本「「若者はかわいそう」論のウソ - データで暴く「雇用不安」の正体」
「「若者はかわいそう」論のウソ」を読みました。若者の正社員率が減って非正規雇用が増えたとか、若者が貧困に陥ってるとか、そういうものを風説として反論した本です。
ここ数年、世代間格差や対立みたいなのがあちこちで論じられてますが、私も城さんの本を読んで感化されたクチ。会社で50代の上司にその話をして怒られたりしてました(笑)。ただ、2chでスレが立ったり、漫画が出たりとあまりに世間が騒ぐと、天の邪鬼なのでちょっと逆を考えたくなる。そんなときに目に留まったのがこの本でした。(といっても発売されたばかりの新しい本です。)
私は本を買うとき、かなりのページ立ち読みしてから買います。この本は後ろの方の対談や事例を読んだら面白かったので買いました。そしたらそしたら…この本は副題通り、ほとんどが「データ」分析による反論なんです。データ分析物って…苦手なのに。
あいまいな風説に対しての追及や反論には数字はすごく重要だと思います。数字が持つ説得力は大きいです。しかし、いかんせん、私の脳が理解するのを拒否している(笑)。そんな私の理解では、世間で流布するさまざまな「若者はかわいそう」の根拠になるデータは、そもそも分母がおかしいだろうという指摘が多かった気がします。
構成としては前半はデータによる風説に対する反論、後半は著者が考える実態と対策、インタビューや対談、事例紹介といったところでしょうか。
大学の作り過ぎや少子化により大卒が増加、そしてその大卒のホワイトカラー希望の増加により起きた大企業への就職難。為替変動により第一次、第二次産業が総倒れし、第三次産業が雇用の受け皿となったが、対人折衝能力が低い人たちはニート化した、などなど、原因は世代間にあるのではなくて、こんなことが原因なのよ~という話がいくつか。
それらに対する対策と言うか、著者の提案も具体的に書いてあります。このごろホットな移民の制度の提案や、派遣登録の窓口をハローワークに一本化するなど、素人目には面白そうなアイディアが出てくるのですが、なぜかその主張にそこはかとない不安を感じるのは前衛的過ぎる?気がするからかな。
結局、読後感としては「参考になった」程度で、城さんの本ほど感化されるに至りませんでした。
ちなみにこれは雇用に関する反論本なので、社会保障とかの議論はまた別なのでしょう。この世代間の論争について、いろんな主張をバランスよく、わかりやすく一覧できる方法はないでしょうか(笑)。
もうすぐ参院選ですが、自民党から解雇規制の緩和の話が出たり、雇用についての今後の流れが気になります。完全な平等なんて無理だけど、みんなが納得して頑張れる社会になってほしいものです。