シンガポールで駐車場の数を減らし料金を上げたら車は減るか?
先月ですが、シンガポールの新聞サイトにこんな記事がありました。
Fewer, pricier parking spaces to deter driving?
http://www.straitstimes.com/singapore/transport/fewer-pricier-parking-spaces-to-deter-driving
国土の狭いシンガポールは、さまざまな規制によって車と交通量を調整しています。そのおかげで他のアジア諸国に見られるようなひどい交通渋滞、混乱は見られません。ただ、それでも政府はさらなる調整、移動の公共交通などへの切り替えを進めており、新しい電車の敷設や、自転車の活用の推進などをしています。そんな状況でやり玉の一つに上がっているのが上記の駐車場問題。
他の先進国の主要都市に比べ、シンガポールの駐車場代は安いそうです。2011年の例だと東京と香港が月920ドルくらい(※)。さらにロンドンは1,340ドルほどもするのに、シンガポールの中心部の平均は278.20ドルだとか。値段だけでなく駐車スペースも豊富にあり、これが交通量が減らない要因の一つであり、駐車場を減らして値段も高くしよう、という意見があるそうです。(※私の調べた範囲では今の東京はそんなに高くありません。自宅+勤務先?)
私がシンガポールで生活を始めたときに驚いたのが、車通勤をしている人たちの存在でした。夫の会社の同僚にもいるし、うちのマンションの住民も朝、次々と車で出勤していきます。感覚的に、東京中心部(23区)でこんなに車通勤してる人はいません。なぜこんなに狭く、さらに困らないくらいの電車やバスが発達している国で、車に乗って通勤するのでしょうか。
駐車場料金の問題だけでなく、東京中心部ではそもそも多くの企業がマイカー通勤を禁止していると思います。企業が、通勤中の車の事故については責任を負いたくないからと聞いたことがあります。シンガポールと日本の細かな制度の違いはわかりませんが、少なくとも東京中心部にある会社に車通勤している人は私の周りにはいなかったし、車通勤が普通という感覚はありません。
私はシンガポールで、多少なり渋滞の被害を受けたことがあります。一時期朝の通勤にバスを使っていたのですが、交通量が多い場所を通るため、何度か渋滞で20~30分余計にかかったことがありました。この渋滞に「貢献」した人たちの中で、どれだけの人が本当に車が必要な人たちなのでしょうか。マレーシアからシンガポールに車通勤する人たちは毎朝国境の渋滞に苦労しているそうですが、マイカーじゃないと来られないのでしょうか。(そもそもシンガポールの郊外であろうとマレーシアであろうと、住んでいる場所と通勤先は個人の勝手なのに…。)
お金があれば車が買える、駐車場にも困らない。そして車通勤は楽である…ということであれば、お金持ちだけ優遇されているように感じてしまいます。優先すべきなのは、生活に車が欠かせない人たち(高齢者、子連れ、障がい者など)や、物流などビジネスに関わる車両だと思います。駐車場を減らすのは構いませんが、値段を高くし、やはりお金持ちはお金を出せば使える…といった方向にはあまり賛成できません。
住んで一年足らずの外国人(=部外者)が偉そうにコメントしてしまいましたが、シンガポール政府は決めたことを実行するのが早いイメージなので、この件がいい方向に進めばと思っています。