子供を持つという贅沢
先月末に会った育休中の友達が、職場に復帰せず退職することに決めたらしい。出産前から今の会社で子供を育てながら仕事を続けることに不安を感じていたらしく、加えて会社の業績の悪化で職場の雰囲気や体制が悪くなったということが理由だそうです。
名前の通った会社だし、一応時短のような制度はあるらしいので、辞めるくらいだったら一度復帰してやるだけやってみたら、みたいな話はしたのですが、会社に対する不安は拭えないし、そもそも今の職種自体が子育てに向いてないので、職種転換するためにも辞めるそうです。
また、ご主人のお給料だけでは家計が厳しいので、専業主婦になるという選択肢も今のところ無いとのこと。
私は以前、「意図的に」子供を持たない夫婦は贅沢だと思っていました。子供の好き嫌いは別にして、ファイナンスの話だけをすれば、子供が成人するまでの費用がまるまる無いわけですから。さらに共働き(DINKS)となれば、独身時代よりずっと生活が楽だと思います。
さらに、もし年金制度が若い世代の保険料を財源にすることを前提とする制度なら、子供がたくさんいる世帯と子供がいない世帯で、受け取る年金が同じなのはおかしいのかも…とまで思ってました。(年金に限らず、税金のことを考えると労働人口の減少は問題だし。)
しかし、同じ年の独身の友達とそんな話をしていたら、「子供を持つことの方が贅沢だと思うけど」と全く逆のことを言われました。これは目からうろこでした。
すでに、子供を持ちたくても家計を理由に持てない世帯もあると思います。それを考えると、確かに子供を持つこと自体が贅沢なことのような気がしてきました。
お金なんて、無ければないでどうにかなってしまうものです。でも、子供を持つことが贅沢なのであれば、結婚して子供を持つというプロセスが普通のことではなく、今はそれなりの覚悟を持って臨むべきことなんだと思いました。少なくとも、子供がいなかったころと同じ生活はできない可能性が高いということです。
夫婦の年一回の旅行に行けなくなるどころか、晩酌の量も減らさないといけないかもしれない。でもそれは、「子供を持つ」という「贅沢」の代償です。そしてそれはそれでかけがえのない贅沢だと思います。
ちなみに会社を辞める友達の話を聞いていて思ったのは、私の勤務先はワーキングマザーへの処遇が厚いとういことです。時短勤務が気兼ねなく選択だけでなく、ベビーシッターの補助もあります。もっと手厚い制度がある会社もあるかもしれませんが、少なくとも友達みたいに「子供を産んだら辞めざるを得ない」空気は無いと思います。制度があっても使えなくちゃ意味がないのですが、そういうのはわりと入ってみないと分からないもので、運不運なのかと思うと残念だなぁと思います。