東京都写真美術館に行ってきました
写真は節電のため停止していた恵比寿ガーデンプレイスに行く途中のスカイウォーク(動く歩道)です。今日は東京都写真美術館に行ってきました。どうしても行ってみたかったAPAアワードが明日までだったので、写美が開館しているか確認して、慌てて行ってきました。
美術館は基本的に混まない早い時間に行くのが私のポリシーなのですが、今日は開館前に行ったら行列ができてて仰天。何の列かと思いきや、ホールで上映中の「文楽 冥途の飛脚」が人気みたいです。これは面白そうなので後日私も観に来るかも。
●APAアワード2011
APAアワードは(社)日本広告写真家協会の公募展で、「広告作品部門」と「写真作品部門」があります。前者は実際の広告作品が対象。後者は純粋な写真公募のようで、広告写真家への登竜門のような賞らしいです。
「写真作品部門」
テーマは「華」だったそうです。文部科学大臣賞の「卒業」は、おそらく卒業式の写真撮影のためにひな壇に並んだ看護師たちの後姿を撮影した作品です。一瞬全体をとらえきれなかったのですが、一歩後ろに引いてみると暖かさも無機質さも感じる不思議な魅力をもった作品でした。例年、組写真が受賞するようですが、久しぶりに単写真の受賞だったそうです。
あと、入選の「水園」という、外の風景と水のうねりを合成?した写真がきれいで個人的には好きでした。
「広告作品部門」
経済産業大臣賞は「ひょうどう工芸のアクリル茶杓ポスター」。品のよさとか美しさとかが心に優しく残る作品でした。ただ、芸術作品としては美しいと思いましたが、茶杓という商品自体がマイナーで、パッと見たときに広告!とは思いませんでしたが…。
その点、優秀賞のパナソニックの家電広告とか、東京メトロの電車とか地下のかっこいい写真の方がインパクトがあったなぁ。TVのCMも同じなんだけど、芸術性や話題性などにこだわりすぎて、肝心の商品のPRができてない広告って本末転倒のような気がします。そこのバランスが取れて初めて、広告として素晴らしいんだろうと思います。
その他にもたくさん展示されてましたが、入選の中でFUJI SOFTのロボコン広告は個人的な趣味で萌えました(笑)。
●第二回全国学校図工・美術写真公募展
APAの展示の一角で催された小中学生の図工美術写真展です。こんな授業とコンペがある子供たちがうらやましい(笑)。
たくさんの作品を見ましたが、意図が丸見えと感じたりもして、いろんな意味で子供は素直だなと思いました。まぁ、先生の指導の仕方にもよると思いますが…。やっぱり見た瞬間に子供らしさがストレートに伝わってきた作品が好きかな。
私は小学校1年生が3年生を撮影して、かわいくとれてよかった、とコメントしてた作品が一番好きでした。
●芸術写真の精華
日本の「ピクトリアリズム」の作品展です。ピクトリアリズムとは、19世紀くらいに写真を芸術として表現し始めた作品だそうです。
これが…思いの外よかったです。正直なところクラシック作品は苦手なのですが、きれいな作品をたくさんみて、穏やかな気持ちになりました。単なる記録でもなく、何かを強く主張するものでもなく、現代写真のように奇をてらうわけでもなく。芸術としての写真とはこういうものかー、と感心しました。
●夜明けまえ
これは…写真展というより博物館に来たかのような気分になりました。幕末~明治の写真と資料の展示だもんなぁ。うーん。正直コンセプト自体にあまり興味がないので、一通り見たもののすごく興味をひかれたものはなかったです。
ただ、明治20年代ごろの写真で、袴の男性陣がエグザイルみたいに正面から縦に並んで写ってる写真は興味深かった(笑)。
…朝早くに行ったのと、地震のせいなのか、館内は空いててとても快適な鑑賞環境でした。特にピクトリアリズムなんて私一人だったような。薄暗いライトの下で静寂に包まれて、美しい写真を見る幸せに十分浸ることができました。
ちなみにAPAアワードは大阪でも大阪市立美術館で2011年4月5日(火)~4月10日(日)に開催されるそうです。ご興味のある方ぜひどうぞ。