本「スカイ・クロラ」シリーズ
8月に映画で観た「スカイ・クロラ」の原作を、シリーズで5巻読みました。最初はすごく面白くて夢中になり、もったいなくてちょびちょび読んでたのですが、後半はけだるくなってタラタラ読んでいた感じ。明日、全巻人に譲るので今日になって慌てて最後まで読みました。
全体的な印象は、今まで読んだことのない種類の小説を読んでいるという、不思議な感じ。カテゴリーは何?人間ドラマ??・・・淡々としているのだけど、生死にまつわる深い問答が繰り返され、それがかなり心の奥まで迫ってくる迫力を持っています。詩のような文体で、主人公の気持ちがストレートに、力強く表現されるシーンが多いからかも。
好きなのは、キャラクターと、文体。
キャラクターは、草薙水素、笹倉、草薙瑞季が好き。特に草薙水素の存在感は圧倒的で、カリスマ性と徹底的に確立されたキャラクターが非常に魅力的でした。共感や愛情は沸かなくても、どこか憧れを抱く不思議な魅力です。一方で栗田や函南といった男性キャラは、なんだかピンときませんでした。これは私が女だから?男性が読んだらまた印象が違うのかな?
あと、全体的に文体が好きでした。詩的な部分は美しかったし、(特に空への愛情を表現する部分)人の感情を表現する一つ一つの言葉に、妙に説得力があるのに説明的でなく、有機的。好きな表現に全部線をひっぱりたいくらい言葉づかいが素敵でした。こんなに自由に言葉を使って泳げたら文章を書くのも楽しいだろうな・・・。
6巻目(?)の「スカイ・イクリプス」も機会があれば読みたいです。とりあえず押井守バージョンのジャケットを揃えるため5巻買ったのでした。