シンガポールで専業主婦は肩身が狭いのか
先日、とある日本人奥様が「シンガポールで専業主婦は肩身が狭い」とこぼしておりました。職業を聞かれて専業主婦と言うと、「どうして働かないの?」と聞かれるらしいです。
質問した人の意図は
・女も働くべきと思っている
・単純に驚いている
・うらやましい
のどれかではと思うのですが、私は「うらやましい」のと「単純に驚いている」が半々なのではと勝手に思っています。
シンガポールは共働きが当たり前です。下記の資料によれば、シンガポールの共働き率は84%で、東京の54%を大きく引き離しています。
日本総研「2015年度アジア主要都市コンシューマーインサイト比較調査」
夫婦の就業状況(スライドP14)
http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2016/0331-2/jri_160331-2.pdf
住宅や子どもの教育費が高いのに加え、親との同居やメイド制度など、家事労働が少ない環境が整っているので、女性が家事を理由に働かない理由が少ないのでしょう。とは言っても、働かなくて十分な生活ができるなら働きたくない人もいるでしょうから、専業主婦ができる環境をうらやましがる人がいてもおかしくない気はします。
また、男女の差なく子どものころからバリバリ競争をするシステムですし、キャリアについての考え方も違うのかもしれません。
以前、夫の同僚のシンガポール女性に「日本の会社って女性が差別されるんでしょ!」と言われたことがありますが、恐らくその指摘は間違っておらず、シンガポールは日本に比べたらずっと女性が男性と肩を並べて活躍しているのだと思います。
シンガポールは帯同ビザ(配偶者や子どものビザ)所持者が働ける国です。私もシンガポールに来た時、働くのが当たり前と思われていたらしく、夫の会社の人が私の仕事を探してくれていたことがありました。それくらい共働きが「当たり前」の環境で、「専業主婦」はマイノリティであり、驚かれたのかもしれません。
なので、専業主婦を肩身が狭いと感じるのは、昨今の日本人女性の感覚なのではと勝手に思いました。
私は専業主婦がどうかということについては、「その家の勝手でしょ」と思います。周囲がどうこう言うことじゃないし、自分で「肩身が狭い」と思うこともないです。
以前は私も「女性も働くのが当たり前」と思っていましたが、いざ自分が結婚してフルタイムの仕事+家事ほぼ100%の状態になったら、家事能力の低さもあってかなりしんどかったです。子どもができたらフルタイムは無理だと思いました。
一方で、もし自分がバリバリ働く男性の立場だったら、家のことを妻に任せることで100%外で頑張れる環境というのは魅力的だと思います。ましてやそれが海外だったら、余計に家のことに煩わされることなく仕事に打ち込めるのはありがたいかと思います。
以前、海外から日本に嫁探しに来た日本人男性がいましたが、その妻となった女性曰く、「とにかくご飯を作ってほしそうだ」と言ってました。伴侶が欲しいというのはもちろんですが、仕事に専念するために家のことを任せたかったのでしょう。
働く夫を支える妻という仕事は、特に小さな子どもがいる場合は十分な仕事量かと思います。それをアウトソース(親やメイドさんに任せる)して女性も働くか否かは、その家の事情や価値観だと思っています。キャリアについても個々の価値観でしょう。
さて、私自身は子どもがいないながらもパートというぬるい立場で生活しているわけですが、今のところシンガポールでフルタイムで働くつもりはありません。倹約家の夫と郊外の古いマンションに住み、つつましい二人暮らしで家計はまわってますし、その他フルタイムにしたくない言い訳はいろいろありますが、いずれ我が家の勝手なので、どうぞ働けというおススメや、働くことが優れているというアピールはご遠慮願いたいです。