サイエンスカフェ~みらい倶楽部 vol.8~「あの娘はロボット!HRP-4C未夢の開発、そして夢」

   

お台場未来館で友の会イベント、サイエンスカフェ~みらい倶楽部 vol.8~「あの娘はロボット!HRP-4C未夢の開発、そして夢」に参加してきました。研究者の方の講演&交流イベントです。(実機によるデモは無し。)

未来館のイベントは過去に何度か参加したことがあるのですが、サイエンスカフェは初めて。会議室のように机を前に向かって並べているわけではなく、点在する丸テーブルを囲みながらカジュアルに講義を聞くスタイルはなかなか素敵でした。お茶やジュース、お菓子も用意されていてまさにカフェ。いいね~。

さて、今回のイベントのゲストは産業技術総合研究所の三浦郁奈子さん。女性型ヒューマノイドロボットHRP-4Cの開発に関わった方です。未夢の開発では主に動作生成技術がご担当だそうです。

私、このイベントで何に感銘を受けたって、この三浦さんの素敵さにすっかり惚れてしまいました。美人で知性があってアクティブで…しかも同世代!「ああ!素敵な人だった~」と帰りのゆりかもめ車内で反芻して、ぽやーんとしてしまいました(笑)。

以下、長文レポートです。素人なので内容の誤りがあったらご容赦ください…。


イベントは大体二部構成で、前半は未夢の開発の話。後半は三浦さんの経歴についてのお話がメインでした。適宜、質疑応答の時間が取られて、会場全体の交流も図られてました。ちなみに会場で無線でアンケート回答できる機械が配られたのですが、参加者の属性は男性7割、女性3割、年代は30代が一番多くて、続いて中学生が多かったです。

HRP-4は、小さくできるのを売りにというのが最初のコンセプトで、小ささをわかりやすく見せるために女性型か、子供型が検討されたそうです。そしてエンタテイメント方向での利用を考えたときなど、いくつかの理由で最終的に女性型になることが決まったそうなのですが、顔をあのようなドール系にするかどうかは最後まで議論になったそうです。

見た目については細かな検討があちこち施されていて、たとえば全身の比率は身長、体重に限らず、腕の長さなども19~29歳の女性の平均が考慮されたそうです。(体重は平均よりずっと軽いけど。)ただ、顔の中のパーツの配置は、リアルにすると不気味なため、人形的な印象を残したとのこと。

面白かったのが肌色のシリコンの使い方。未夢は顔と手だけにシリコンが使われていて、後はメタリックなボディです。なぜ全身シリコンで覆わないのかというと、動くときにシリコンが不自然なしわを作ってしまうからだそうです。なので、シリコンはしわが見えない範囲でとどめているとか。そういうデザインでの気の使い方があるんですねー。

三浦さんは動きの担当なので、モーションについての解説も詳しくされてました。モデルさんの動きをキャプチャーしてロボットに落とし込むわけですが、軸数が限られた中でやはりいろいろ制限があって苦労されたようです。HRP-2からHRP-4Cでは腰にロール軸が追加されたそうですが、腰に軸が無いHRP-2はデモ動画で頭が横に揺れてました。やはりHRP-4Cの方が動きがきれい。三浦さんはさらに肩にも入れたかったそうですが、お金と技術の理由から却下されたそうです。ターンも、これまでのロボットは足踏みしながら回ってましたが未夢はきれいに足を滑らして回っているのが印象的でした。

今後については、いろいろなフィードバックをもとに更なる応用も進めていくそうです。未夢は歌ったり、踊ったり、ファッションショーに出たりとあらゆる舞台で活躍しているのですが、その度ごとにロボットの専門家ではない人たちと仕事をして、様々な指摘を受けるそうです。(もっと早く歩けないか、とか)それから研究と応用の循環が生まれ、進化していくとのことでした。

未夢のドール的な見た目に賛否両論あったとのことですが、この発展を見る限り、結果的にはこの見た目が研究の進化に役立っているのだろうということに感心いたしました。個人的には「日本的」な感じがして悪くないなぁと思ってましたが。(ちなみに三浦さんは反対派だったらしい。)

ここで質疑応答。未夢は洋服などを着てますが、荷重耐性はどうなってるかとの質問に対し、特に荷重テストはしてないとのことでした。ただ、桂由美のショーで着たウェディングドレスは2kgくらいはあっただろうとのこと。三浦さんは自分の服を着せたりとかもしたそうです。

あと、膝曲げ歩行(※)はどうにかならないのか、という質問に対しては現状、理論的にも物理的にも難しいとのことでした。理論的な理由というのが、未夢の歩行に使ってる計算方法がひざを伸ばした状態(角度0)にできないとのこと。後者は、伸ばした状態で腰の高さを下げるのにやはり0度からの動きは物理的に難しいとのことでした。この後休憩に入ったのでここについて再度質問したのですが、まったく覚えてないcosθのグラフの話になってしまって、聞いてすみません状態でしたorz。

(※アシモなど、二足歩行ロボットは基本的に膝を曲げた状態がデフォルトです。)

後半は主に三浦さんのバックグラウンドのお話。もともとロボットに興味があり、理数系も得意ということで東北大工学部に入学。二年目の96年にはホンダのP2が発表され、衝撃を受けたそうです。しかし在学中は競技スキーに熱中して、あまり勉強はしなかったとか…。その後フランス留学されてDr.となり、帰国後は一年間東北大学のポスドク、続いてNTTドコモ R&D研究所を経て、2007年から産総研で研究されてるそうです。産総研に入るまでの経歴は、制御など、ヒューマノイドロボットに直接関わる研究ではなかったそうです。しかし産総研に入っていよいよ憧れだったヒューマノイドの研究に携わることになり、とても嬉しかったそうです。

産総研では、ずっとロボットだけを研究してきた研究者もいるそうですが、三浦さんの経歴は複合的に今の仕事に生きているとか。たとえば、産総研はフランスと共同研究をすることがあり、フランス語の語学力は必要とされたそうです。

そんな三浦さんからのメッセージ。

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■紆余曲折にも意味がある:
最短直線の道と思えなくても今目の前にあることを一生懸命やる!

■夢はあきらめなくていい:
いつかたどりつく
たどりついてもゴールではない
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あと、ロボット研究者に必要なものとして三浦さんは根性と楽観を挙げたのですが、それぞれの意味について参加者から質問があり、次のように回答されてました。

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■根性:
嫌なことを我慢してやるのではなく、嫌なことから楽しみを見つける

■楽観:
ダメだと思ってやめるのではなく、いつかは叶うさ、と思ってやる
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きっと、すべて経験に基づくメッセージなんだろうととても感銘を受けました。特に紆余曲折について。学生時代、部活に熱中して成績の都合でヒューマノイドに関する研究室に入れなかったり、フランスに留学したら二足歩行のプロジェクトが終わってしまったり。帰国してからのポスドク一年は本当にいろいろやったとのことでした。でもきっと、それらすべてに全力投球されたのだと思います。だから今、夢にたどりついたんだろうと思います。そしてそれも「ゴールではない」と言うハングリーさ!

三浦さん、2008年には宇宙飛行士の試験も受けたそうです。結果は残念ながら不合格だったそうですが、そのパッションと行動力が素敵です!ぜひまた受けてほしい!

最後に学生からの質問を受けて、会は定刻通りお開きになりました。

はー。
ロボットの面白い小ネタを聞けるかな~くらいの気持ちで参加したのですが、研究者の方に人物的にもすっかり魅了されて、感化されてしまった感じです。

とっても、とってもいい刺激になりました。
素敵なイベントありがとうございました!

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