街中で撮った動画をSNSにアップするシンガポールの人たち…
シンガポールでフードコートで掃除のおじいちゃんのミスを恫喝するおばちゃんの動画がFacebookにアップされ、バズっているようです。このおじいちゃん、聴覚障害があって聞こえない&話せないというハンディがあるのですが、構わず物凄い剣幕で延々とがなり続けるオバハン。このおじいちゃんはこの一件で仕事を辞める決心をしたようで、同情する声が上がる一方、おばちゃんに対する非難の声が高まったようです。
さて、この事件の内容についてはさておき、私がびびったのは、こういう個人を特定できるような動画がSNSにアップされ、いとも簡単に広まっていることです。この動画を撮ってFacebookにアップしたのは、一般人。
なんだかデジャヴ感があったので記憶の糸を手繰ってみたところ、以前にもこんなニュースがありました。マレーシアでハンディがある人用の駐車スペースに車を止めたシンガポール人夫婦がいて、それに怒った地元の男性が激しく夫婦を責めたのです。夫婦は誤りを認め、その男性が「障がい者団体に寄付しろ」と言ったことに対して同意しました。ところが、約束の期限になっても寄付がなかったそうで、実は撮影されていたそのやり取りを怒っていた男性がSNSにアップしたのです。(詳細が間違ってたらすみません)
あと、フィクションですが、こちらのドラマでもこんなシーンがありました。お腹にクッションを入れて妊娠を偽っていた女性が、バスの中でクッションが破れて中のビーズが出てきてしまうのですが、その様子を笑いながら乗客の若者がスマホで動画撮影するのです。さらにその動画はSNSで公開され、彼女の同僚たちがオフィスで見てしまうという……。
正直、私の個人的な感覚では考えられないことです。日本で同じことをしたらプライバシーの侵害ではないでしょうか。個人のプライバシーに対する意識の違いを激しく感じます。
この違いの背景が何なのかわからないのですが、一つ考えられるのはシンガポールの監視カメラの多さです。街中いたるところにカメラがあり、犯罪の防止、もしくは捜査に使われています。また、住み込みのメイドを雇う人の中には家にカメラを置いてメイドを監視したり、職場でも工場などにカメラを設置して労働者を監督しています。こちらでカメラを使うこと、また、撮られることも特別なことではないのかもしれません。
あと、これは勝手な想像なのですが、もしかするとすぐに忘れられるのかなと。日本だと悪質な場合、本当に追い詰めるまで加害者なり被害者なりがネットで叩かれることがありますが、すぐに忘れられて後々の痛みは少ないのかもしれません。
いずれにしても、デジタルのデータは一度拡散すると回収不能なものなので、自分が映ったものがむやみにネットに流れるのは本当に嫌です。かと言って、こちらの人と意識が異なるうちは気を付けるのも無理でしょう。意識を変えてもらえるような何かきっかけがあればと思うのですが……。