アルモドバル監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」をDVDで見ました。1999年の作品で、アカデミー外国映画賞やらカンヌやらいろんな賞を取った作品です。アルモドバル監督はスペイン語のテキストの例文に出てくるくらいスペインを代表する映画監督です。この作品は10年くらい前にやはりDVDで見たのですが、その良さがわからず謎の作品となってました。が、その後同じ監督の「トーク・トゥー・ハー」を見て衝撃を受け、いつかまた観ようと思っていた作品でした。

事故で息子を失ったマヌエラが、その息子に生前隠していた父親を探しにバルセロナに行くというお話。…と、そんなシンプルな筋ではないのですが(笑)、主要な登場人物のもつ背景や設定が濃くて、ストーリー自体よりストーリーに合わせて展開される登場人物それぞれの「生き様」みたいなものがこの作品のメインかと思います。

恐らく、10年前に見たときは、その筋を追いすぎたためにこの作品のコアな部分が見えてなかったのかと思います。なので、今回は素直にただ「人」を眺めていたら、じわじわーっときました。誰かに心の底から共感するのは難しいのだけれど、異性や家族や友達を愛する気持ちだったり、生きることの困難に対する不安や恐れだったり、一方で誇りや強さを示したり、といったところにいちいち感動しました。

物語の主要な人物はみな女性なのですが、その女性たちが女性らしい強さや愚かさを堂々と繰り広げているのです。タイトルと、ネットの感想やらを見ていると、母性がテーマになっているようですが、私自身が子供を持たないせいなのか、母性より女性という部分が前面に出ていたように感じました。

登場人物たちが抱えているものがとても重くて複雑なものにも関わらず、決して暗くならないし、嘘っぽさも感じない。そして役者さんたちの演技がとても素晴らしいです。何度か見直したくなるような味わい深いいい作品だと思いました。見直してよかったです。

ちなみにロラがとてもイケメンで役者さんが気になったのですが、無名の方だそうでネットで情報を見つけられませんでした。残念。あと、トランスセクシャルのアグラード役のアントニア・サン・ファンさんが、女性だと知って衝撃を受けています…。(IKKOさんに似ている。)