本「スプートニクの恋人」

   

村上春樹の「スプートニクの恋人」を読みました。

これを村上作品2冊目に選んだ理由はブックオフにあったからで、特に意図はなかったのですが、「ノルウェイの森」の後に読むとだいぶ印象がかぶりました。

まず、「ボク」とワタナベはまるで同一人物のようでした。当たり障りの無い穏やかさ、性に対する割り切り、(家事ができるという)どことなく家庭的な雰囲気など。クライマックスで強く感じる「孤独」も、同質のように感じました。要は村上氏自身なのでしょうか。


また、ボクとすみれの関係、ワタナベと直子の関係も似てました。一言で言うと猛烈な片思い・・・。ボクはとてもすみれを愛しているけれど、すみれはミュウを想う。お互いが大切な存在であることは間違いないけれど、想いの種類が違う。それはワタナベと直子も同じ関係だったかと思います。さらに、すみれと直子はキャラクターは違いますが、心の危うさや、人生の顛末?が似ているように感じました

このような感想に意味はないかもしれませんが・・・なんか、同じ登場人物の違う小説を読んでいるような変な気分でした。

ただ、「ノルウェイの森」以上に、思いが深いという印象を受けました。そこにはすみれとミュウの関係、すみれとボクの関係、ミュウの人生、ボクの孤独感など、いくつかの要素がありました。特に、すみれとボクだけだとどことなく閉塞的な世界で終わった物語が、ミュウの存在で世界観に派手に色が付き、さらに物事が複雑になった気がします。

しかし、重くて、意識的にあまり深く考えずに読んでしまいました。もったいないと思いつつ、あまりはまりたくなかったのでした。

最後の数ページはなんだかものすごく悲しかったなぁ。胸にずんと響きました。恐らく、ノルウェイではワタナベとレイコさんの「お葬式」によってワタナベの気持ちが開放されたと思うのですが、スプートニクではどことなく思いが詰まったまま終わった気がする。ニンジンの事件はそのために用意された気はしますが、ボクの想いを埋めるには足りなかったです。(私の中ではピントがずれてた。)

それにしてもこの人はどうして女性の心と体の繊細なつながりがこんな風に書けるのでしょうか。ノルウェイの直子の最期の告白にも結構驚いたのですが。・・・いやらしい(笑)。

ちなみに次は「海辺のカフカ」を読みたかったのですが、wiki曰く世界観が「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と「ねじまき鳥クロニクル」が関係しているらしいので、読むとしたらこれらが先でしょうか。・・・村上春樹以外の本も読む予定なので、そうなるとカフカはちょっと先になるかなぁ。

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