洋食は今ひとつです。やはり慣れ親しんだ味から離れ続けるのって難しいんだなと思います。
なお、基本的には日本人の口に合うものなので、短期の旅行者がホーカー飯を楽しむのはとてもよく理解できます。
でも、涼しい日のホーカー飯は好き
先週の日曜日、夜中に大雨が降った翌朝、シンガポールは涼しい風が吹いてなかなか過ごしやすい日になりました。朝、いつもは暑くて億劫な買い物も気持ちよくすますことができたので、帰宅してからリサを誘って近所のコーヒーショップにランチをとりに行きました。
涼しい日のコーヒーショップはなかなか快適です。外でも暑くないし、風が抜けるとむしろ大変心地いいです。こんな日はいつもは暑くて座らない外気に近い場所に席をとります。
最近、お気に入りになった点心屋がありまして、ここで好きな点心を好きなだけ食べるのが幸せです。1つ2ドル前後なので、4つ買っても8ドル弱です。工場で作ったものを店頭で蒸してるだけでは、と思うのですが、美味しいし、値段を考えればコスパは十分です。リサも好きなようにプラタ(インドのパンケーキ)やら中華麺やらを注文して食べてました。
私たちの後ろの席では、4人家族が団らんしてました。また、前の席ではおじいさんがコーヒーをちびちび飲みながら新聞を広げてくつろいでました。一人で白いおかゆの回りに薬味や具の皿をいっぱい並べ、ゆっくり、ひとつまみずつそれらを楽しんで食事するおじいさんもいました。レストランにはない、ローカル感あふれるリラックスムードが漂っていました。
美味しい物をお腹いっぱい食べられて、しかも安い。さらにオープンエアな環境やローカルな雰囲気を楽しみ、ホーカー飯の醍醐味を十分味わえたランチでした。
そういえば以前、週末の朝に夫婦二人で長い散歩を楽しんだ後、コーヒーショップで朝食をとったことがありました。朝早かったのでやはり涼しく、快適・かつ安くておいしい朝食でした。
なんだかんだ本帰国したら懐かしいと思うに違いない
そんなシンガポールのホーカー飯、今は「好きか?」と聞かれたら、イエスでもノーでもなく、「OK」という答えになると思います。自炊できないときは助かりますが、積極的に食べたいものではないからです。
しかし、本帰国したら、絶対懐かしく食べたいと思うに違いありません。私が好きなホーカー飯……ヨンタオフー、プラタ、ビリヤニ、ラクサ、ナシレマ、チキンライス、キャロットケーキ、ワンタンミー、板麺、経済飯。
今は時々でいいや、と思っていますが、本場の物を食べられなくなったら恋しくなるのが人情。多少高くても日本のシンガポール料理を出すお店に足を運んでしまいそうです。
また、食べ物だけでなく、私はコーヒーショップの雰囲気にも惹かれています。暑くて混んでいる時は通りがかるのも嫌なくらいなんですが、あの人と人との距離の近さは、日本の都会にはもう無くなりつつ風景かと思います。
コーヒーショップって、地域の人のコミュニティーになるような、安くてオープンな茶飲み場なんですよね。団地の部屋から出てきてちょっとコーヒーをいっぱいひっかけるついでに、ご近所さんと他愛のない世間話。逆にそれが面倒くさいという面も多々あるに違いありませんが(笑)、ない物ねだりするのがこれまた人情です。
まとめ
在住日本人の間で好みがわかれるシンガポールのホーカー飯。食べ過ぎなければ、やっぱり美味しいと思います。
適度な距離を保てば、ずっと好きでいられる。この好きな気持ちを、このままシンガポールのいい思い出にできたらと思うのでした。