映画「崖の上のポニョ」・・・おかわり
仕事帰りに行ってきちゃいました。「崖の上のポニョ」のおかわり。・・・つまり二度目。劇場で同じ映画を二度観るなんて数年に一回のことかもしれません。
先日、録画しておいたNHKのプロフェッショナル仕事の流儀スペシャル「宮崎駿のすべて~"ポニョ"密着300日」を見たのがきっかけです。よくできた番組で、この映画に対する宮崎監督の思い入れや伝えたいメッセージがわかったし、何よりも制作の工程が作品の展開と妙にマッチして興味深かったのです。好きで、好きで、もう一度観たい!・・・というより、もろもろ確認したくてもう一度観てきたという感じです。(→一度目の時の感想はこちら)
以下、ネタバレあり。番組で出てきたエピソードを一部取り上げます。
母親を探しに航海に出たポニョと宗介は途中、赤ちゃんを連れた夫婦と会うシーンがあります。スープやサンドイッチを差し出すポニョ。あのシーンは、奔放なポニョを人の世界に馴染ませるために入れたエピソードだそうです。つまり、人を思いやるシーンを入れることで、ワガママで気の強いポニョが、人間の世界にすんなり入っていけるようにしたそうです。正直よく理解できないシーンだったので、宮崎監督がそんなキャラクターのソフトランディングを試みてたことに驚きました。
あと、実はかなりキーの人物だったのがトキさん。ひまわりの家のちょいとひねくれた婆さんです。彼女は宮崎監督がご自身のお母さんをイメージしたキャラクターだそうです。クライマックスでトキさんが宗介を抱きとめるシーンがありますが、あれは宮崎監督が母親に抱きとめられるシーンなのです。改めて見ると、試練を乗り越えた宗介に一番最初に、一番強く抱きつくのはトキさん。目に涙を浮かべた顔が一瞬うつりますが、そこに、宮崎監督の母親に対する思いが垣間見えてじんときます。
細かいエピソードはこれくらいにして、番組で驚いたのが、話が出来上がってないに制作が進むという作業工程。映画もアニメーションも、筋や内容が決まってから制作に入るものだと思ってましたよ。番組では、宮崎監督の絵コンテが途中で止まってしまい、制作スタッフがやきもきしながら打ち合わせをしてました。
なんというか・・・結構行き当たりばったりなんですねぇ(笑)。大まかな設定と、キーになる絵は最初に決まるようですが、話の細かな流れがギリギリまで決まらない。「千と千尋~」や「ハウル~」、そしてこの「崖の上のポニョ」も、話の展開や筋がわかりづらく、正面から理解だけしようとすると嫌になってしまう。その背景には、この制作と同時進行の絵コンテにあるのではと思いました。それが普通なのかどうかはアニメーションの現場を知らないので偉そうにコメントできませんが・・・。
最後に、二度観てもやっぱり私の一番心に残ったキャラクターは母親のリサでした。強くて愛情あふれる彼女は、すごく理想的な女性。ポニョと宗介、ポニョと両親や妹たち、宗介とおばあちゃんたち、宗介一家と町の人たち。丁寧にそれぞれの関係性が描かれてますが、私はやっぱり宗介とリサの関係が一番共感できて、理想的に思えます。
そういえば今、ヴェネチアでこの「崖の上のポニョ」が出品されてますね。来週、どのような結果や評価が出るのか楽しみです。