シンガポールの日本人社会で働くということ
シンガポールに来て1年と4カ月ほど。日本人との付き合いや関わりを極力避けている私にも、やはり日本人として生活していると、あれこれ日本や日本人に関する噂話が耳に入ってくるようになりました。
先日、最近知り合った地元のフィリピン人のおばちゃんから、「知り合いの会社が日本人探してるんだけど、いい人いない?」と聞かれました。さらっと概要を聞いただけで、どの会社のなんのポジションか想像がついてしまいました。
その他にも、出かけた先で取引先の人に会う、知り合いの知り合いが知り合いだった……なんてよく聞く話で、シンガポールの日本人社会の狭さを肌で感じます。
外務省の海外在留邦人数調査統計※1によれば、2015年10月1日時点でシンガポールに在留届を出している日本人は3万6,963人。海外在留邦人全体の約2.8%だそうです。ただ、日本人が多いアメリカ(約42万人)と中国(約13万人)に比べてシンガポールは国土が狭いので、日本人同士の物理的な距離はシンガポールの方が近いのでは、というのが個人的に持っているイメージです。
また、Wikiに「日本の市の人口順位」というページがあって、日本の各都市の人口が出ています※2。これを見て、シンガポールの日本人社会が、日本の都市に例えるとでどれくらいの規模なのか、漠然とした比較を思わずしてしまいました。
そんな小さなシンガポールの日本人社会ですから、特に日本人だけを相手にビジネスするとなると、日本でのそれ以上に人との関わり方が大事だと思っています。
ビジネスの相手に嫌なこととか、気に食わないこととか当然あることもあるでしょう。でも、理不尽な程の横柄な態度をとったり、相手を罵倒するような言葉をぶつけたりしたら、その相手にだけでなく、その相手とつながる人たちにもいい印象を持たれません。
また、成果物にお金を払わないという話も聞いたことがあって、これには呆れました。。最終的には訴訟沙汰なのかもしれませんが、お金を回収できようとできまいと、もうそんな人・会社とは取引したくないはずです。
そして、こういう「悪い噂」は、小さなコミュニティではあっという間に広がるものです。私は、こういった悪い話が耳に入るたびに、一体その人はなんでシンガポールに来たんだろうと不思議に思います。そんな非常識な人間が、小さな世界で成功するのは難しいと思うからです。もし出向者であれば、その所属会社に人を見る目がないんだろうと思ってしまいます。
嫌な人、間違ったビジネスをしている人なんてどこに行ってもいるのでしょうが、限度を超えた人たちにはそれに応じた処遇を受けてほしいものです。
シンガポールの狭さを悪く書きましたが、もちろん、この小さなコミュニティを活用して、成功している人たちもたくさんいると思います。いい人、いい仕事ぶりの噂も広まりやすいはずです。積極的に人脈を広げて、シンガポールに限らず活躍の場を広げている人もいるでしょう。
私個人は日本コミュニティとの付き合いと距離をおいた生活をしており、良い話も悪い話も、どこか遠巻きに見守っているだけなのですが、やはり日本人だし、日本人同士気持ちよく仕事をしたい、楽しく付き合っていけたらと思っています。
※1海外在留邦人数調査統計 統計表一覧
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000043.html