劇団四季「ユタと不思議な仲間たち」

   


劇団四季のミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」を観てきました。東北を舞台にした和製ミュージカルです。NHKで、震災復興へのエールとして上演されると紹介されていて、すごく気になって観に行ってきました。そもそも純粋な和製ミュージカルって見た記憶がないのでその珍しさもあったかな。

父親を亡くして母の実家の東北の農村に越してきた東京の少年ユタ。土地の子供たちに馴染めず、ひどいいじめを受け続け辛い日々を過ごす。そんなある日、寅吉じいさんから地元に伝わる座敷童の伝説を聞き、満月の夜、彼らが現れる古い部屋で一人で過ごし、座敷童たちと出会う。ユタは、彼らとの交流を通じて、やがて気づきや心と体の強さを得て成長していく。

…というお話です。以下、多少のネタバレがあるのでご興味のある方だけどうぞ。



あらすじを聞いて、自分の中で勝手なイメージができた状態で観たのがちょっと残念だったな~というのが最初の印象でした。「座敷童」のイメージが違いすぎました。飢饉や凶作で生きたくても生きられなかった子供たちの霊。おむつをしていたり、歯が無かったりと、子供らしい設定はあるんですが、それでも見た目はおじさんの集団です(笑)。後半くらいからようやく彼らのキャラクターを受け止められるようになりましたが、それまでどうもこの世界観に馴染めなくて困りました。

あと、この作品のメッセージで、「生きていることがそれだけで素晴らしい」ということが繰り返されるのですが、それを伝えるにはユタの弱さの描写が足りないのではと感じました。それはケンカの弱さではなく、死にたい、と思った心の弱さです。その辺がセリフでつらつら語られるだけだったのですが、他のシーンけずってでも画面で描いてほしいと思ったところでした。

割と観客に子供が多かったので、その辺はライトにしているかもしれませんが、私は少し物足りなかったかなー。

全体を通してよかったのはダンスです。特に冒頭のいじめシーンと、クライマックスのケンカシーンがすごい。いじめシーンは本当にフルボッコ状態で、時間の割きすぎで子供に与える心理的影響が心配になったくらい。ダンスなんだけど、ひどくて少しおろおろしました(笑)。クライマックスのケンカシーンは素直に感動しました。力強い見事なダンスです。ユタとか汗だくでした。どこで濡らしたのか、ってなくらいの汗…。このダンスだけで私のなかでは高評価の作品になりました。

どうやらこの作品は好きな人は好きみたいです。特に子供に人気がありそう。私はもう一度見たいか、と聞かれたら、クライマックスのケンカシーンだけはもう一度見たいです(笑)。

これから東北を巡業するようですが、子供たちの心に響くといいなぁと思います。

ちなみにこの作品は舞台後、出演者とロビーで会うことができます。私はユタ役の上川一哉さんが以前NHKの「人間になりたがった猫」で見たときからかっこいいなーと思ってたので、一目散に彼のところへ。そして、へらへらしながら握手してもらいました(笑)。

うむ。四季のAKB作戦にはまってしまうのだろうか。

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