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-- 04/10/28-12:06..No.[190] |
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新潟県中越地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 地震の揺れから助かっても、ストレスなどでお亡くなりになった方がいたと聞いて、胸がつまりました。仮設住宅の準備には1ヶ月も2ヶ月もかかるそうですが、どうにかどこかで、安全で、プライバシーを守れる快適な生活が出来る場所の提供はできないものでしょうか・・・。(無知でありきたりなコメントでお恥ずかしいですが・・・。) さて、先日「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観てきました。キューバ革命をカストロと共に成功に導いた革命家チェ・ゲバラの若き日の南米旅行記です。高校生の頃世界史を勉強したはずなのですが、最初ゲバラと聞いたとき、大変恥ずかしながら「ゲバラTシャツ(赤地に黒い印刷がされているやつ)」と、「ゲリラの指揮者」という乏しいイメージしかわきませんでした。・・・とほほ。キューバ、カストロ、革命、ゲリラ、という言葉は湧いてきても、一体どんな人物だったのかよく知りませんでした。しかし、この映画はそんな人にこそ観てほしい!と思えるような、さわやかでそして純粋な映画でした。(以下、ネタバレもあるのでご注意。) 主人公は23歳のアルゼンチン人医学生エルネスト・ゲバラ(後のチェ・ゲバラのこと)。大学の先輩のアルベルト・グラナードに誘われて、ポンコツ中古バイク・ポデローサ2号で南米周遊の旅に出ます。アルゼンチンを出発してチリを経て、ペルーに入る・・・食べ物も寝る場所も行き当たりばったりのその波乱にとんだ旅は、やがてエルネストに南米の抱える社会問題に気づかせ、彼を覚醒させる旅へと変わっていくのでした。 女好き・陽気でちょっとインチキくさいアルベルトに比べ、エルネストは真面目・・・というかバカ正直、そして何よりも純粋な人柄。旅で不当に虐げられた人々に出会う中で、社会の矛盾に強い疑問を抱き、旅の終わりには自らの変化を強く確信する・・・。ベネズエラのカラカスで仕事についたアルベルトと別れ、一人エネレストが旅を続けるシーンで映画は終わるのですが、史実ではその後マイアミでしばらく過ごしてアルゼンチンに戻り、大学を卒業。やがて革命への道へ進んでいきます。原作を読んだ限りではハッキリとわかりませんが、映画では、この南米旅行をキッカケにエルネストは革命へと目覚めたと描かれています。 この映画の魅力は政治色が無いところです(逆にそれを期待してみると面白くないかも。)。好奇心旺盛な若者が旅立ち、旅で笑い、怒り、悲しみ、何かを得る。それをさらりと描いたもので、だからこそ自然と感情移入できる。誰でも、遅かれ早かれ人生を変えるような出来事に出会うのではないかという、期待にも似た淡い気持ちが湧いてきます。エルネストという人物の人柄にもただ、ただ心惹かれると思います。自分もこんなにまっすぐで純粋な人間になれたらと思いました。 また、この映画は実はアメリカ映画なのですが、全編スペイン語です。まぁ、南米を舞台にした映画なのに英語だととても陳腐になると思うのですが、(私は「エビータ」が英語だったのにとてもがっくりしてしまった。)それでもその点は特筆すべきところらしいです。スペイン語は、使われている地域が広いだけに、地域独特の訛りや言い回しがあるそうなのですが、メキシコ人俳優であるガエル・ガルシア・ベルナル(エルネスト役)はアルゼンチン訛りでしゃべっているらしい。スペイン語がわかったら面白いんだろうなぁと思いました。 ちなみに、渋谷のパルコでは映画の公開に合わせてゲバラ写真展を開催しています。「チェ・ゲバラ」ではなく「エルネスト・ゲバラ」(若い頃のゲバラ)の写真も期待していた私にはちょっと期待はずれな内容でしたが、貴重な写真をたくさん見られるだけでなく、キューバのゲバラがデザインされた紙幣とコインや、映画のメイキング映像を見ることができます。 あと、興味のある方は原作もお勧めします。この映画の原作はゲバラの「Notas de viaje」とアルベルトの「Con el Che por Sudamericana」の2冊で、私はまだ前者しか読んでいませんが、愉快で楽しい冒険記のような本でした。実際、原作と映画では違う部分もあるので、映画の後に本を読んで脚色されたんだ!と思われる部分を思い出すとちょっと残念な気分になりますが(笑)、そこには映画を作った人たちのゲバラへの愛情を感じます。 ※写真は映画の原作とプログラム。原作本(「モーターサイクルダイアリーズ」角川文庫)には若い頃のエルネストの写真が載っているのですが、かなり男前です。いや、本当に俳優のガエル・ガルシアに負けないほどの美男子です。 |
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