本「生き残る判断 生き残れない行動」
会社の方から「生き残る判断 生き残れない行動」という本をお借りして読みました。9.11をはじめ、大災害やテロで生き残った方、亡くなられた方々の有事の際の行動を分析した本です。
舞台はアメリカを中心に、さまざまな実際の災害やテロのエピソードが出てきます。9.11、大規模火災、大使館占拠事件、飛行機事故、などなど。筆者のインタビューを通して見えるのは、生き残った人と亡くなった人との間には、運だけではない何かがあるということです。
しかし、正直に言うと、ルポとしては面白いのですが、分析の過程と結論は良くわからなかったです。ただ、有事に備えて気持ちの上でも実際の行動でも準備をしておくことがいかに大事かと言うことは終盤繰り返されていたように思います。「自分だけは生き残れる」という謎の楽観を捨て、備えておくことが大事なのかと。
この本を貸してくださった方曰く、この分析は生死にかかわることだけではないと捉えてるそうです。たとえば仕事でも「自分はクビにならない」「自分の会社がつぶれることはない」と思っている人と、そうではない人とでは、危機時にとる判断や行動が変わってきて、その後の行動に大きく影響するだろうと。
それはその通りだと私も思います。毎日クビとか倒産とかにおびえて過ごすのは変ですが、それを多少でも想定してスキルアップに励むとか、転職市場に気を配っておくとかはできることだし、やってる人とやってない人の差は小さくないです。実際、その方自身も、想定していなかった会社の合併と倒産を経て今に至っており、「自分には起こらない」と思っていたことを実際に体験されてそういう考え方が強いみたいです。
ちなみに本書のエピソードで一番心に残ったのは9.11でモルガンスタンレーの社員の多くを救った警備員の話です。テロが起こる前からテロに備えて(煙たがれるのもいとわず)避難訓練を繰り返し、そして9.11の際に、その成果として彼らの多くの避難を成功させたのです。しかし本人は最期、残った人を救うためにビルに戻ったとか…。
ちょっとした気持ちの切り替えです。
たった1分でも、危機時のことに思いをめぐらす姿勢が大事なのだと思います。