キメキメ写真の撮影現場にカルチャーショック
わが父がときどき自分の写真をメールで送ってきます。
俺、かっこいい?
みたいな。褒めた返信をすると
自慢のパパ?
と聞いてきます。
これについても肯定的な返信を返しておきます。
わが父はナルシストです。私は父親以上にナルシストな人に会ったことがないくらいナルシストです。鏡をのぞいてうっとりしている姿を子どものころからよく見ています。
娘の私が言うのもなんですが、実際父はそんなにブサイクではありません。若いころの写真を目を細めて見ると、日活の俳優のようにも見えます。本人曰く、学生時代はモテモテだったそうで、押し寄せる女学生を刺又(さすまた)でかき分けながら勉強していたそうです。まぁ、これはすごい脚色だと思いますが。
さて、シンガポールで生活していると、キメキメ写真を撮る風景をよく見かけます。スマホをやや斜め上に掲げて上目遣いをし、顎に手を添えて自分でパチリ。
先月行ったセントーサのユニバーサルスタジオの入り口では、あのでっかい地球のオブジェの前に、そんな女子がわんさかおりました。バス停でバスを待つ間に撮影にいそしむフィリピン系女子も見ました。先日、近所のHDB(公団)の運動広場では、運動器具に座ってキャアっとはしゃぐようなポーズを撮り、友達にiPadで写真を撮ってもらっている民族不詳女子もいました。
女子ばかりではありません。今日はショッピングセンターで手すりにもたれかかり、斜め上に視線をきらりと飛ばすインド系男子の撮影現場も目撃しました。
とにかくポートレート写真撮影が日常茶飯事。こういう撮影現場を目撃するたびにいつも思うのが
一体その写真何に使うの
ということです。
やっぱりSNSでしょうか。私のFacebookにそういうキメキメな人がいないのでピンと来ないのですが、世界では……少なくともシンガポール周辺ではこういう写真がタイムラインにぞろぞろと並んでいるのでしょうか。
世代の違いもあるので文化の違いとも言い切れませんが、少なくとも日本で、東京で生活していて、ここまでのキメキメ撮影現場を見ない気がします。外で撮るか、人から見えない場所で撮るかの違いもあるかも。いずれにしても、その風景にいつもカルチャーショックを受けています。
話はわが父に戻りますが、彼は何気にボーダーレスなキャラクターなのかも、と思うのでした。